フランスを拠点に世界各地で活動を展開する気鋭の建築家・田根剛の展覧会が2ヵ所で同時開催。「Archaeology of the Future ─ 未来の記憶」を共通のテーマに、田根のこれまでの活動と、建築は記憶を通じていかに未来をつくりうるかという挑戦を、それぞれ違った角度から紹介する。
場所の記憶からはじまる建築を作りたい──。そんな考えのもと、フランスを拠点に世界各地で活動を展開する気鋭の建築家・田根 剛の展覧会が、東京オペラシティ アートギャラリーとTOTOギャラリー・間の2ヵ所で同時開催。
田根は26歳の時にダン・ドレル(イタリア)、リナ・ゴットメ(レバノン)とのユニット、ドレル・ゴットメ・田根(DGT.)として「エストニア国立博物館」の国際設計競技に勝利。2016年秋に同プロジェクトが竣工を迎え、国内外の注目がさらに高まっている。 ’12年に行われた新国立競技場基本構想国際デザイン競技(ザハ・ハディド案選出時)には「古墳スタジアム」で11 人のファイナリストに選出。’17年のDGT. 解散後は「Atelier Tsuyoshi Tane Architects」をパリに設立。さらなる飛躍が期待されている。
展覧会に「Digging & Building」という副題がつけられた東京オペラシティ アートギャラリーでは、田根が「Archaeological Research(考古学的リサーチ)」と呼ぶ、イメージとテキストを使ったリサーチの手法を、天井高6mの空間を使って展示。また、「エストニア国立博物館」「新国立競技場案 古墳スタジアム」の他、現在進行中のプロジェクトなど7つの作品を大型模型で紹介する。なかでも「エストニア国立博物館」の模型は全長10mに及ぶ巨大なもの。身体的に空間を体験できるのが楽しい。田根の思想に共鳴したアーティストの藤井光による、各プロジェクトにまつわる映像作品の上映も。
一方、TOTOギャラリー・間では「Search & Research」に基づき、建築における思考と考察のプロセスを展開。田根のすべてのプロジェクトで実践されている「Archaeological Research」の方法論を、展示全体を通じてより深く紹介していく。「記憶は現在を動かし、未来をつくる」という信念のもと新たなクリエイションを重ねていく田根の活動を通じて、建築の持つ力やこれからの建築のあり方について考えてみる、絶好の機会。ぜひ2会場とも足を運んでみて。
田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future ─ Digging & Building
会期:2018年10月19日(金)〜12月24日(月)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿3-20-2)
時間:11:00〜19:00(金・土は20:00まで/入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日 ※12月24日は開館
入場料:一般¥1,200/大・高生¥800/中学生以下無料
03-5777-8600(ハローダイヤル 8:00~22:00)
http://www.operacity.jp/ag/exh214/
田根 剛|未来の記憶 Archaeology of the Future ― Search & Research
会期:2018年10月18日(木)〜12月23日(日・祝)
会場:TOTOギャラリー・間(東京都港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル 3F)
時間:11:00〜18:00
休館日:月曜日・祝日 ※11月3日(土)、12月23日(日)は開館
入場料:無料
03-3402-1010
text : Shiyo Yamashita