シャネル・ネクサス・ホールでは2019年3月13日(水)〜4月7日(日)、フランス人アーティスト、ピエール・セルネの写真作品と、近年世界的な注目が高まる春画を合わせて紹介する「ピエール セルネ & 春画」を開催。浦上蒼穹堂・浦上満による珠玉の春画コレクションとモノクロの写真作品とが出合う!
1951年生まれのピエール・セルネはパリのルーブル宮にあるレ・ザトリエ・デュ・カルーゼルでアートを学び、20代前半に写真業界で働いた後に渡米、ビジネス界で成功を収めたという、ユニークな経歴の持ち主。1989年に世界最大規模のファインアートのデータベース、artnet.comを設立したことはよく知られている。その後は実業家としての活動の傍ら、精力的に作家活動を展開。1980年代後半から拠点とするニューヨークの裏千家で茶道を学んだ彼は日本の茶の湯にも造詣が深く、2000年から「ゲリラ・ティー」と呼ばれるパフォーマンスを続けている。
今回展示される最新シリーズ「Synonyms(同義語)」の被写体は文化的、民族的に異なる背景を持つ個人あるいはカップルのヌード。モノクロのシルエットにすることで抽象的なグラフィックのように見えるこの作品は、性あるいは性行為という人類共通のテーマを表現している。セルネは「私たちはそれぞれ他人とは異なる唯一無二な存在である一方で、普遍的な共通点を持っています。だからこそ、違う文化やライフスタイル、様々な人々をもっと受け入れるべき」と言う。
そんなセルネの写真作品と共に展示されるのは、東京・日本橋で東洋古陶磁を取り扱う「浦上蒼穹堂」を経営する浦上満がコレクションする春画の数々。江戸時代に浮世絵の1ジャンルとして人気を博した春画は、大胆な構図や色彩で、印象派の画家たちや、ピカソやロダンなどの巨匠たちにも大きな影響を与えた。近年では大英博物館で開催された「Shunga: sex and pleasure in Japanese art」が話題に。日本でも2015年に永青文庫で開催された「春画展」に多くの人が集まった。
本展に展示されるのは、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎らの春画。人間の性愛がユーモアたっぷりに描かれた春画は、江戸時代に男女を問わず多くの人に愛されたという。今回はそんな春画と、春画からインスピレーションを得て制作されたセルネの写真作品とのコントラストが楽しめる、またとない機会。なお、本展は4月13日(土)〜5月12日(日)に開催される「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」のプログラムとして、京都市内の誉田屋源兵衛 竹院の間にも巡回するので、こちらも是非チェックして。
「ピエール セルネ & 春画」
会期:前期 2019年3月13日(水)〜27日(水)/後期 3月29日(金)〜4月7日(日)
会場:シャネル・ネクサス・ホール(東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F)
時間:12:00〜19:30
休館日:3月28日(木)
入場無料
問い合わせ:03-3779-4001
https://chanelnexushall.jp/program/2019/shunga
text : Shiyo Yamashita