京都国立近代美術館では2019年8月9日(金)〜10月14日(月・祝)、私たちとファッションとの関わりを考察する「ドレス・コード?――着る人たちのゲーム」展を開催。京都服飾文化研究財団(KCI)が収蔵する衣装コレクションから精選した約90点を中心に、着ることにまつわる現代美術作品なども展示する。
服を着るという行為やファッションが意味するものを多角的に考察する「ドレス・コード?――着る人たちのゲーム」展が、2019年8月9日(金)〜10月14日(月・祝)、京都国立近代美術館にて開催される。
私たちが社会生活を送るうえで欠かせない文化的な営みのひとつである「着る」ことは、同時に「視る/視られる」ことでもある。そこには、時代や地域、社会階層の文化や慣習と結びついた暗黙の“ドレス・コード”とも呼べる、さまざまな規範やルールが存在する。学校や職場で制服やスーツを着ることはわかりやすい例だ。一方で、“ドレス・コード”は破られたり、置き換えられたりと変化するものでもある。かつて軍服や労働着だったトレンチコートやデニムは、今ではその用途=コードは失われ、おしゃれのための服となっている。
自己表現から敢えてコードを逸脱した個性的なファッションに身を包む人もいるように、私たちは服を通じて自分の嗜好や属性を表明することもできるし、コスプレのように別人格を演じることもできる。さらに、現代においてはインターネットとSNSの普及により、誰もが自分の装いを自由に発信できるようになり、私たちとファッションとの関わりも、新たな局面を迎えていると言えるかもしれない。
本展では18世紀の男女の宮廷服や20世紀初頭の紳士服などといった歴史的な衣装類から、 制服やシャネル・スーツなどの普遍性を備えたスタイルやアイテム、グッチやルイ・ ヴィトン、コム デ ギャルソン、ヴェトモンといった人気ブランドが手掛ける最新のスタイルまで、京都服飾文化研究財団(KCI)が収蔵する衣装コレクションから精選した約90点を展示。着用者の人格や記憶を浮き彫りにする石内都や、ハンス・エイケルブームによる大量のストリート・ スナップなど、衣服や着ることを取り上げた現代美術作品も併せて展示する。
さらに、映画ポスターの展示や、坂本眞一の歴史マンガ『イノサン』『イノサン Rouge』とのコラボレーション、演劇カンパニーのマームとジプシー、チェルフィッチュによるインスタレーションなど、ユニークで多彩な展示にも期待。現代社会における新たな“ドレス・コード”を見つめ直すまたとない機会、この夏京都を訪れたら、ぜひ足を運んでみて。なお、12月には熊本市現代美術館にも巡回するので、こちらも要チェックだ。
「ドレス・コード?――着る人たちのゲーム」
会期:2019年8月9日(金)〜10月14日(月・祝)
会場:京都国立近代美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町)
時間:9:30〜17:00/金曜・土曜 9:30〜21:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合はその翌日)
料金:一般 ¥1,300、大学生 ¥900、高校生 ¥500、心身に障がいのある方と付添者1名は無料、中学生以下無料 ※本料金でコレクション展(4階展示室)も観覧可
https://www.kci.or.jp/special/exhibitions2019/
text : Shiyo Yamashita