20世紀フィンランドを代表する偉大なデザイナー、カイ・フランクの回顧展「日本・フィンランド国交樹立100年記念 没後30年 カイ・フランク」が2019年9月21日(土)〜12月25日(水)、神奈川県立近代美術館 葉山にて開催。ロングセラーのプロダクトからガラスのアートピースまで約300点を展示する。
20世紀フィンランドを代表する偉大なデザイナーの足跡を辿る「日本・フィンランド国交樹立100年記念 没後30年 カイ・フランク」が、2019年9月21日(土)〜12月25日(水)、神奈川県立近代美術館 葉山で開催される。
「フィンランド・デザインの良心」とも呼ばれるカイ・フランクは1911年生まれ。ヘルシンキ中央産業工芸学校(現・アアルト大学)で学んだ後、デザイナーとして活動を開始した。45年にはフィンランドの代表的陶磁器ブランドであるアラビア製陶所のプロダクトデザイン部門のディレクター、そして50年にはアートディレクターに就任。また、ガラスの分野では46年にはイッタラ、50年にはヌータヤルヴィ・ガラス製作所のデザイナーに就任している。
53年にはアラビアより、現在はイッタラブランドのもとで販売されている大ベストセラー「ティーマ」の原型となった現代的なテーブルウェアシリーズ「キルタ」で一世を風靡。大衆のためのデザインを目指し、アノニマスなものづくりを志向した彼は、使いやすく、スタッキングができ、丈夫で、絵柄などを入れず単色で仕上げることで価格を抑えた食器の数々で、幅広い層から支持された。
本展はフィンランド唯一の公立ガラス研究機関であるフィンランド・ガラス博物館と、フランク本人から直接入手した多くのプロダクトを収蔵しているタウノ&リーサ・タルナ・コレクションの協力のもと、フランクの生み出した幾何学的造形に着目して構成されたもの。前出の「キルタ」などをはじめとしたおなじみのプロダクトや、技巧を尽くしたアートピースなど、全部で約300点が展示される。
50年代来日した際にフランクが撮影した、風景写真や人物写真の展示も。幼少期から日本に興味を持っていたというフランクは、この時に鎌倉の北大路魯山人や益子の濱田庄司、京都の河井寛次郎、美濃の加藤土師萌などの窯を訪れて交流。また、各地の農村で出会った職人たちによる手仕事や意匠などに注目した。58年には通産省の工業技術院産業工芸試験所の招聘で再来日して講演などを行い、日本のデザイナーにも大きな刺激を与えている。
なお、今回一部の展示室の空間デザインは、国内外で注目を集めるデザイナー、熊野亘が担当。アアルト大学で学び、7年もの間フィンランドで暮らした気鋭のデザイナーとフランクの作品とが共演する空間は必見!
「日本・フィンランド国交樹立100年記念 没後30年 カイ・フランク」
会期:2019年9月21日(土)〜12月25日(水)
会場:神奈川県立美術館 葉山 展示室2・3(神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1)
時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜(9月23日、10月14日、11月4日は開館)
観覧料:一般 ¥1,200/20歳未満・学生 ¥1,050/65歳以上 ¥600
※11月3日(日・祝)は無料/ファミリー・コミュニケーションの日(毎月第1日曜:10月6日、12月1日)は18歳未満の子供連れの家族は割引料金(65歳以上を除く)
http://www.moma.pref.kanagawa.jp/
text : Shiyo Yamashita