銀座メゾンエルメス フォーラムでは、ゲスト・キュレーターにギヨーム・デサンジュを迎え、パリとチュニスを拠点に活動するアーティスト、イズマイル・バリーによる個展「みえないかかわり」を開催。新作の映像を中心に、オブジェ、ドローイングなど、異なる形式の作品で構成された空間で、バリーによる知覚実験が体感できる。
銀座メゾンエルメス フォーラムでは、パリとチュニスを拠点に活動するアーティスト、イズマイル・バリーによる個展「みえないかかわり」を開催。2013年からエルメス財団のギャラリー、ラ・ヴェリエール(ブリュッセル)のキュレーションを務めるギヨーム・デサンジュをゲスト・キュレーターに迎えた本展は、同ギャラリーで開催されたバリーの個展「ゆらぎの風景、微かな仕草」(2018)で試みた知覚への実験的なアプローチを継承し発展する形のものとなる。
イズマイル・バリーは1978年チュニス生まれ。2000年代の終わり頃からアーティスト活動を始めた彼は、写真や映画の原理を用いた精緻な視覚実験や、ミニマルで儀式的な身ぶりから啓示的に創出される現象や痕跡などを通じ、目に見える事物や知覚そのものの儚さを問う作品を発表してきた。映像表現を中心としつつ、ドローイングやサウンドなどさまざまな形態の作品を手がけており、日本では「第10回 恵比寿映像祭」(’18年)や「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」(’19年)に参加、注目を集めた。
本展では銀座メゾンエルメスの建築自体を、出現しては消滅する外の世界をとらえる一種の光学装置ととらえたインスタレーションを展開。新作の映像を中心に、オブジェ、ドローイングなど、異なる形式の作品で構成されたこの空間で、彼は人が光そのものをどのように知覚するかを、視覚を抽象化した装置の内外から問いかけている。
光を受けてさまざまに表情を変えるガラスブロックの建築が特徴的な会場で、可視と不可視の間で揺れ動く、光と影の不安定な関わりを露わにする今回の展示。バリーが仕掛けた装置の中に身を置くことで、自分の知覚の危うさに気づかされ、不明瞭な世界との対峙の仕方を考えさせられる――そんな不思議な体験を楽しんで。
「みえないかかわり」イズマイル・バリー展
会期:~2020年1月13日(月・祝)
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム(東京都中央区銀座5-4-1 8階)
時間:月曜~土曜 11:00~20:00(最終入場は19:30まで)/日曜 11:00~19:00(最終入場は18:30まで) ※12月の一部期間は開館時間が異なる(11:00~16:30・最終入場16:00)
休館日:不定休 ※年末年始はエルメス銀座店の営業時間に準ずる
入場料:無料
03-3569-3300
https://www.hermes.com/jp/ja/story/maison-ginza/forum/191018/
text : Shiyo Yamashita