2019.08.31

パリ・オペラ座が杉本博司の演出でバレエと能のコラボレーション劇を上演!

2019年で350周年を迎えるパリ・オペラ座の2019/2020年シーズンプログラムのオープニング作品として、杉本博司演出による『At the Hawks Well/鷹の井戸』が2019920日(金)〜1015日(火)、ガルニエ宮にて上演。音楽・ビデオ制作は池田亮司、衣裳はリック・オウエンスが手がける。

パリ・オペラ座の2019/2020年シーズンプログラムのオープニング作品として、杉本博司演出による『At the Hawks Well/鷹の井戸』が2019920日(金)〜1015日(火)、ガルニエ宮にて上演される。

Blake Works I - Ballet de l'Opéra national de Paris © Ann Ray / OnP
Blake Works I - Ballet de l'Opéra national de Paris © Ann Ray / OnP

「鷹の井戸」はアイルランドの詩人・劇作家であるウィリアム・バトラー・イェイツによる戯曲。1916年に初演されたこの戯曲は、イェイツが日本の古典演劇である能楽に触発されて書いたもの。この戯曲を原作とする今回の舞台で杉本は、音楽・ビデオ制作にパリを拠点に活躍するミュージシャンで現代美術家の池田亮司を、振付にベジャール・バレエ・ローザンヌ、リヨン・オペラ座バレエ団、ウィリアム・フォーサイス率いるフランクフルト・バレエ団などで活躍した後、日本でも多彩な活動を展開するダンサー・振付家のアレッシオ・シルベストリンを招聘。また衣裳デザインにはリック・オウエンスを迎え、オペラ座のバレエダンサーとのコラボレーションに挑む。

Blake Works I, William Forsythe - Ludmila Pagliero, Germain Louvet 2016-17-F
2016年に上演された際の「Blake Works I」の模様。今回は「鷹の井戸」との2本立てでの上演となる。
Blake Works I, William Forsythe - Ludmila Pagliero, Germain Louvet © Julien Benhamou- OnP
杉本博司
自身の制作活動にとどまらず、日本の文化や技術を伝承するための活動も活発に展開する杉本博司。

もともとイェイツに能の初期の英訳テキストを紹介したのは、アメリカの詩人エズラ・パウンド。そのパウンドに能について教えたのは、岡倉天心の師としても知られる東洋美術史家で哲学者のアーネスト・フェノロサの妻だったという。日本美術の海外への紹介に尽力したフェノロサは、能に魅せられ、観世流シテ方能楽師の初世 梅若実に師事した人物だ。

『鷹の井戸』は舞踏劇として1916年にロンドンで初演、翌年出版。日本の能作者である横道萬里雄は’49年にこの曲を新作能『鷹の泉』として改作。その後、’67年には横道によりさらに大胆に改作された『鷹姫』が観世寿夫らによって上演されている。杉本によれば、今回のガルニエ宮公演は「百年をかけて改作されながら世界を一巡りし、今回はバレエ作品となって、オペラ座の素晴らしいダンサー達とともに、イェイツの魂を再び舞台上に呼び戻す試み」。九世 観世銕之丞、二代 梅若紀彰という2人の能楽師の出演も話題だ。

なお、本公演はフォーサイスがジェイムス・ブレイクの曲を用い、パリ・オペラ座バレエ団のために創作した『Blake Works I』(再演)との2本立てで上演されるので、こちらも見逃せない。チケットはパリ・オペラ座のオフィシャルサイトにて。早めの購入をお勧めしたい。

『At the Hawk’s Well/鷹の井戸』
公演期間:2019年9月20日(金)~10月15日(火)
会場:パリ・オペラ座 ガルニエ宮(8 Rue Scribe, 75009 Paris)
演出:杉本博司
音楽・音響制作:池田亮司
振付:アレッシオ・シルベストリン
原作:ウィリアム・バトラー・イェイツ
空間演出:杉本博司、池田亮司
衣裳:リック・オウエンス
制作協力: 小田原文化財団
特別協賛:全日本空輸株式会社

問い合わせ:0465-42-9170(公益財団法人小田原文化財団)※10:0016:00/休館日(火曜・水曜)を除く
https://www.operadeparis.fr/en/season-19-20/ballet/hiroshi-sugimoto-william-forsythe


text : Shiyo Yamashita

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パリ・オペラ座が杉本博司の演出でバレエとの画像_1
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2016年に上演された際の『Blake Works I』の模様。今回は『鷹の井戸』との2本立てでの上演となる。 Blake Works I, William Forsythe - Ludmila Pagliero, Germain Louvet © Julien Benhamou / OnP
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自身の制作活動にとどまらず、日本の文化や技術を伝承するための活動も活発に展開する杉本博司。
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Hiroshi Sugimoto, Opticks 020, 2018 © Hiroshi Sugimoto,/courtesy of Odawara Art Foundation
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Blake Works I, William Forsythe - Ludmila Pagliero, Germain Louvet © Julien Benhamou / OnP
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