SPACE FILMS GALLERYでは2020年9月4日(金)〜27日(日)、髙松聡による初個展「FAILURE」を開催する。民間人では日本初となる、国際宇宙ステーション滞在を前提とした長期にわたる宇宙飛行士訓練をロシア“星の街”で受けた彼の、「失った夢」と「発見した夢」を表現した作品群は、宇宙での撮影に向けたプロジェクトの第一歩となる。
SPACE FILMS GALLERYでは2020年9月4日(金)〜27日(日)、ロシアの“星の街”で宇宙飛行士訓練を受けたアーティスト、髙松聡による初個展「FAILURE」を開催する。
髙松はクリエイティブ・ディレクターとして多くのブランドのCMを手掛け、カンヌ広告祭をはじめとした国際広告賞で数多く受賞してきた、日本を代表するクリエイターの1人。2001年に大塚製薬「ポカリスエット」のCMで、世界で初めてとなる宇宙空間でのCM撮影を実現、また2005年の日清食品「カップヌードル」のCMでは民間保有のビデオカメラでの世界初のCM撮影に成功している。その際に舞台となったのが、国際宇宙ステーションのロシア・モジュール。その縁もあり、彼は2014年に民間人では日本初となる国際宇宙ステーション滞在を前提とした宇宙飛行士訓練をモスクワ郊外の“星の街”にあるガガーリン宇宙飛行士訓練センターで受けることを決意、広告業界から引退した。
2015年1月より厳しい訓練を続け、本来なら英国の歌手サラ・ブライトマンのバックアップクルーとして、ロシア公認の宇宙飛行士として認定される予定だった髙松は、彼女が突如飛行辞退を申し出たことから、その立場を失ってしまう。その後も挫けず最後まで訓練を続行し、全試験を好成績のもと合格して卒業式を迎えたが、バックアップクルーという立場を失った彼が宇宙飛行士として認定されることはなかった。
「ロシア公認の宇宙飛行士になる」という夢が想定外の事態で“失敗”に終わった後、髙松は「国際宇宙ステーションに滞在し宇宙から見る地球の姿を写真と映像で撮影し、地上で再現すること」という新しい夢を“星の街”で見つける。本展に展示されているのは、そんな髙松の「失った夢」と「発見した夢」を形にした作品たち。ロケットや宇宙服、バイコヌール宇宙基地を撮影したドラマティックな写真からは宇宙への憧憬を、“星の街”の風景や道端に咲く花などを捉えた穏やかで温かな写真からはロシアの日常への愛着が見てとれる。
髙松のアーティスト活動としては、2014年に東京都現代美術館で開催された「ミッション[宇宙×芸術] コスモロジーを超えて」への参加以来となる本個展は、宇宙での撮影に向けたプロジェクトの第一歩ともなるもの。稀有な体験を経て新たな境地に至った彼の圧倒的な表現に、ぜひ触れてみて欲しい。
「FAILURE」
会期:2020年9月4日(金)〜27日(日)
会場:SPACE FILMS GALLERY(東京都港区北青山3-5-6 青朋ビル 2F)
時間:11:00〜19:00
定休日:月曜
03-6434-9029
http://spacefilms.jp/
text : Shiyo Yamashita