シャネルの歴史やブランドのアイデンティティを掘り下げるショートフィルムシリーズ「INSIDE CHANEL」で、第二十八章 「ガブリエル シャネルと映画」の配信がスタート。ともに19世紀に生まれたガブリエル シャネルのファッションと映画との融合により生み出された新しい価値や、時を超えるモダニティについて、彼女が携わった数々の名作映画を通じて紐解くフィルムは必見だ。
シャネルの歴史やブランドのアイデンティティを掘り下げるショートフィルムのシリーズ「INSIDE CHANEL」で、第二十八章 「ガブリエル シャネルと映画」の配信がスタートした。
「INSIDE CHANEL」ではこれまで、シャネルというブランド、そしてガブリエル シャネルという稀代の存在について、さまざまな角度から切り込むショートフィルムを公開してきた。今回公開されたのは、1883年生まれのガブリエル シャネルと、1895年にリュミエール兄弟によって世に送り出された映画との出合いが20世紀の文化において果たした革新的な役割について紹介するものだ。
映画という新しい芸術が20世紀の文化に与える重要性を早くから理解していた彼女は、ファッションと映画を組み合わせる必要性を認識。1931年には映画プロデューサーのサミュエル・ゴールドウィンの招聘でハリウッドに渡り、グレタ・ガルボやマレーネ・ディートリヒを魅了。マーヴィン・ルロイ監督『今宵ひととき』('31年)ではグロリア・スワンソンの衣装を手がけている。
映画製作者や女優たちと対話を重ねたガブリエル シャネル。才能と才能を結びつけるのも彼女の得意技だった。
ただ、ハリウッド式の派手さとガブリエル シャネルの洗練されたデザインは折り合いが悪く、妥協を嫌う彼女はパリに戻ることに。その後、フランスでマルセル・カルネ監督『霧の波止場』(’38年)、ジャン・ルノワール監督『ラ・マルセイエーズ』('38年)、『獣人』('38年)、『ゲームの規則』('39年)などの衣装を担当。戦後は彼女のヴィジョンがヌーヴェルヴァーグの現代性と合致したこともあり、ルイ・マル監督『死刑台のエレベーター』(’58年)、『恋人たち』(’58年)、ロジェ・ヴァディム監督『危険な関係』(’59年)などで、親友ジャンヌ・モローの衣装を手がけている。なかでも1961 年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したアラン・レネ監督『去年マリエンバートで』での衣装は高く評価されたが、シャネルはこの作品を完全修復、2019年に4Kデジタル・リマスター版として再上映している。
オムニバス作品『ボッカチオ'70』('62年)のうち、ルキノ・ヴィスコンティ監督が手がけた『仕事中』には、シャネルのツイードのスーツやキルティングのハンドバッグ、
約2分半のこのショートフィルムでは、近代映画のアイコンたちにモダニティの刻印を残したガブリエル シャネルの姿を凝縮して紹介。シャネルの「INSIDE CHANEL」のその他のショートフィルムと併せて、じっくり楽しんでみて。家で過ごす時間が豊かになること請け合いだ。
CHANEL
http://chanel.com/
text : Shiyo Yamashita