メゾン マルジェラは2023年8月10日(木)に表参道店が移転オープンしたのを記念して、最新の「アーティザナル」コレクションを展示するインスタレーション『シネマ・インフェルノ』を2023年8月15日(火)まで、東京・渋谷で開催中だ。今年1月にパリで発表されたものを元に、オリジナルの展示構成として発表されている。
メゾン マルジェラの表参道店が、2023年8月10日(木)、同じGYREビルの2階から1階に移転オープン。これを記念して、2022年に発表された「アーティザナル」コレクションを展示するインスタレーション『シネマ・インフェルノ』を、2023年8月15日(火)まで東京・渋谷のパークウェースクエア2にて開催している。
『シネマ・インフェルノ』はクリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノが構想した、アメリカ南部を舞台に、逃亡を続ける不運な恋人たち、カウントとヘンを主人公にしたダークポエティックな物語に基づいたもの。昨年7月にパリのシャイヨー宮で開催された「アーティザナル」コレクションの発表において、ガリアーノはイギリスの演劇カンパニー、 イミテイティング・ザ・ドッグとコラボレーションし、この物語をオートクチュールと 映画、演劇が一体化したアッサンブラージュ(寄せ集め)・パフォーマンス作品『シネマ・インフェルノ』として完成させていた。
今年1月にはパリのメゾン本社で行われた「Co-Ed 」コレクションの発表に合わせ、この作品をさらに発展させた、ストーリーとテーマを視覚的に表現する劇場型のインスタレーションを発表。今回渋谷で発表されるインスタレーションは、このパリでのフォーマットをもとにしながら、オリジナルの展示構成になっているという。
会場では、ペンキで描かれたようなメゾン マルジェラのアイコニックな「タビ」の足跡が、マネキンとセットで構成された物語の場面へと案内してくれる。エントランスを抜けて進むと、スクリーンが設置され、その周辺には悪役のスペクトラル・カウボーイズや主人公のカウントやヘン、ヘンの母親を演じるマネキンが置かれている。
『シネマ・インフェルノ』の舞台でカウントとヘンが運転したコンバーチブルカーの実物大のモデルがガラス窓を突き破ったかのように出現していたり、円形の手術室で医療用ユニフォームを着た医師や看護師のマネキンが手術シーンを演じていたりと、舞台の世界が見事に凝縮された空間では、カウントとヘンの体験がドラマティックに再現されている。地下1階にはスクリーン版『シネマ・インフェルノ』を投影した天井まで鏡のミラールームが。ここでは感情と感覚を揺さぶられるままに物語の世界に没入する体験ができる。
会場に設置されたマネキンは、メゾン マルジェラのオートクチュールにあたる「アーティザナル」の2022年コレクションを着用。すべてのルックはアトリエで手作業で製作されており、そこで開発されるメゾンの主要なテクニックやコードを表現しているので注目を。砂に侵食されたように見える生地の表面にはジャカード、ニードルパンチ、フロッキング、ビーズ刺繍によるサンドストーミングのテクニックが施されていたり、手術室の医師や看護師が纏うクラシックなシルエットのコートは、手術着のカッティングや機能を融合することで服の記憶を変換するコード「メモリー・オブ」を表現していたり。ペンドルトンとのコラボレーションで作られたチェック柄の服は、物語の舞台であるアメリカのムードを象徴している。
メゾン マルジェラではすべてのコレクションのクリエイションのプロセスをピラミッド型の構図で表しており、「アーティザナル」コレクションで提起されるアイデアやテクニックは、プレタポルテにあたる「 Co-Ed」コレクションからアクセサリー、シューズまですべてのガーメント、プロダクトに派生している。今回の東京での『シネマ・インフェルノ』と8月10日(木)に移転オープンする表参道店での「Co-Ed」の展開によって、クリエイションのシナジー効果の輪がようやく完成する。見逃す手はなさそうだ。
『シネマ・インフェルノ』
会場:パークウェースクエア2(東京都渋谷区神南1-19-10)
会期:〜2023年8月15日(火)
時間:11:00〜20:00(最終入場19:30)
入場無料/事前予約可(予約優先)
https://www.maisonmargiela.com/ja-jp/cinema-inferno.html