東京・六本木のペロタン東京では現在、フランス人アーティスト、ローラン・グラッソの個展「Orchid Island」を開催中だ。モノクローム映像「オーキッド アイランド(Orchid Island)」と4つの風景画などが展示されている。会期は2024年2月24日(土)まで。
東京・六本木のペロタン東京では、2024年2月24日(土)までの会期で、フランス人アーティスト、ローラン・グラッソの個展「Orchid Island」を開催中だ。
グラッソは1972年、フランス・ミュルーズ生まれ。パリ国立高等美術学校、セントラル・セント・マーチンズ、クーパー・ユニオンを卒業。2008年にはマルセル・デュシャン賞を受賞、2015年に芸術文化勲章・シュヴァリエを受勲している。現在はパリとニューヨークを拠点に活動しており、映像、絵画、彫刻、建築、インスタレーションなど多岐にわたる手法で作品を発表している。
日本ではこれまでに銀座メゾンエルメス フォーラムにて2025年に個展「Soleil Noir」(ソレイユ・ノワール/黒い太陽)を開催。また翌2016年には森美術館で開催された「宇宙と芸術展」にも出展した。これらの展覧会に際して、彼は日本文化についても研究し、西洋と日本の文化を折衷させた、奇妙で興味深い作品群を発表している。
本展では、かつて蘭が自生しており、現在では放射性廃棄物貯蔵施設があることでも知られる台湾・蘭嶼島で撮影された映像を基に制作されたモノクローム映像《Orchid Island》のほか、4つの風景画や、黒大理石の彫刻作品を展示。映像作品には緑豊かな楽園のような島が映し出され、その上空にモノリスか空飛ぶ絨毯のような、長方形の巨大な雲が登場する。ゆっくりと移動するその雲は、四角い影を海や亜熱帯林に落としながら黒い雨を降らせていく。この黒い四角い雲は、現代の環境問題や地政学的問題を映し出すスクリーンであり、時空を超えた視点そのものともいえる。なお、この映像作品には音楽がついており、こちらはエールのメンバーとしても知られるニコラ・ゴダンが担当している。
また、映像作品に付随する4つの風景画は、理想化された自然の風景を描いたもの。その表面には、映像の中に登場した、長方形の黒い雲が膜となってかかっている。また、黒い大理石でできた小さな雲の作品は、海底の海洋生物が石灰岩となり、さらにそれが地殻変動によって大理石となるという工程を考えると、巨大な黒い雲から海に降り注いだ水の記憶を秘めているともいえそうだ。
雲や風景などを主題としつつ、そこにはさまざまなメタファーが。それらを読み解きつつ、じっくりと作品と対峙すれば、大きな刺激が受け取れるはずだ。
ローラン・グラッソ展「Orchid Island」
会期:〜2024年2月24日(土)
会場:ペロタン東京(東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル 1F)
開館時間:11:00〜19:00
休業日:日曜、月曜
https://www.perrotin.com/exhibitions/laurent_grasso-orchid-island/11781