世界の現代美術界の最前線で活躍し続けているアーティスト、村上隆による国内では約8年ぶりの大規模個展「村上隆 もののけ 京都」が、現在、京都市京セラ美術館にて開催中だ。会場には新たに描き下ろした大作《洛中 洛外図 岩佐又兵衛 rip》をはじめ、大多数が新作・国内初公開となる約170点が並ぶ。
日本国内では約8年ぶりとなる村上隆の大規模個展「村上隆 もののけ 京都」が、現在、京都市京セラ美術館にて開催中。江戸時代に京都を中心に活躍した絵師たちの代表作を村上が独自に解釈・引用、再構築した新作や国内初公開作品など、約170点が展示されている。
「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館、2024)展示風景 ©2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
村上は1962年東京都生まれ。1993年に東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程を修了、博士論文「美術における『意味の無意味の意味』をめぐって」で、同大日本画科初の博士号取得者となる。2000年には「スーパーフラット」を提唱、日本の伝統的な絵画表現とアニメや漫画、ゲームといった大衆文化を接続しつつ、戦前から戦後の日本人の感性や社会の様相や資本主義経済や政治・宗教をもフラットに捉え、アートの本質的な意味を問うことで、現代美術界に強いインパクトを与えた。
「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館、2024)展示風景 ©2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co.,Ltd.All Rights Reserved.
2001年には自身が代表を務める、アート作品制作やアーティスト・マネジメントを行う会社、有限会社カイカイキキを設立している。国内外を問わず受賞歴多数。近年は「Stepping on the Tail of a Rainbow」(ザ・ブロード、ロサンゼルス、2022年)、「MurakamiZombie」(釜山市立美術館、釜山、2023年)、「Understanding the New Cognitive Domain」(ガゴシアン、ル・ブルジェ、2023年)、「Takashi Murakami: Unfamiliar People ‒ Swelling of Monsterized Human Ego」(アジア美術館、サンフランシスコ、2023年)など、世界各地で個展が開催されている。
(左)村上隆《阿像》2014 Ⓒ2014 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved. (右)村上隆《吽像》2014 Ⓒ2014 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
京都では初の大規模個展となる本展では、まず、会場の東山キューブに入る前の中央ホールにそびえる高さ約 4.3m の《阿像》《吽像》に驚かされる。災いをもたらす邪⻤を踏みつけているこの2像は、東日本大震災をきっかけに制作され、自然災害、疫病、戦争といったさまざまな災厄から人々を守ってほしいという祈りが込められたものだ。
「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館、2024)展示風景 ©2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
会場は6つの部屋で構成。第1室に展示された《洛中 洛外図 岩佐又兵衛 rip》は、本展に合わせて新たに描き下ろされたもの。八角形をした第2室には、四神相応をテーマとした作品群が。 さらに進めば、1993年に誕生した村上の代表的キャラクターのひとつ「DOB君」をテーマにした作品なども見ることができる。
村上隆《風神図》2023-2024年 ©2023-2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
村上隆《雷神図》2023-2024年 ©2023-2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
本展の見どころのひとつは、第4室に展示された《風神図》と《雷神図》。俵屋宗達、尾形光琳、酒井抱一らによってほぼ100年おきに模写されてきたこの画題に村上がどう向き合い、どう描いたのか、ぜひ実際に見てほしい。さらに、最後の部屋には昨年11月に披露された、十三代目市川團十郎白猿襲名披露の際の祝幕の原画なども展示。
「村上隆 もののけ 京都」(京都市京セラ美術館、2024)展示風景 ©2024 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
村上隆《お花の親子》2020 撮影:高山幸三 ©2020 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
全室ボリュームたっぷりの展示だが、3月には2020年に東京で公開され話題を呼んだ、⾦⾊に輝く巨⼤な彫刻作品《お花の親⼦》が美術館の日本庭園に登場するというから楽しみだ。
展覧会オリジナルグッズなどの数々。
会場内には展覧会の特設ショップも。本展に出展されている作品がデザインされた多彩な展覧会オリジナルグッズや、会場でしか⼿に⼊らない限定商品が会期を通して順次発売されるという。最新情報は展覧会公式Instagram、Xでチェックして。京都市美術館開館90周年記念展「村上隆 もののけ 京都」 会期:2024年2月3日(土)〜9月1日(日) ※展示作品のうち一部に展示替えあり 会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124) 開館時間:10:00〜18:00(最終入場17:30) 休館日:月曜(祝日は開館) 観覧料:一般 ¥2,200、大学・専門学校生 ¥1,500、高校生 ¥1,000、中学生以下無料 ※障害者手帳等を提示の場合、本人及び介護者1名無料https://takashimurakami-kyoto.exhibit.jp/