東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーでは、2024年6月16日（日）までの会期で、日本を代表するイラストレーターでグラフィックデザイナーの宇野亞喜良による、過去最大規模の展覧会を開催中だ。1950年代の企業広告から近年の絵画まで、多彩で貴重な作品や資料が展示されている。
東京・初台の東京オペラシティ アートギャラリーでは、現在、日本を代表するイラストレーターでグラフィックデザイナー、宇野亞喜良の初期から最新作までの全仕事を網羅する「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」を開催中だ。
宇野は1934年愛知県生まれ。名古屋市立工芸高等学校図案科を卒業した後、1955年に上京し、カルピス食品工業や日本デザインセンターを経てフリーランスとなった。1950年代より企業広告や演劇ポスター、絵本を手がけ注目を集めるようになり、イラストレーターとしての活動を開始。1960年代には演劇実験室・天井棧敷などのアングラ演劇ポスターや舞台美術を担当、一躍時代の寵児として脚光を浴びることとなった。
1990年代以降は展覧会のキュレーションや舞台の美術監督を務めるなど活動の幅の広げ、近年は俳句とのコラボレーション作を発表するなど、70年近くにわたり第一線で活躍し続けてきた宇野。2010年刈谷市美術館で開催されて以来14年ぶり、東京では初めての大規模個展となる本展では、900点を超える作品群によって、膨大な彼の仕事の全貌を紹介している。
本展では宇野による原画を多数展示。ため息がでるほど繊細で華麗なデッサンや、細かな指示が書き込まれた校正紙などを間近に見ることができる。また、1960年代の初期から現在までに手がけたポスターが一堂に展示されているのも見もの。蛍光塗料が施されたポスターをブラックライトの光で鑑賞できるコーナーもあり、その時代の空気をリアルに体感できるのも楽しい。
また、これまであまり展示される機会のなかった、宇野の手がけた舞台美術をまとめて見られるのにも注目したい。舞台や衣装の原画、実際に制作にも携わった大道具や小道具、人形、衣装などを見ると、宇野の独特の世界が三次元になって立ち上がってくるのがわかるはず。
他にも、3本の短編アニメーション作品の上映があったり、たくさんの絵本や児童書の紹介コーナーがあったり、俳句に親しみ「左亭」の俳号を持つ宇野ならではの、松尾芭蕉や寺山修司らが詠んだ句をテーマとした新作の展示にも注目。さらに、BUCK-TICKや椎名林檎らのポスターやグッズ、2016年に実現した資生堂「マジョリカ マジョルカ」の似顔絵ジェネレーター「マジョリ画」など、 さまざまなクリエイターや企業と展開してきたコラボレーション作品なども展示されている。“魅惑のサウスポー”と呼ばれる宇野の華麗で耽美な世界観を、存分に味わい尽くしてほしい。
「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」
会期：〜2024年6月16日（日）
会場：東京オペラシティ アートギャラリー（東京都新宿区西新宿3-20-2）
開館時間：11:00〜19:00（入場は18:30まで）
休館日：月曜（祝日の場合は翌火曜）
入場料：一般 ¥1,400、大学生・高校生 ¥800、中学生以下無料／障害者手帳持参の人および付添1名は無料 ※同時開催の「収蔵品展079 特別展示 没後50年 難波田史男」、「project N 94 大城夏紀」の入場料を含む
https://www.operacity.jp/ag/exh273/
