世田谷文学館では現在、漫画家・伊藤潤二初の大規模個展「伊藤潤二展 誘惑」を開催中だ。デビュー作品の『富江』をはじめ、『うずまき』などのシリーズ漫画のほか、『首吊り気球』『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』『溶解教室』などの自筆原画、本展描き下ろしの新作も展示。伊藤の作品世界に震える体験ができる。
世田谷文学館では現在、2024年9月1日(日)までの会期で、漫画家・伊藤潤二初の大規模個展「伊藤潤二展 誘惑」を開催中。自筆原画やイラスト、絵画作品などに加え、本展描き下ろしの新作も公開している。
《富江・チークラブ》2023年 ©ジェイアイ/朝日新聞出版
伊藤は1963年、岐阜県中津川市生まれ。歯科技工士として働いていた1986年にホラー漫画雑誌『月刊ハロウィン』に初投稿した『富江』が「楳図賞」にて佳作を受賞し、デビューを果たしている。その後数年は歯科技工士と漫画家の二足の草鞋を履いて活動していたが、数年後には漫画家として独立。『うずまき』『死びとの恋わずらい』『双一』などのシリーズ漫画をヒットさせてきた。
《地獄星レミナ》2005年 ©伊藤潤二/小学館
2019年には『フランケンシュタイン』でアメリカで最も権威のある漫画賞のひとつとして知られるアイズナー賞の最優秀コミカライズ作品賞を受賞したほか、2021年には『地獄星レミナ』で最優秀アジア作品賞を、また同作と『伊藤潤二短編集 BEST OF BEST』でBest Writer / Artist部門を同時受賞した。
《死びとの恋わずらい》1997年 ©ジェイアイ/朝日新聞出版
2022年には『死びとの恋わずらい』で、同じくアイズナー賞の最優秀アジア作品賞を受賞。2023年には欧州最大規模の漫画の祭典、アングレーム国際漫画祭にて特別栄誉賞を受賞したり、サンディエゴ・コミコンでインクポット賞を受賞したりも。国内外を問わず幅広く、また熱烈な読者を獲得してきた。
《首吊り気球》1994年 ©ジェイアイ/朝日新聞出版
本展では前出の『富江』をはじめとしたシリーズ漫画のほか、『首吊り気球』や『溶解教室』などの傑作漫画や、自身と愛猫の生活を描いた猫エッセイ・マンガ『伊藤潤二の猫日記 よん&むー』などの自筆原画に加え、本展描き下ろしの新作も展示。また、フィギュア原型師・藤本圭紀氏による富江の新作フィギュアも登場。序章から第4章までの全5章立てで、唯一無二の伊藤ワールドの魅力を余す所なく体感することができる。
《伊藤潤二の猫日記 よん&むー》2009年 ©伊藤潤二/講談社
《禍々しき桐絵》2023年 ©伊藤潤二/小学館
美しくもグロテスクな表現の中に人間の恐怖や忌避感を見事に描き出す一方で、ホラーとユーモアを自在に行き来し、“奇妙だけれどリアル”な独特の世界観を構築する伊藤。ぜひこの機会に、彼の作品で“震える”体験をしてみてはいかが。
《放射状輪廻》2019年 ©ジェイアイ/朝日新聞出版
「伊藤潤二展 誘惑」 会期:〜2024年9月1日(日) 会場:世田谷文学館(東京都世田谷区南烏山1-10-10) 開館時間:10:00~18:00(展覧会入場、ミュージアムショップは〜17:30) 休館日:月曜(ただし7月15日、8月12日は開館、翌平日休館) 観覧料:一般 ¥1,000、65歳以上・大学・高校生 ¥600、小・中学生 ¥300、障害者手帳持参の人 ¥500(ただし大学生以下は無料) ※5月15日(水)は「国際博物館の日(5月18日)」を記念して入場無料https://www.setabun.or.jp/