戦後の女性前衛美術家たちはなぜ歴史から消えたのか? 「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」、東京国立近代美術館で開催

東京・竹橋の東京国立近代美術館では、2025年12月16日(火)より、1950~60年代に注目を集めた日本の女性美術家14名の作品約120点を紹介する「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」を開催する。新しい時代を象徴していた女性の美術家は、なぜ歴史から姿を消したのかに迫る、必見の企画展だ。

東京・竹橋の東京国立近代美術館では、2025年12月16日(火)~2026年2月8日(日)、1950~60年代に注目を集めた日本の女性美術家による創作を「アンチ・アクション」というキーワードから見直す「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」を開催する。

東京・竹橋の東京国立近代美術館では、2025年12月16日(火)より、1950~60年代に注目を集めた日本の女性美術家14名の作品約120点を紹介する「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」を開催する。新しい時代を象徴していた女性の美術家は、なぜ歴史から姿を消したのかに迫る、必見の企画展だ。

東京・竹橋の東京国立近代美術館では、2025年12月16日(火)~2026年2月8日(日)、1950~60年代に注目を集めた日本の女性美術家による創作を「アンチ・アクション」というキーワードから見直す「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」を開催する。

戦後の女性前衛美術家たちはなぜ歴史から消の画像_1

田中敦子 《地獄門》 1965-69年 ビニール塗料、アクリル・カンヴァス 331.5×245.5cm 国立国際美術館蔵 ©Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association

1950〜60年代の日本では、女性美術家が前衛美術の領域で大きな注目を集める時期が短いながらもあった。これを後押ししたのが、海外から流入した抽象芸術運動「アンフォルメル」と、それに応じる批評言説だった。批評家のミシェル・タピエが提唱したこの運動は、「未定形」をめざす制作や、偶然性・素材の抵抗を重視するもので、1956年に国内を巡回した「世界・今日の美術展」で紹介されると、日本の現代美術界に大きな影響を与えた。タピエは57年に来日し、福島秀子(1927〜1997)や田中敦子(1932〜2005)を高く評価している。

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福島秀子 《ホワイトノイズ》1959年 油彩・カンヴァス 130.5×92.0cm 栃木県立美術館蔵

ところが、それに続いてジャクソン・ポロックらに代表される、絵の具をキャンパスに垂らしたり飛び散らせたり、叩きつけたりといった身体的な動作を重視する「アクション・ペインティング」という、様式概念が導入され、豪快さや力強さといった男性性と親密な「アクション」の概念に男性批評家たちが反応すると、伝統的なジェンダー秩序の揺り戻しが生じる。女性美術家たちは如実に批評対象から外されていき、田中や草間彌生(1929〜)など限られた作家以外は、徐々に美術史から姿を消していくこととなった。

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宮脇愛子 《作品》 1967年 真鍮 47.5×49.5×12.0cm 撮影:中川周

本展は『アンチ・アクション─日本戦後絵画と女性画家』(ブリュッケ、2019年、第42回サントリー学芸賞受賞/『増補改訂 アンチ・アクション—日本戦後絵画と女性の画家』筑摩書房、2025年)の著者・中嶋泉の全面的な協力により、ジェンダー研究の観点から日本の戦後美術史に新たな光を当てるもの。関係者の協力と本展のための綿密な調査により、赤穴桂子(1924〜98)、多田美波(1924〜2014)、宮脇愛子(1929〜2014)らによる、これまで紹介されていなかった初期作品や未発表作品を展示する。

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芥川(間所)紗織 《スフィンクス》 1964年 油彩・カンヴァス 130.0×162.0cm 東京国立近代美術館蔵

芥川(間所)紗織(1924〜66)、榎本和子(1930〜2019)、江見絹子(1923〜2015)、白髪富士子(1928〜2015)、田中田鶴子(1913〜2015)、田部光子(1933〜2024)、毛利眞美(1926〜2022)、山崎つる子(1925〜2019)らの知られざる作品も。会場には「アンチ・アクション」のコンセプトを一望できる年表が掲示されるほか、本展に関わる様々なトピックを紹介するガイドが配布されるので、当時の時代背景とともに、メインストリームから外されながらも精力的に表現活動を行った女性美術家たちについて、わかりやすく、また多面的に知ることかできる。

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榎本和子 《断面(Ⅰ)》 1951年 油彩・カンヴァス 116.5×91.0cm 板橋区立美術館蔵

女性美術家の再評価が進むなかで行われる、これまでにない視点での企画。ある意味でマッチョな「アクション」の時代に別のかたちで応答した、「彼女たち」の挑戦の軌跡に注目してほしい。

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山崎つる子 《作品》 1964年 ビニール塗料・綿布、板 183.0×137.5cm 芦屋市立美術博物館蔵 ©Estate of Tsuruko Yamazaki, courtesy of LADS Gallery, Osaka and Take Ninagawa, Tokyo

「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」
会期:2025年12月16日(火)~2026年2月8日(日)
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー(東京都千代田区北の丸公園3-1)
開館時間:10:00〜17:00(金・土曜は10:00〜20:00)
休館日:月曜(ただし1月12日は開館)、年末年始(12月28日(日)~1月1日(木曜・祝日))、1月13日(火)
観覧料:一般 ¥2,000、大学生 ¥1,200 ※高校生以下および18歳未満、障害者手帳を提示の方とその付添者(1名)は無料/本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」(4-2F)も観覧可能/「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」展(東京都現代美術館)との相互割引あり
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://www.momat.go.jp/exhibitions/566

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