「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」、東京都現代美術館で開催! 日本の公立美術館では初の個展で“構造を開く思考”に触れる

東京都現代美術館では20世紀後半を代表するアーティストのひとりであるソル・ルウィット(1928–2007)の、日本の公立美術館では初の個展を、2025年12月25日(木)より開催する。ウォール・ドローイング、立体・平面作品、アーティスト・ブックなど、その広範な仕事を検証する貴重な機会だ。

東京都現代美術館では2025年12月25日(木)〜2026年4月2日(木)、20世紀後半を代表するアーティストのひとり、ソル・ルウィット(1928–2007)の個展を開催する。本展は日本の公立美術館では初のソル・ルウィットの個展となる。

東京都現代美術館では20世紀後半を代表するアーティストのひとりであるソル・ルウィット(1928–2007)の、日本の公立美術館では初の個展を、2025年12月25日(木)より開催する。ウォール・ドローイング、立体・平面作品、アーティスト・ブックなど、その広範な仕事を検証する貴重な機会だ。

東京都現代美術館では2025年12月25日(木)〜2026年4月2日(木)、20世紀後半を代表するアーティストのひとり、ソル・ルウィット(1928–2007)の個展を開催する。本展は日本の公立美術館では初のソル・ルウィットの個展となる。

「ソル・ルウィット オープン・ストラクチの画像_1

《ウォール・ドローイング #66》を制作中のソル・ルウィット(グッゲンハイム美術館、ニューヨーク、1971年) © 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery. 

1928年にアメリカのコネチカット州ハートフォードで生まれ、シラキュース大学で絵画と版画を学んだルウィットは、朝鮮戦争への従軍などを経て1953年よりニューヨークに拠点を定める。1960年からはニューヨーク近代美術館で働く傍ら、絵画を制作、1965年に初個展を開催。芸術を個人の内面や感情の表現とする伝統的な考えに異を唱え、1967年に「コンセプチュアル・アートについてのパラグラフ」を『アートフォーラム』夏号に発表した。「アーティストがコンセプトから生まれる芸術のあり方を選択する場合、すべての計画や決定は事前に行われ、実際の作業は形だけのものとなる。アイデアは芸術を生み出す機械となる」という一節を含むこの文章で、彼は作品の物質的な側面よりも、それを生み出すアイデアやプロセスを重視する芸術の動きに「コンセプチュアル・アート」という呼称を与え、その後の実践に多大な影響を与えることとなる。

「ソル・ルウィット オープン・ストラクチの画像_2

ソル・ルウィット《ウォール・ドローイング #283 青色の円、赤色の直線、黄色の直線の位置》初回展示1976年 2017年イェール大学美術館ウェストキャンパス・コレクションセンター(コネチカット州ウェストヘイブン)での展示 © 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery. 

ルウィットの代表的な仕事のひとつであり、1968年に初めて発表されたウォール・ドローイングは、全体で1,300点を超える。そのほとんどは、ルウィット自身の文章や図面による指示をもとに、他の人の手で壁に描かれ、展覧会では会期が終わると塗りつぶされた。こうした手法やプロセスは、作者性や唯一性、物質的な永続性といった芸術をめぐる前提に再考を促すものであった。さらに1980年代以降の作品には、それまでに見られなかった複雑な形態や豊かな色彩が現れるように。それは、事前に定められた簡潔な指示や計画に基づくという点で同じ原則の延長上にあり、その射程を拡げる試みであったといえる。

「ソル・ルウィット オープン・ストラクチの画像_3

ソル・ルウィット《ウォール・ドローイング #1164 ドローイング・シリーズ I 2 (A & B)》構想1969年、初回展示2005年 2010年グラッドストーン(ブリュッセル)での展示 © 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery. 

本展ではルウィットの芸術に通底する「構造を開く思考」に注目。外側の各面を削ぎ落とし、骨組みとなる辺を際立たせることで、形態を支える構造を明らかにしようとする立方体を用いた作品や、設置される環境や空間、ドローイングの従事者といった条件に応じ、与えられる形態に変化の余地を残した6点のウォール・ドローイングなどを展示する。また、ルウィットが自らのアイデアを多くの人と共有するために1960年代から晩年まで制作し続けた、多数のアーティスト・ブックやその他の書籍を通して、アーティストの思考の軌跡を辿る。

 

「ソル・ルウィット オープン・ストラクチの画像_4

ソル・ルウィット《ストラクチャー(正方形として1, 2, 3, 4, 5)》1978–80年、滋賀県立美術館蔵 © 2025 The LeWitt Estate / Artists Rights Society (ARS), New York. Courtesy Paula Cooper Gallery. 

1960年代後半以降、作品が単なる鑑賞の対象にとどまらず、思考の場として見直されていくなかで、ルウィットの作品が果たした役割は大きい。既存の構造や仕組みに再考を促し、別の構造への可能性を開こうとしてきたルウィットの思考の軌跡に触れる絶好の機会。私たちが世界を捉えるにあたっての大きな気付きを与えてくれるはずだ。

「ソル・ルウィット オープン・ストラクチャー」
会期:2025年12月25日(木)~ 2026年4月2日(木)
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F(東京都江東区三好4-1-1)
開館時間:10:00〜18:00 ※展示室入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜(1月12日、2月23日は開館)、12月28日(日)〜1月1日(木・祝)、1月13日(火)、2月24日(火)
観覧料:一般  ¥1,600、大学生・専門学校生・65歳以上 ¥1,100、中高生 ¥640、小学生以下無料
問い合わせ:03-5245-4111(代表)
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/LeWitt/

FEATURE