弘前市生まれの奈良は1988年にドイツへ渡り、2000年に帰国。国際的に活躍する中で、国内初の本格的な個展「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.」の巡回展(2002年)、「From the Depth of My Drawer」の巡回展(2005年)、「YOSHITOMO NARA + graf A to Z」(2006年)を、まだ美術館になる前の吉野町煉瓦倉庫にて開催した。本展は、これをひとつの契機として改修・整備され、2020年にオープンした弘前れんが倉庫美術館にて、3度の展覧会の軌跡を振り返り、展覧会が地域と人々にもたらしたものを考える、特別な機会となっている。
2005年、2006年の展示のグラフィックや、書籍『A to Z 奈良美智+グラフ』(奈良美智、graf著)を手がけたデザイナーの山本誠が構成・デザインを担当した会場には、当時の関係者へのインタビュー映像や、市民の協力により集まった印刷物やグッズなどの資料のほか、展覧会準備の様子や展示風景を撮影した永野雅子と細川葉子による写真、当時出展された奈良の作品の一部などが。奈良が弘前時代に親しんだ書籍やレコードの展示もある。