先輩たちの顔が物語るもの

　よく「人生が顔に刻まれる」と言いますが、この写真集を見ていると、まさにその意味がわかります。白鳥真太郎さんによる100名のポートレートを納めた『貌・KAOⅡ 白鳥写真館 「これから…」』（日本経済新聞出版社）。広告写真家として活躍する白鳥さんが、3年の歳月をかけて撮り続けた100名のポートレートと各人の人生哲学が綴られた１冊です。

　一番の見所は、100名がすべて60歳代（撮影時）だということ。表紙を飾る北野武さんをはじめ、夏木マリさんや彫刻家の舟越桂さん、デザイナーの津森千里さんなど、業界を超えて今も第一線で活躍する先輩たちが登場しています。笑顔の人、思慮をめぐらすような表情をしている人、射るような眼差しの人、ページをめくるたび、100人100通りの顔が現れますが、いずれもこれまでの人生の道筋を物語っているような、迫力のある１枚です。

　7月29日からは銀座・和光ホール（和光・本館6階）にて、本書に納められた写真が生で見られる写真展『白鳥真太郎 写真展 貌・KAOⅡ 白鳥写真館「これから…」』が開催されます。人生が凝縮された１枚を見て、ぜひ明日に進むパワーをもらってください。