ロンドン北西部にあるヴィクトリア朝の古びたタウンハウスが、大がかりなリノベーションで華麗に生まれ変わった
「初めてここを見たときは、本当にひどい状態だったの」。ロンドンの北西にある、ヴィクトリア調の広大なタウンハウスに住むクラウディア・ドナルドソンはこう語る。「とにかく、話にならないくらい古びていたんだ」と、クラウディアの夫で写真家のマシュー・ドナルドソンも同意する。5年前にこのタウンハウスを購入したふたりは、珍妙な天井やしろうとくさい電気配線といったあれやこれやを改造して、古ぼけた内装を優美なオアシスに変身させたのだ。
夫のマシューは、ロエベやスマイソンといったラグジュアリーブランドやファッション雑誌のために、正統派で緻密な静物写真を撮影している。自分の仕事では、シンプルな線とまとまった色彩を好んで用いる。たとえば、むき出しの階段の上にハンドバッグをひとつ置き、照明を効果的に当てるといった具合だ(「初めて会ったころの彼は、すごく堅苦しい人だったの」とクラウディアは言う。「ジャン・プルーヴェの椅子が置かれた白い箱のような家にいられれば、それで幸せっていうタイプね」)。彼はモノでいっぱいになることが大嫌いで、部屋が散らかることを恐れてさえいる。
3階建てのこの家は、いったんすべての装飾を取り払って丸裸にしなければならなかった。マシューは空間を広げるためにいくつかの壁をとり壊し、残りの壁を白く塗り、床一面にコンクリートを敷いた。そうした大がかりな解体作業によって、一から大きな白い箱を創りあげたのだ。そしてクラウディアが、その中にインテリアやモノを詰め込んでいった。
「2人で一緒に、自分たちの住む家を形にしていったというわけ」とクラウディアは言う。彼女は新聞と雑誌の編集者で、つい先ごろはLVMHの傘下にあるビデオサイトNowness.comのディレクションを担当した。「彼は全体のプランと構造といった基礎的な部分を担当した。そこに私が加わり、大量のクッションを持ち込んでこの家を完成させたのよ」(その他、寝室やバスルームも公開)
SOURCE:「A Cozy London Townhouse, Both Spare and Filled To The Brim」By T JAPAN New York Times Style Magazine
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