広い厨房で各自が料理に没頭する。緑のエプロンは広尾本店のスタッフ。茶色、白のエプロンは全国から集まった料理長たち PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
今年37歳になった平松大樹 料理長 PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
鹿肉は、たこ糸の巻き方や火の入れ方をあれこれ試行錯誤。フランス料理の技を取り入れた日本料理の一品になる PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
エクルビス(ザリガニ)で作るソース・ナンチュア(甲殻類のクリームソース)。フランス・ジュラ地方の高価な白ワイン、ヴァンジョーヌをなんと一本まるごと鍋の中に! PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
大阪「ラ・フェット ひらまつ」の倉卓嗣による「ぼたんエビのマリネ シャルトリューズのグラニテ添え」。三日がかりで試作した料理を、最終日に全員で試食する PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
平松宏之。経営から退き、人材育成などに力を注ぎたいと、ひらまつ総合研究所を設立した。「店はスタッフやお客さまのためにも続いてほしいけれど、僕の料理は引き継がれなくていい。料理とは一代限りのものだからね」 PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
合宿のルールのひとつは朝昼晩の食卓を全員で囲むこと。まかない作りは本店の若いスタッフたちの仕事だ。「食事を一緒にすることで自然に会話が生まれます。食卓を囲む楽しさをお客さまへ伝える立場として、そのことをスタッフに体感してほしい」(大樹) PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
広い厨房のあちこちで、大樹や各店の料理長たちが料理を指導するシーンも。広尾本店のスタッフたちは、フランス料理の厨房ではなかなかお目にかかれないハモの骨切りを体験中。日本料理の技を取得するため、真剣な表情で代わるがわるトライ PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
ピカピカに磨き上げられ、清潔感漂う厨房。素人には使いこなせそうにない大型のデジタル器具やプロ仕様の調理道具など広尾本店と同様の設備がそろう。大勢の料理人が、みな手を休めることなく、それぞれのテーマに取り組む PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
広い厨房で各自が料理に没頭する。緑のエプロンは広尾本店のスタッフ。茶色、白のエプロンは全国から集まった料理長たち PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
今年37歳になった平松大樹 料理長 PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
鹿肉は、たこ糸の巻き方や火の入れ方をあれこれ試行錯誤。フランス料理の技を取り入れた日本料理の一品になる PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
エクルビス(ザリガニ)で作るソース・ナンチュア(甲殻類のクリームソース)。フランス・ジュラ地方の高価な白ワイン、ヴァンジョーヌをなんと一本まるごと鍋の中に! PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
大阪「ラ・フェット ひらまつ」の倉卓嗣による「ぼたんエビのマリネ シャルトリューズのグラニテ添え」。三日がかりで試作した料理を、最終日に全員で試食する PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
平松宏之。経営から退き、人材育成などに力を注ぎたいと、ひらまつ総合研究所を設立した。「店はスタッフやお客さまのためにも続いてほしいけれど、僕の料理は引き継がれなくていい。料理とは一代限りのものだからね」 PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
合宿のルールのひとつは朝昼晩の食卓を全員で囲むこと。まかない作りは本店の若いスタッフたちの仕事だ。「食事を一緒にすることで自然に会話が生まれます。食卓を囲む楽しさをお客さまへ伝える立場として、そのことをスタッフに体感してほしい」(大樹) PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
広い厨房のあちこちで、大樹や各店の料理長たちが料理を指導するシーンも。広尾本店のスタッフたちは、フランス料理の厨房ではなかなかお目にかかれないハモの骨切りを体験中。日本料理の技を取得するため、真剣な表情で代わるがわるトライ PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
ピカピカに磨き上げられ、清潔感漂う厨房。素人には使いこなせそうにない大型のデジタル器具やプロ仕様の調理道具など広尾本店と同様の設備がそろう。大勢の料理人が、みな手を休めることなく、それぞれのテーマに取り組む PHOTOGRAPH BY MASAHIRO GODA
8月、東京・広尾のフランス料理店「レストランひらまつ 広尾」は1カ月間休業する。スタッフが料理だけに向き合う夏の“合宿"に密着。ボーダーレス化する日本のフランス料理はどこへ向かうのか――?
大勢の人で混み合う夏の軽井沢。フランス料理店「レストランひらまつ 広尾」の料理長・平松大樹は(ひろき)は、研修所のある別荘地へ車を走らせていた。東証一部上場の高級レストラン企業「株式会社ひらまつ」の創業者である平松宏之の名前は、ご存じの方も多いだろう。現在、ひらまつは約660人の社員を抱え、35のレストランと4つのホテルを経営する。
その中核である「レストランひらまつ 広尾」を、2017年、大樹は平松宏之より二代目として引き継いだ。そして同年、人材育成のため、軽井沢に「ひらまつ総合研究所 セミナー ハウス」が創設された。その研修所で、初めての“合宿”が行われたのは昨年8月。この夏が2回目となる。大樹が率いる広尾本店が8月の1カ月間をまるまる休み、厨房スタッフがここで2週間の合宿を行うのだ。そこには、ひらまつの各レストランの料理長たちも国内外から、それぞれ可能な日程で集まってくる。
広い厨房で各自が料理に没頭する。緑のエプロンは広尾本店のスタッフ。茶色、白のエプロンは全国から集まった料理長たち
風そよぐ森の中に、スタイリッシュな建物が佇んでいる。研修所の吹き抜けのエントランスには、大きなソファと本棚がある。大ぶりで高価な料理本、フランス料理の大家・エスコフィエの料理書などが並ぶ。建物の中心となるホールには、広尾本店と同仕様だという最新型の厨房がしつらえられていた。十数人の料理人がそれぞれ、ソースを作ったり肉を焼いたり。長いカウンターの一方では、数人が額を寄せ合って話し込んでいる。店の厨房のように殺気立った雰囲気はなく、真剣だが穏やかな空気が漂う。
今年37歳になった平松大樹 料理長
「僕らはふだん、料理以外にもたくさんの用事を抱え、自分の料理について深く考える時間をとるのが難しい。だから、ここでは特にテーマを設けず、おのおのが自分のやりたいことをやっています。新作メニューの試作をしてもいいし、日本料理の料理長から、だしのとり方や魚の下処理を習うこともあります。フランス料理の基本調理法を復習し、共有するのも合宿の大きな目的です。また、料理長は店に相談相手がいない孤独な存在ですが、料理長同士、悩みごとの相談や情報の共有もできます。ここでは日常の雑務に追われず料理に没頭できる。料理に向き合い、自分自身と向き合うための合宿なんです」と大樹は言う。(研修所の朝は8時の朝食から始まる )
SOURCE:「Retreat To Move Forward 」By T JAPAN New York Times Style Magazine BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY MASAHIRO GODA DECEMBER 11, 2018
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