デザイナー、モリー・ゴダードのお気に入り朝食レシピ 簡単でおいしい“おしゃれ卵料理”

ファッションデザイナー、モリー・ゴダードと「デスモンド&デンプシー」をともに手がける夫のジュエル・ジェフリー。ふたりの“ルーティーン”は、日曜に一緒に朝食をとることだ


 料理好きでクリエイティブな人々に、実際に自宅でよく作って食べるお気に入りの一品を聞き、それにまつわる物語を語ってもらうシリーズから、今回はファッションデザイナー、モリー・ゴダード夫妻のストーリーをお届けする。


 モリー・ゴダードとジョエル・ジェフリーは2011年、カナダでスキーを楽しんでいる時に出会った。当時モリーは19歳で、ジェルフィーは23歳。その後、モリーはオーストラリアのブリスベンに、ジェフリーはロンドンにそれぞれ戻り、ふたりの遠距離恋愛が始まった。

画像: ジュエル・ジェフリーとモリー・ゴダードは、英国のパジャマブランド「デスモンド&デンプシー」の共同経営者。写真は、ロンドンのブリクストンにある自宅にて撮影

ジュエル・ジェフリーとモリー・ゴダードは、英国のパジャマブランド「デスモンド&デンプシー」の共同経営者。写真は、ロンドンのブリクストンにある自宅にて撮影

 日曜日になると、ふたりはよくスカイプをした。時差があったため、「いつも僕かモリーのどちらかは決まってパジャマ姿だった」とジェフリーは言う。そして、こうした日曜日のひとときをシェアすることは、次第にふたりの習慣になっていった。数年後、彼女が大学を卒業し、ロンドンでジェフリーと3人のルームメイトと一緒に暮らすようになると、日曜日はいわば(リビングルームでみんなでリラックスして過ごす)“神聖なラウンジ・デー”に。ただこうした時、たいていゴダードは、ジェフリーのボタンアップのシャツをパジャマがわりに着ていた。「あるとき、ジェフリーが“もういい加減に自分のパジャマを買ったら?”って感じになっているのがわかった」とモリー。そして、ふたりはパジャマを探しに、百貨店「セルフリッジズ」に出かけたのだが、驚いたのは、400ポンド(約5万3000円)以下で、ふたりが気に入るようなデザインがほとんどないことだった。

 これが、現在5年目を迎えたふたりのパジャマブランド「デスモンド&デンプシー」が生まれたきっかけだ。このブランドでは、メンズ、ウィメンズのほかキッズ向けのコットン製パジャマを展開。明るい色合いや、どこかノスタルジックなプリントを用いた楽しいデザインが特徴で、トップスとボトムスのセットで180ドル(約1万9000円)で販売している。トライ&エラーを念入りに重ねた上で、ゴダードとジェフリーは製品サンプルを作り上げ、2014年9月には小規模ながらオンラインストアをオープンした。「母と父がそれぞれ1着ずつ買ってくれました」とジェフリーは振り返る。「でも、はじめて知り合いではない人が1セット買ってくれた時は、本当に興奮しましたね」

 現在ジェフリーは32歳、ゴダードは28歳。ふたりは2016年に結婚し、仕事に出かける前に、ブリクストンのアパートでよく一緒に朝食をとる。調理はたいていゴダードが担当。よく作るのは、愛情を込めて彼女が“スピッフィー・エッグ(おしゃれ卵料理)”と呼ぶ、母直伝のレシピだ。これは日曜日の朝の定番メニュー。また、デズモンド&デンプシーでは、毎週、10人のチームメンバーと一緒にオフィスランチをとることにしており、その際にも彼女はときどきこの料理を作る。ちなみに、会社を設立したばかりの時(ゴダードいわく、まだ会社のルールがなかったような時)、ふたりは、自分たちのブランドに興味を持ってくれている百貨店「フォートナム&メイソン」のバイヤーを自宅に招き、この特別な卵料理を振る舞ったことがあった。一風変わったアプローチだが、これが功を奏し、バイヤーはふたりのブランドの取り扱いを決めたのだった。

画像: サワー種のパンのトーストを添えた、卵料理。ひとつのオーブンポットで作れるので、片付けの時間も節約できる

サワー種のパンのトーストを添えた、卵料理。ひとつのオーブンポットで作れるので、片付けの時間も節約できる

 かぼちゃとパルマハム、小さく砕いたフェタチーズ入りのこのベイクドエッグは、美味しくてボリューミーな上、オーブンポット(ホーロー鍋)ひとつで作れるので、片付けが簡単なのもゴダードにとって魅力的なのだという。(ジェフリーが調理するときはジェフリーが後片付けをし、ゴダードが調理するときもジェフリーが後片付けをすると、ジェフリーは冗談っぽく言うが)。下記に休日にぴったりなこの料理のレシピを紹介しよう。

『モリー・ゴダードのベイクドエッグ』

材料(4人分)
・大きめのかぼちゃ(もしくはバターナッツかぼちゃ ※ ひょうたん型のかぼちゃ)1個
・(オーガニックの)卵 4〜5個
・ローズマリー 3枝
・タイム 5枝
・羊乳のフェタチーズ 約150g
・パルマハム(生ハム)8切れ
・フレーク状の海塩 小さじ3杯
・つけあわせのパン(サワー種のライ麦パンなど)人数分

画像: ゴダードが大好きな朝食メニューの材料。羊のフェタチーズ、卵、パルマハム、そしてかぼちゃ

ゴダードが大好きな朝食メニューの材料。羊のフェタチーズ、卵、パルマハム、そしてかぼちゃ

手順
1. オーブンを約180℃(※オーブンによる)に温めておく。
2. かぼちゃを約2~3センチ角にカットし、トレイに並べる。上から塩を振り、ローズマリーを添える。約90分(またはかぼちゃが柔らかくなり、縁に焦げ目がつくまで)オーブンで焼く。それを取り出し、セラミックのオーブン皿に移す。
3. 木製のスプーンの裏側を使ってかぼちゃをマッシュし、皿の底に敷き詰める。皿の各コーナーには、卵を流し込むための4つのくぼみを空けておく。卵を流し込んだとき、それぞれが重ならないように間隔をとってくぼみを空けること。
4. くぼみに卵を流し込む。
5. パルマハムを皿全体に均一に並べる。かぼちゃと卵の間にも詰め込んで置く。
6. フェタチーズを上からすりおろして、タイムを散らす。
7. オーブンに戻し、約180℃で20分ほど焼く。
8. サワー種のパンにバターを塗り、焦げ目がつくまでグリルで焼く(ゴダードいわく「トーストよりもグリルのほうが、絶対においしい」)。パンは別の皿で提供しても、盛り付けたベイクドエッグの上においても。

SOURCE:「One Good Meal ー A Pajama Designer’s Easy but Unexpected Egg DishBy T JAPAN New York Times Style Magazine:JAPAN BY ISABEL WILKINSON, PHOTOGRAPHS BY YUKI SUGIURA, TRANSLATED BY MASANOBU MATSUMOTO APRIL 28, 2020

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