2020.06.13

いつだって、そばにいる。 写真家と、愛しの相棒

家族や友人、時にパートナーとして……。私たちの暮らしにそっと寄り添ってくれるペット。フォトグラファーならではの撮影テクニックとともにカメラが捉えた自由気ままに過ごす彼らの姿をのぞいてみよう。

赤尾昌則さん/ムトウ(フレンチブルドッグ)・カメ吉(ロシアリクガメ)

いつだって、そばにいる。 写真家と、愛しの画像_1

ペットを撮影するのは基本的にリビング。「ムトウは日なたが好きなので、天気のいい日は窓際で寝ています」

(右)ロシアリクガメのカメ吉。「こちらの何に興味があって、どうしてほしいかがわかるようになりましたね」
(左)「ムトウはタオルを掛け布団にしていて、鼻を器用に使って自分で中にもぐります。この仕草が可愛い」

他者を思う気持ちを呼び起こしてくれる存在

カメ吉は25歳、ムトウは8歳。性格はふたりともビビリだけど好奇心旺盛です。特に犬のムトウのほうは奥さんとの間のいい緩衝材になってるかも。純粋で感情が豊かなので気持ちが和みます。人間である我々は、ずっと狭いスペースに一緒にいるとギクシャクしてしまうこともありますが、他者のことを思う感覚は失ってはならないと感じます。そういう意味で絶対的に世話を必要とするペットは、それをする側に精神的な安らぎを与えてくれるものだと思います。

撮影のポイント

常に相手の動きを予測して撮ることでしょうか。動物の場合は特に、カメラを構える自分の動きを見て、それに反応して動きます。今までのつき合いで、僕がこう動けば相手はこうするかな、と考えて撮ると、普段の面白い表情を捉えられる気がします。撮影は仕事に使うNikonのカメラで

赤尾 昌則/あかお まさのり1970年生まれ。’94年フリーランスとして独立。数多くのファッション・ライフスタイル誌、広告媒体にて活躍中。昨年、写真集『倉敷ガラス 小谷眞三』(上・下巻)を上梓。

戸松 愛さん/はむた(パグ)

いつだって、そばにいる。 写真家と、愛しの画像_2

いつも眠る場所は、お気に入りのブランケットやふわふわのクッションの上

夫婦揃って、古くても使い勝手がよくて愛着のわくものが好き。はむたはこのソファで日中のほとんどを過ごす。「誰かがソファにいると、膝の上に乗ってきます」

やんちゃだけど愛しい我が家の長男

はむたは4歳。2016年に我が家にやってきました。インテリアや服、いろんなものをボロボロにされたものですが、この子が来てからは生活が彩り豊かになりました。夫婦間での共通の趣味ができた感じがします。今は赤ちゃんもいるので外にあまり出ない日々が続きますが、はむたの散歩のために外出するのが、少しの時間のいいリフレッシュになっています。家にいる時間が多くなったので、寂しがり屋のはむたはなんだか最近うれしそうです。

撮影のポイント

家の中では、背景や動きよりもリラックスしている表情を重視します。飼い主にしか見せない甘えた表情があると思うので、そこを狙うのがいいのでは。あと、パグは顔が黒いので、普通に撮るとつぶれてしまうことがあります。光がきれいな時間を意識しています 

戸松 愛/とまつ あい1987年愛知県生まれ。2011年より菊地哲氏に師事。’14年独立し、ファッション雑誌などで活躍。昨年男の子を出産し、現在は育児のかたわら活動を続ける。趣味は登山。

清水奈緒さん/デコ(半長毛の雑種、キジトラ)

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「リビングのソファで寝ていることもあります。棚はキャットタワー代わりになっていますね」

「デコがおかえりなさいのダンスをするのも、ブラッシングのときも、この赤い絨毯の上です」

自由気ままなパートナーと暮らす

デコとは2011年の12月から一緒に暮らしています。性格は甘えん坊で、ビビリ。迎え入れるにあたり、専用の餌置き場とトイレコーナーを設けた以外は、部屋のインテリアに大きな変化はなく、デコは床の絨毯や棚の上で自由に暮らしています。もしくは、私の膝の上でのんびりと過ごしていることも多いですね。家の中で過ごす時間が増えてからは、この子のためにも飼い主が健康でないとダメだなと改めて実感。寝ている姿を見ているだけで心が癒やされます。

撮影のポイント

シャッターチャンスを逃さないスマホはやはり便利。一眼レフで撮影する場合は、すぐに撮影できるように電源はオンにして、カメラを近くに置いておきます。目線が欲しいときは、レンズや、カメラのボディをカチカチと叩いて、小さい音で気を引くといいと思います

清水 奈緒/しみず なお京都府生まれ。現在、東京都在住。雑誌や広告を中心に、幅広く活躍する。著書『猫の撮リセツ』が好評発売中。

松藤美里さん/イマ(トイプードルとヨークシャーテリアのミックス)

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「最近、落ち着いているときは、ようやくベッドで一緒にのんびりできるようになりました」。家族全員でゆったりとした時間を過ごす

(右)イマが生まれてから使っているベッドでお昼寝。「ここに大事なおもちゃを自分で並べています」
(左)おてんばで、怖いものなしの性格のイマ。50年代のGeorge Nelsonの棚も彼女の遊び場に早変わり

小さくても、頼れるパートナー!

保護犬のイマが我が家にやってきたのは今年の1月のことです。生活はもちろん、夫との会話もイマ中心になりました。NYは犬好きが多く、散歩中にすれ違った人に話しかけられて、会話が弾むことも! 外出制限が続いていますが、この子の存在には感謝しています。一挙一動に癒やされるし、チビなのに私たちの心配をしてくれたり……。その姿を見るとどんな疲れも吹っ飛びます。イマがいない生活は考えられません。

撮影のポイント

カメラを見てくれないときは、おやつを使ったり変な声を出します。たくさん遊んだ後などは、心はウキウキでも、疲れて動きが減るので撮影しやすいですね。犬って、表情豊かなので、過剰に褒めてあげて、テンションをアップさせると、いい顔してくれるんですよね

松藤 美里/まつふじ みり1991年生まれのフォトグラファー、ライター。ファッション誌やウェブマガジンを中心に活躍の場を広げている。現在、NYを拠点に活動中。

SOURCE:SPUR 2020年7月号「写真家と、愛しの相棒」
photography: Masanori Akao〈white STOUT〉, Ai Tomatsu, Nao Shimizu, Miri Matsufuji text: Azumi Kubota(Masanori Akao, Ai Tomatsu)

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