フランス・パリのフォンダシオン ルイ・ヴィトンでは2020年9月23日(水)より、シンディ・シャーマンの回顧展「Cindy Sherman à la Fondation Louis Vuitton」が始まっている。また、この回顧展と併せて、フォンダシオン ルイ・ヴィトンが所蔵するコレクションの中から、シャーマンとの対話の中から厳選された約60点の作品を紹介する「Crossing Views(交差する視点)」も同時開催。会期は2021年3月21日(日)まで。
キャリア初期から最新作までを幅広く網羅する回顧展
1954年生まれのシャーマンは、1972年にニューヨーク州立大学バッファロー校に入学、絵画制作を開始。その後写真に転向、ニュー・ペインティングの作家として知られる同級生のロバート・ロンゴとともにニューヨーク市内に移住。1950〜60年代のハリウッド映画やフィルム・ノワール、B級映画などに登場するさまざまなタイプの女性を自ら演じ、映画のスチール写真のように仕上げたモノクロ写真のシリーズ「Untitled Film Stills」(1977〜80)で世界的に注目されて以来、映画、ファッション、大衆文化、歴史的な絵画、御伽噺、ピエロなど、さまざまなイメージの中に自分自身が入り込んだ作品を発表してきた。当初は女優やピンナップガールなど、女性の典型的なイメージを脱構築する試みを行っていたが、近年では男性やカップルに扮した作品も発表している。
シャーマン作品と響きあう現代美術の名作が並ぶ企画展も同時開催
一方「Crossing Views」では、フォンダシオン ルイ・ヴィトンのコレクションの中から、担当キュレーターとシャーマンの共同作業によって選ばれた、シャーマンの作品と響きあうような作品約60点を展示。そのほとんどが同会場では初の展示となる。ダミアン・ハースト、アンディ・ウォーホル、クリスチャン・ボルタンスキー、ギルバート&ジョージ、ピエール・ユイグらによる絵画、写真、彫刻、ビデオ、インスタレーションなど、さまざまな表現形態の作品が並ぶ中にはシャーマン自身の作品も展示。なかでもルイーズ・ブルジョワの隠喩的なインスタレーション作品「No Exit」や、作家自身が「アビラの聖テレサ」を演じたマリーナ・アブラモビッチの映像作品「Carrying the Milk」などはシャーマンの作品との繋がりを強く感じさせるものと言えそうだ。
CINDY SHERMAN AT THE FONDATION 会場:Fondation Louis Vuitton(8, Avenue du Mahatma Gandhi Bois de Boulogne, 75116 Paris) 会期:〜2021年1月3日(日) https://www.fondationlouisvuitton.fr/en