Snow Manの最年少センターとして舞い降りた、ラウール。類いまれなるダンススキルと、ピュアな愛嬌のあるキャラクターは唯一無二の吸引力で私たちを魅了する。そんな底知れない才能とハイモードとの、驚異的なケミストリーを堪能したい。
Interview with Raul
熱さが燃え尽きることなく、その火を大きくするように生きていたい
撮影現場にふらりと現れたかと思ったら、すぐにBGMに合わせて体を動かし始めたラウール。撮影中も、長い手足を活かしてしなやかに体を動かす姿が強く印象に残った。
「すごく楽しく撮影させてもらいました。たくさん着替えたけれど、時間が過ぎるのがあっという間で。感情に身を任せるように自由に動けて、好きに踊っている感覚でできましたね」
優れた反射神経、よいものを残すために努力を惜しまない真摯さ、裏表のない屈託のなさ……撮影に向き合う立ち振る舞いからそんな素顔がにじむ、実にナチュラルでピュアな佇まいの17歳。幼い頃からダンスに熱中し、小学生時代にはいくつものコンテストで入賞。「ダンスを仕事にしたい」という思いを胸にジャニーズ事務所に入所。2020年、Snow Manのメンバーとしてデビューを果たした。史上初、発売初週にしてミリオンセラーを達成したデビュー曲「D.D.」では、グループ最年少にしてセンターを務めている。
「周りにいてくれるメンバーの温かさがあるからこそ、ああいう形でのデビュー曲をすんなり噛み締められたのかなって。でもSnow Manって、僕だけでなくメンバー全員がそれぞれの分野でのセンターだと思うんですよね。みんな違う得意分野だったり役割があって、お互いにそこを侵食しようとしないし、全うしてほしいっていう思いが強い。それぞれが役割をちゃんとやってくれているって信頼があるから、あえてのぞきにいかないのかも」
メンバー9人がバラバラの個性を持つSnow Man。それぞれの魅力を活かしたソロの仕事も増えている。
「みんな、各々の仕事を結構チェックしているんです。『あの仕事はどうだった』とか直接話すわけではないんですけど。たとえば、僕ひとりの記事が載っている雑誌をマネジャーさんが僕たちがいるところにパッて置いて、それを無言でほかのメンバーが見ていたりする(笑)。『あいつ、すごいな!』って感じると、自分も頑張らなきゃって火がつく。僕もそうやってメンバーへの刺激を残したいって意欲で毎日を生きてます。仲間の仕事に刺激を受けて、自分も頑張ってっていうサイクルができ上がっている感じがしますね。そして、ひとりひとりの質が上がったら、グループ全体のクォリティが上がる。それもあって、僕はとにかくそれぞれの仕事をめちゃめちゃ褒めますね(笑)。本当にそう思っているからなんですが。僕はまだまだ経験が浅いけれど、みんなはもっといろいろ考えて臨んでいる。仕事ぶりを見ていると、『あ、こういうことを頑張っていたから、今こんな仕事ができてるんだな』ってわかるんですよね。結果がついてきていると感じることが多い。僕もそんな存在になれるように努力しています」
デビュー前後の時期から度々口にしているのが、「今自分がこうなれているのはほかの8人が背中を見せてくれたから」という言葉だ。
「気持ちは全然変わらないですね。『これはこういうことだよ』とか『こうするんだよ』って細かく方向性を言うんじゃなくて、割と自由にやらせてもらっている環境が本当にありがたい。だからこそ逆にいろんなことを吸収しやすくなるというか。僕自身の性格をわかった上で、みんなが雰囲気をつくってくれている。僕はそこにしれっと入っていくだけでいいんです。8人にはすごく感謝しています」
ファッション撮影は新しい仲間に出会った気持ちになる
身長185㎝、股下96㎝という驚異的なスタイルの持ち主。初のソロ仕事は2019年3月に行われた東京ガールズコレクションでのランウェイ出演だった。以降、ソロでのファッションの仕事にも多く取り組んでいる。
「ひとりでの仕事だとファッション撮影が一番楽しいんです! 初対面のカメラマンさんやスタイリストさんだったとしても、ばちっとつながる何かがあって、新しい仲間に出会ったような気持ちになる。その方たちが僕に思いを託してくれるようで、また僕がそれを写真を見てくれる人に届けるっていう流れが素敵だなと思っています。でも実は、ファッションを一からちゃんと勉強しようとしたことはないんです。そうするとフィーリング重視でやってる今の楽しさが薄れちゃうのかなと。僕、あまり細かいことまで考えられない人なので(笑)。『こうしなきゃ!』って考えすぎてしまうと、自分らしいよさが出なくなっちゃうこともあるのかなって」
プライベートでのファッションも直感を重視しつつ、ほかのメンバーから服をもらうことも多いそう。
「みんなよくくれるんですが、特に深澤(辰哉)くんからが一番多いですね。おさがりばっかり着ちゃって甘えてます。でも、自分からいろんなファッションにも挑戦しようとはしていて。今日もカラフルなニットを着ましたけれど、私服でも色とりどりな服を着たら面白そう。でもなかなか踏み出せないですね(笑)」
今日人生が変わるかもと思って毎日を生きている
個人的な野望は、「○○さんってスターですよね?」と問われたら誰もが躊躇なくうなずくようなスターになること。
「“スター”ってはっきりとした判断基準はないと思うんです。それもあって、初めて僕を見てくれた人の印象が気になりますね。特にファッションの仕事は僕のことを知らない人の目に触れることも多い。そのときに『この人のことは知らないけれど、なんだか的を射てるな』って、ちょっとでも何かを感じ取ってもらえたらうれしいです」
2歳ほど年上のビリー・アイリッシュに刺激を受けることも多いという。
「まず、ビジュアル作りの天才だなって思います。それに、10代でお兄ちゃんと自宅で作った音楽が、世界中で知らない人はほとんどいないんじゃないかというくらいに広まっている。それは本当のカリスマ性があるからこそできること」
今回の撮影は、17歳の誕生日を迎える約10日前に行われた。
「まだまだ若いなって思います(笑)。でも今の時期がものすごく貴重って理解した上で仕事をしているつもりです。今だからこその僕を表現していきたい。今は今で16歳のよさ、17歳になったら17歳のよさを伝えられたらと。すごく感覚的な話なんですけど」
では、たゆまぬ挑戦心を抱き続けるラウールの、17歳の抱負は?
「まだ考えてなかったな。誕生日の1週間前くらいになったら考えようって思っていたんですけど(笑)。……もちろん今日もそうなんですが、毎日『今日、人生が変わるかもな』って思って生きているんです。だから、その熱さが燃え尽きることなく、火をもっと大きくしていけたらいいな」
PROFILE
ラウール●2003年6月27日、東京都生まれ。’15年5月、ジャニーズ事務所入所。’19年1月、Snow Manに加入。’20年1月にはSixTONESとの同時発売シングル「D.D./Imitation Rain」でCDデビュー。新曲「Stories」がテレビアニメ「ブラッククローバー」のオープニングテーマに。現在、『MEN’SNON-NO』レギュラーモデルも務める。
SOURCE:SPUR 2020年9月号「ラウール、奇跡の存在」
interview & text: Kaori Komatsu