そのファッション魂やアートの才能で、いつも素晴らしいサプライズで魅了してくれる香取慎吾さん。SPURは彼の“服バカ”ぶりに注目し、オール私服で構成されたスペシャルブックを出版したこともありました。
そんな慎吾さん(ここでは親しみを込めて、あえてそう呼ばせて頂きます)が、セカンドアルバムを引っ提げて明治座でソロ公演を行うとあっては、見届けたいのは当然。初日の前夜に行われたゲネプロに潜入してきました。現地で覚えたのは、夢のワンダーランドへやってきたような高揚感。本物のスターだけが放つ、人を興奮させる何かが、その場にはあふれていたのです。
4月13日に発売された新アルバム『東京SNG』のコンセプトが“タキシードが似合うジャズ”ということで、Jazzyなナンバーからスタート。今までの彼のイメージにはない曲調に最初は戸惑いましたが、知らない曲のはずなのに意外なほど耳になじんで心地いい。四半世紀、私たちの生活のそばにいつもあった唯一無二の声の成せる技なのでしょう。
もうひとつ驚かされたのが、慎吾さんの“多様性”。コラボレートアーティストとして、田島貴男さんやヒグチアイさん、WONKなど、錚々たるメンバーが参加している今作。まったく違う個性をフレキシブルに自分のものにして歌い上げるその姿は、月曜の夜10時に放送されていたあの人気番組の歌のコーナーを彷彿とさせます。
単純にエンターテインメントとしてとてもクオリティが高く、楽しい。公演では14人編成のビッグバンドが生演奏でステージを盛り上げる。たとえ日本に来たばかりの留学生を連れてきたとしても十二分に楽しめると思います……!
印象的だったのは、取材が許されたパートが終了しても、多くの記者が退場せずにどこかワクワクした眼差しでステージを見守っていたこと。慎吾さんというアーティストの底力を強く確信した瞬間でした。
その事実を象徴するように、今回のアルバムには美空ひばりさんの往年の名曲『東京タワー』のカバーも収録。この曲で型破りなパフォーマンスで話題を集める新しい学校のリーダーズとコラボしているのも慎吾さんならではの面白さ。圧倒的な力をもった存在だからこそ、彼を媒介に、新しい世界が無限に拡がっていくのだと感じます。 5月6日まで行われる明治座公演のチケットは、好評につき見切れ席を開放して一般販売も。
一生に一度は肌で感じたいスターのオーラ。ぜひ体感してみてほしい。