ささやかな趣味があるだけで、人生はもっと楽しくなる。映画『ドライブ・マイ・カー』(’21)やNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」など、立て続けに話題作に出演。世界中から今一番熱視線を浴びている俳優・三浦透子はいったいどんな人物なのか。彼女が愛するものを手がかりに、その魅力を分解!
※この特集中、以下の表記は略語になります。WG(ホワイトゴールド)
心が赴くままに身を任せ、一瞬一瞬に集中する
映画『ドライブ・マイ・カー』が世界中で話題を呼び、さぞ心境や環境に変化があったかと思いきや「私自身は何も変わっていません」と語る三浦透子さん。この日も目の前のワンカットに誠実に向き合っていた。彼女は、ファッション撮影は”シンプル”で楽しかったという。
「歌もそうですが、ある意味表現が端的だからそこだけに集中できる。頭の中はクリアであとは体を使うだけ、という状況がすごく好きなんです。その点、俳優業は考えることが多くてマルチタスク。可能な限り準備して、現場で意識することの数が減るよう試行錯誤しています。そういうアプローチを考えることも、芝居の楽しさのひとつではあるんですけどね」
俳優としての幅を広げるためには、日々何をインプットするかも重要になりそうなもの。でも趣味を楽しむ時間に仕事への見返りはいっさい求めないと話す。
「今興味がある、今目的が達成される、今のための時間の使い方をしようって気持ちがあるんです。だからその瞬間にもう価値はあって、結果、何かにつながったらそれはオマケ。でもそういうところで得た経験が、仕事に結構生きてくるんです。怠惰になったらなったでそれにも意味があるから受け入れる。それでいうと俳優業には無駄になる時間がないなと思います」
そんな自分の感情に抗わない彼女が大切にしているのは「わからない、知らない」とちゃんと言える人であること。
「この仕事をしていてありがたいのは、たくさんの人やキャラクターに出会えるところ。世の中にはいろんな考え方があるという当たり前のことを忘れずにすむんです。いくつになっても、どんな人のどんな声にも耳を傾けられる人間でいたいですね」
Profile 三浦透子
みうら とうこ●俳優、歌手。1996年、北海道出身。2002年のデビュー以降、ドラマや映画を中心に活躍。映画『天気の子』(’19)では主題歌のメインボーカルに抜擢。映画『ドライブ・マイ・カー』(’21)で、第45回日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。3月に新曲「私は貴方」を配信リリース。6月9日からは舞台『Secret War~ひみつせん~』に出演予定。
SOURCE:SPUR 2022年6月号「三浦透子を因数分解」
model: Toko Miura photography: Teruo Horikoshi 〈TRON〉 styling: Tomoko Iijima hair: KENSHIN for EPO LABO make-up: TOMOHIRO MURAMATSU 〈sekikawa office〉 text: Mai Ueno





