ある朝目覚めたら……
ある朝起きたら広大な草原に置かれたベッドの上だった……という今回の撮影の設定を見事に表現した眞栄田さん。2021年はドラマ8本、映画2本に出演し、その活躍ぶりから雑誌『日経トレンディ』が選ぶ 「来年の顔」に選ばれた。忙しい日々を送っているであろう彼に、リフレッシュ方法を聞くと「ひたすらボーッとすることですね。オフの日は、日課のワークアウトなど必要最低限のこと以外、何もせずにゆっくり過ごしています」と答える。
コート¥1,701,700・帽子¥102,300・靴¥171,600/マルジェラ ジャパン クライアントサービス(メゾン マルジェラ) ソックス/スタイリスト私物
何度だって、立ち上がれる
地上波の連続ドラマ初主演作となる「カナカナ」が、5月16日に放送スタート。眞栄田さんが演じる主人公の日暮正直は、純粋で穏やかな心を持つ元不良の青年。自身との共通点を聞くと、「ポジティブなところかな」という予想外の答えが。「言うたびに驚かれますが、僕は意外と楽観主義なんです。将来のことなど悩んでも仕方がないことは、どうにかなるだろう!と割り切るし、失敗したときも後悔するより次に生かそう!と潔く切り替えています」。
トップス¥194,700・パンツ¥125,400・ネックレス¥75,900・靴(参考商品)/イーストランド(リック・オウエンス)
一歩一歩、自分のペースで
プライベートで遊ぶのはもっぱら中高時代の友人。撮影現場での談笑に積極的に参加できず、同業の友人もごく限られているそう。「撮影現場で自分から雑談に交わることは少ないですね。決して、話したくないわけではなくて! 仕事では集中していないと不安で……おしゃべりを楽しむ余裕がないんです(汗)。親交を深めるのも大事だとは思いつつ、そこに注力できるレベルに達することができていないのが現状。もう少し余裕ができたら挑戦してみます!」。
セーター¥234,300・ショーツ¥187,000・スリッパ¥77,000(参考価格)・ソックス¥6,600/ロエベ ジャパン クライアントサービス(ロエベ)
雨はいつか必ず上がる
撮影現場では、できるだけ多くを吸収するために「一秒たりとも気を抜かないよう意識している」という眞栄田さん。「もちろん疲れますよ(笑)。でもそれが報われた瞬間、ストレスもフラストレーションもきれいさっぱり発散されるんです。スタッフの気分が高揚するのを感じたり、満足する芝居ができたり……。僕にとっては仕事で達成感を得ることが、最高のご褒美。その快感がつらさを上回って、次のモチベーションへとつながっています」。
トップス¥118,800・パンツ(ベルトとセットで)¥258,500・ショーツ¥220,000(すべて予定価格)/プラダ クライアントサービス(プラダ)
心も体も、軽やかにいたい
インタビューではこちらの言葉にしっかりと耳を傾け、一語一句を丁寧に選びながら答える様子が印象的な眞栄田さん。幼少期を過ごした街、LAが恋しくないかと尋ねると、「まったくです」と即答。そして「世界中で一番日本が好きなんです」と断言した。「個人的な印象ですが、街がきれいですよね。それに、人間関係が円滑! 日本人特有のマイルドな主張とか、意見を真っ向から否定しないところとか……本音で相手を傷つけるよりも建前を使えるほうが美徳だと思う」。
ニット¥203,500・シャツ¥209,000・パンツ¥462,000/クリスチャン ディオール(ディオール)
心満ちる、そのときまで
ドラマ「カナカナ」は眞栄田さん演じる元不良の日暮正直と、人の心が読める少女・佳奈花が織りなすハートフルコメディ。佳奈花のように、特殊能力を手に入れられるとしたら? 「えー! 自分で選べるなら……勉強からスポーツまで、学んだことを瞬時に吸収する能力かな。応用が利きそうじゃないですか?(笑) 僕は不器用で、一度にひとつのことしかできないタイプだから、マルチに活躍する人に憧れます」。
ジャケット¥348,700・トップス¥39,600・パンツ¥213,400・靴¥150,700/コロネット(アン ドゥムルメステール) ソックス/スタイリスト私物
INTERVIEW / GORDON MAEDA 夢を追わなければ感じない痛みもある。それでも夢を追いたい
役者としての自分を世界に証明したい
「ありがとうございました!」。撮影を終えてロケバスに戻った眞栄田さんは、朗らかに微笑んだ。ヘアメイクを終えると早々にロケバスを後にし、黙々とストレッチに勤しんでいた朝の姿とはまるで別人のよう。そう伝えると、少し照れたような表情を浮かべた。
「仕事の前は頭の中でいろいろとイメージしているので、無意識に表情が硬くなっているのかも。でも今は、やりきった!と心地いい達成感に包まれています。素敵な写真が撮れたことはもちろんですが、カットを重ねるごとに、スタッフのみなさんのテンションが上がっているのを感じられて。一緒に物作りをしている人たちの、そういう姿を見るのが大好きなんですよ。僕にできる、一番の恩返しだから」
本誌に初めて登場したのは、デビュー半年後の2020年4月号。当時はただがむしゃらに努力していたが、次第に「楽しい、好きだから頑張ろう」と意識が変化したと言う。
「1年くらい前まではまったく余裕がなくて、自分がやるべきことを最大限にこなすことで精一杯でした。そんななかで『プロミス・シンデレラ』で二階堂ふみさんと共演して。”自分はこうしたい”という意見がしっかりあって、それを監督やプロデューサー、共演者にぶつけながら、みんなで作品を作り上げる。そんな二階堂さんの姿を目の当たりにして、役者としての意識が変わったし、作品という物作りの面白さに気づかせてもらいました」
役者になる前の夢は、プロのサックス奏者。台本のない芝居に体当たりで挑んだドキュメンタリードラマ「キン肉マン THE LOST LEGEND」では、主題歌の演奏も担当した。
「台詞がないぶん、よりなりきって会話をしなくてはならず、おかげで、役として生きる感覚を初めて体験。役作りも鍛えられました。サックス演奏は、シンプルに楽しかった! プロを目指していた時期は”うまく吹かなきゃ”というプレッシャーがありましたが、のびのびと自由に演奏するのは本当に気持ちがよく、やっぱり好きだ!と再認識。そんな気持ちの表れか、高校の先輩から前よりうまくなったと褒められました。ジャズを題材にした漫画『BLUE GIANT』が実写化される暁には絶対に参加したい!と、密かに野望を抱いています(笑)」