【FIFAワールドカップカタール2022】祝!グループリーグ1位通過 2021年4月号に掲載した三笘薫選手のインタビューを特別に公開します
4年間で磨いた自己客観視力で、人としてプロとして成長し続ける
昨シーズン、J1ルーキー最多記録に並ぶ13得点を上げブレイクした川崎フロンターレの三笘薫選手。迷いのないドリブルや高い決定力は、チームのぶっちぎりの優勝の記憶と重なり、衝撃とともに心に刻まれた。
「プロ1年目は自分のことでいっぱいいっぱいでした。僕の特徴であるドリブルや、チャンスメイクする部分はプロでも通用すると考えていましたが、試合に出られるようになったのはフォーメーション(ピッチ上での選手の配置隊形)が変わって特徴を出しやすくなったのと、出場機会を得られたときに、うまくチャンスをつかむことができたのかなと思います」
フロンターレの下部組織育ち。高校卒業後にトップチームへの昇格も打診されていたが、筑波大学へと進学。4年間、大学サッカーの世界に身をおいた。
「進学したのはプロになる自信が足りなかったところがありました。でも人として、アスリートとしてどう成長できるかを考え、イメージしながら日々練習していたから、自分を客観視する能力と行動力は伸びたと思います。プロはすぐに結果を求められる世界なので、毎日のことにフォーカスせざるを得ず、長期的に俯瞰する視点を持ちづらい。4年間でその視点を、スポーツや体の構造について勉強したり、地域貢献活動をしたりして養えたから結果的によかったと思っています」
昨年末から始まった風の時代では、言葉が大切になると言われている。三笘選手を支える言葉の一つは、大学時代によく耳にしていた、あるフレーズ。
「『現状維持は衰退』という言葉が心に残っています。リスクを冒してチャレンジするほうが、長期的に見るとチャンスが広がって成功への近道になるというのは、さまざまなところで通用する言葉だと思います」
2月から始まる予定のJ1リーグ新シーズン。2年目のジンクスは一蹴できるだろうか。
「結果は当然出したいのですが、自分が成長していればいい、とも思っていて。自分の中にあるものの成長具合がどうなっているかのほうが大事。その成長を、周囲の人の評価ではなくて実感を持って感じ取る。そのために、自分を客観視する能力が必要なんです」
ファッションはシンプルなものが好き。グルテンフリーを実践中で、好物の蕎麦は十割蕎麦にしているという23歳。今季はさらなる飛躍を願う。三笘の「笘」は竹冠と、誰も間違うことがないほど圧倒的な活躍を。
三笘 薫(みとま かおる)
●プロサッカー選手。1997年生まれ。神奈川県川崎市出身。フロンターレ下部組織、筑波大学を経て2020年川崎フロンターレに入団。同年30試合出場13得点。Jリーグベストイレブン選出。ポジションはミッドフィルダー。現在はプレミアリーグ・ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンFC所属。日本代表の背番号は9。
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