アカデミー賞、最多7冠受賞!『 #エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』の奇想天外な衣装を手がける奇才、シャーリー・クラタさんにインタビュー #エブエブ

シャーリー・クラタ

あるインディーズ映画が全米で大ヒットし、主演のミシェル・ヨーらが賞レースを席巻中。それが『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』。どんな予想も超えるヘンテコさと感動がある物語だ。シャーリー・クラタの衣装も、その魅力に大きく寄与し、オスカー候補となった。

「最初は、映画館で公開されるかどうかもわからなかったんです。ただ確実に、奇抜だけれど胸に響くのはわかっていた。特別な映画だって」

中国から移住した夫婦とアメリカで生まれた娘とのぎくしゃくした関係。彼らの後悔や人生の分岐が「マルチバース」として語られ、並行世界のキャラクターはファッションで見分けられる。しかも装飾的でクリエイティブな衣装から、中年男女のダサい服まで、キュートなちゃめっ気いっぱい。

「人を観察するのが好きなんですよ。映画ではリアリズムも大事だし、逆に突飛なコスチュームを作るのも楽しかった! アジア人のステレオタイプをひっくり返して、反抗的に見せたり」

子どもの頃からファッションが好きで、母親に裁縫を教わってバービー人形の服を作り、高校生の頃は日本のファッション雑誌にハマっていた。

「卒業後はパリに留学したんですが、体験として学ぶことが多かった。アートや映画にも目が開いて。でも米国籍ではパリでの就職が難しくて、LAに戻り『ハリウッドで働こう』と決意」

小学生の頃、母方の家族を訪ねた日本でもカルチャー・ショックを受けたという。

「いとこと一緒に登校したら、『ガイジン』と呼ばれたことも。でもだんだん文化を理解して、つながりを感じるようになったし、日本は着想源ですね。先日も神保町で古書店巡りをして、『オリーブ』なんかの雑誌を買ったの」

最近手がけたザ・リンダ・リンダズのミュージックビデオでもそうだが、彼女の仕事には文化的ルーツと、パンクな姿勢の両方が感じられる。

「次の映画『ピッツァ・ガール』も、原作の小説家、主人公、監督もアジア系の女性なんです。そういうプロジェクトは絶対やっていきたい。私たちが語るべきストーリーがもっとあると思うから」

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』
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税金申告から離婚の危機まで、悩みの種が尽きないエヴリン(ミシェル・ヨー)。その混乱がマルチバースで加速! カンフーやアジア映画の引用も楽しい。監督デュオ、ダニエルズのアイデアが爆発。(公開中)

Shirley Kurata/シャーリー・クラタプロフィール画像
スタイリストShirley Kurata/シャーリー・クラタ

LA郊外で育ち、90年代にパリへ留学。TVや映画、ビリー・アイリッシュらの衣装、ブランドや雑誌のスタイリングまで幅広く活躍。セレクトショップ、VIRGIL NORMALのオーナーでもある。

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