音楽を深く愛し、常に音楽と共に歩んでいるBTSのリードラッパー・SUGA。そんな彼がワールドツアー『SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’in JAPAN』の日本公演を、6月2日から4日まで3日間にわたりぴあアリーナMMで開催。
BTSのメンバーが日本で公演をするのは、2019年のBTSのスタジアムツアー以来4年ぶり。そしてSUGAがソロコンサートをするのはこれが初めて。収容人数約1万人のぴあアリーナMMのチケットは言うまでもなく入手困難となり、6月3日公演は全国の映画館でのライブビューイング、4日公演はオンラインでのストリーミング配信も行われました。多くのARMY(BTSファン)が見守った最終日のライブの様子をお届けします!
観客が声を出せば出すほど、SUGAのボルテージも上昇
序盤からステージを縦横無尽に駆け回り、圧倒的なラップスキルを披露! photo:(P)&(C)BIGHIT MUSIC
ワールドツアーは4月のアメリカ公演からスタート。時を同じくして、Agust D名義のSUGAのニューアルバム「D-DAY」がリリースされました。今回の公演では「D-DAY」の楽曲を中心に、SUGAがAgust Dとしてこれまでにリリースしてきた「Agust D」「D-2」の収録曲、そしてBTSの楽曲も交えたセットリストが展開されていきます。
アリーナに大きく設置されたステージへ、雷鳴が轟く中にSUGAが担がれて運ばれてくるドラマティックな演出からライブはスタート。ジャケットからパンツまで全身黒で揃えたSUGAは、「Haegeum」で激しく動きながら鬼気迫るラップを披露して、さっそくARMYの視線を釘付けに! 続いて韓国の伝統楽器とヒップホップサウンドを融合させ、世界的ヒットを記録した「Daechwita」では黒子のようなダンサーを従え、観客も大歓声で盛り上げて、早くも場内がフェスティバルのような熱気に包まれます。
一面アミボムの光に包まれた場内は格別の美しさ。 photo:(P)&(C)BIGHIT MUSIC
「日本での最後の公演です。全力で行きます!皆さんもそうですか!」とSUGAが呼びかけ、ファンがアミボム(ペンライト)を激しく振って声を出せば出すほど、SUGAのボルテージも上がっていきます。公演の前に出演していた番組のインタビューなどでも「情熱的に声を上げて楽しんでほしい」とライブへ訪れるファンに向けて訴えていたSUGA。彼にとって、ライブという場所、そしてそこで観客から受け取るものがいかに大事であるかがひしひしと伝わってきます。
魅力的なギャップ、そして30歳の色気
隅々まで感情を込めて歌われる弾き語り。泣かずにはおれません。 photo:(P)&(C)BIGHIT MUSIC
迫力たっぷりの高速ラップで圧倒したかと思えば、「Trivia 轉: Seesaw」ではアコースティックギターを手にハスキーなボーカルを響かせるSUGA。その歌声の優しさに、思わずツーと涙が。「SDL」ではソファに腰掛けカメラを見つめて黄色い悲鳴を起こし、場内に温かいムードを作り上げます。実力派ラッパーとしての顔と心優しくクールな青年の顔、そんなギャップもSUGAの大きな魅力であると、誰もが再確認したことでしょう。
3月に満30歳の誕生日を迎えたSUGAが髪を何度もかき上げながら「People」を歌う姿は、大人の色気に溢れていました。「People Pt.2」では、フィーチャリングボーカル・IUの役割をARMYが担当。観客の大きな歌声がSUGAのラップと重なり合い、感動的な光景が広がりました。
ダンサーと共に披露されるコンセプチュアルなステージは圧巻! photo:(P)&(C)BIGHIT MUSIC
映像を挟んで、後半戦でSUGAは全身ホワイトの衣装へチェンジ。ルーズフィットな上下に、首元のボリュームあるシルバーチェーンネックレスがアクセントを与えます。ペットボトルの水を自身に振りかけ、荒々しく投げ捨てる様はあまりにもセクシー。激しいナンバーを畳み掛けてSUGAはノンストップで観客を煽り続け、ぴあアリーナMMがまるでダンスホールに変貌したようでした。
曲に合わせて形を変えていくステージセットも大きな見どころ。photo:(P)&(C)BIGHIT MUSIC
Supremeの白いグローブを外すと、SUGAの白く美しい手が露わになり、会場からは黄色い悲鳴が。その美しい手をSUGAはピアノの鍵盤に置き、「Life Goes On」を感動的に歌い上げていきます。3月に逝去した坂本龍一氏が参加した楽曲「Snooze」を披露する前には、SUGAと坂本氏が談笑する映像が流れたあと、「長い旅路が平穏でありますように」と日本語のメッセージが映し出され、SUGAから坂本氏への深いリスペクトがうかがえました。
ARMYの個性豊かなメッセージボードも会場を盛り上げる
白いグローブを外した瞬間は大きな悲鳴が! photo:(P)&(C)BIGHIT MUSIC
「幸せな時間でした。あっという間の3showでした。明日も会いたいですね」と名残惜しそうな表情を浮かべたSUGA。感情を込めて本編最後の「AMYGDALA」を歌い終えるとステージに横たわり、冒頭と同じように担がれ、舞台裏へと運ばれていきます。アンコールではARMYからSUGAの本名である「ミン・ユンギ」コールが起こり、客席のARMYが手にする「BTSが一緒なら歳をとるのも怖くない」「10才だけど全力であなたに恋してる」「イルアミはやればできる!」「BTSとARMY 私達なら永遠はあるって証明できる」「日本デビュー9周年おめでとう!」など個性的なボードの言葉もスクリーンに映し出され、場内を盛り上げました。
アンコールでは、感慨深げに客席を笑顔で見つめる姿が印象的でした。 photo:(P)&(C)BIGHIT MUSIC
アンコールでSUGAはグレーのツアーTシャツにデニムをラフに合わせ、アリーナ席のARMYの近くを練り歩いて、なんとハイタッチまで! 音に体を委ねていたずらっ子のように舌を出し、幸せなライブの空間を噛み締めるように笑顔を浮かべていました。
「1人で歌うと寂しいですね」メンバーへの思いとARMYへの愛
ライブ中、喉の調子が万全でない様子を時折見せていたSUGA。「ご覧になっていておわかりだと思いますが、僕はコンディションが100%ではありません。今は60〜70%くらいまで上がってきました。僕の100%はどうですか?次回僕が来た時に確認できると思います。3日間本当に素晴らしい思い出を作ってくださってありがとうございます。僕の公演、そしてBTSの公演だけでなく、どこの公演に行っても皆さん今日のように遊んでください」と思いを伝えます。そして「次回僕がまた日本で公演を行う際には、7人で行います」と予告し、ARMYを沸き立たせました。
ライブ中に「メンバーがいなくて1人で歌うとすごく寂しいですね。でも皆さんが一緒に歌ってくれて心強かったです」と微笑んでいたSUGA。5月末に来日すると、日本公演の準備のみならず、TV・ラジオ番組出演、ファンとのオンライン交流イベントなど過密スケジュールをこなしていました。ただでさえ世界中を飛び回る忙しいワールドツアーの最中、なぜここまで日本で精力的に活動してくれたのか。それはとにかくファンを喜ばせたいから、という思いに尽きるのでしょう。コロナ禍があり、さらにメンバーの入隊があり、ここ数年で大きな変化を迎えているBTS。そんな中でも先陣を切って日本で久々のライブを行うことになったSUGAが、「欠かさず君たちのことを思っているよ」と、ARMYへあの手この手で伝えようとしたのではないかと感じました。
最後のMC以外はほぼ全編日本語で言葉を届けてくれたSUGA。そんな姿にも感動。 photo:(P)&(C)BIGHIT MUSIC
SUGAはドキュメンタリー「SUGA:Road to D-DAY」にて、「ツアーを通して、歌手の定義はコンサートをする人だと再発信します」と宣言していました。ラップから弾き語りまで多彩に見せたパフォーマンス、噴き上がる炎などの演出、曲に合わせて形を変えていくステージ、生バンドが刻むサウンドと、SUGAがアーティストとしての実力を惜しみなく発揮したコンサートに心底圧倒されました。今後もバンコク、シンガポール、韓国と、SUGAのツアーは6月下旬まで続きます。