俳優として、ボーカリストとして、活躍の場を広げる八木勇征がSPUR初登場。脚光を浴びながらも、真摯に表現に向き合うその瞳が捉えるのは、もっと大きな光。さらなる飛躍を遂げるであろう彼の、現在だけの姿を切り取っていく
やぎ ゆうせい●1997年、東京都生まれ。FANTASTICSボーカルとして活躍し、2021年のドラマ「美しい彼」から本格的に俳優活動もスタート。6月よりグループの冠番組「FUN! FUN! FANTASTICS SEASON3」がスタートするほか、8月から上演される番組と連動した舞台『BACK TO THE MEMORIES PART3』に出演予定。
八木勇征さんインタビュー
求められていること"以上"を、いかに表現するか
八木勇征には"見惚れる"という言葉がよく似合う。端正な顔立ちに、よく鍛えられていることがわかる引き締まったシルエット、そして時折見せる憂いを帯びた瞳。思わず誰もが目を奪われる。ブレイクのきっかけとなった作品「美しい彼」の役柄同様、発光するような存在感を放つ。
「『美しい彼』は僕の原点。初めてW主演を務めた作品であり、これからも役者をやっていきたいと決意したきっかけとなった作品です。だから、自分の中でもちょっと特別な思い入れがありますね」
初めての連続ドラマ出演。そこでの学びが俳優としての礎となっている。
「シーズン1のときに監督の酒井(麻衣)さんから『感情の波をしっかりつくって』と教えていただいたんですね。ある場面の感情を一つの点だとして、それをどんどんつないで一本の線にする。そうすることで、演じる役がどういう人間かがわかるし、観ている方も作品世界に入りやすくなると。その考えは、ほかの現場に行っても大事に心に置いて演じています」
恋人役を演じたのは、萩原利久。作品を通じて築き上げた信頼は今も揺るぎない。
「役者・萩原利久をずっと『美しい彼』で見てきたけど、ほかの作品で利久を見たら全然別人みたいに見えるんですね。そこが本当にすごいなと思います。年下の人にこんなにリスペクトの気持ちを抱いたのは利久が初めて。心から尊敬できる友達です。先日、僕の写真集が発売となったのですが、すぐに利久から『一冊ちょうだい』と連絡が来ました(笑)。今度、会う機会があるので、そのときに渡そうと思います。最近、お互い誕生日だったのですが、まだプレゼントを渡せていないんですよ。『何が欲しい?』と言い合って二人とも答えが出ずに終わっちゃったので、また今度話し合おうと思います」
続々と映像作品への出演が決まり、自身の冠番組も放送されるなど、彼と仕事がしたいという業界からの熱視線は尽きない。周囲の期待が高まる中、どんな思いで仕事に取り組んでいるのだろうか。
「求められることにこたえるのは当たり前。そこにどうやってエクストラポイントを乗せられるかが大事だと思っています。たとえばMCのときはゲストの方のことを事前にしっかりと調べて、こういう話ができたら楽しんで帰ってもらえるかなと話題を用意する。オーダーされた以上のものを返せるよう、ちゃんと自分で工夫や準備をすることを意識していますね」
華やかなビジュアルに秘められた、こまやかな配慮と堅実な努力。彼が輝いているのは天賦の才能だけが理由ではない。
「僕はすべての現場に恵まれているんです。自分自身、まだまだ足りないところがあるのはよくわかっています。それでもこうして活動ができるのは、いろんな方の支えがあるから。先日開催した写真集のイベントでは、お越しいただいた方々はもちろん、残念ながら抽選にはずれて参加いただけなかった方々のことも思いながら、1日過ごしました。感謝の心は、これから先何があっても忘れずに持っていたいです」
6月からはグループの冠番組「FUN! FUN! FANTASTICS SEASON3」も放映。80〜90年代のカルチャーをメンバーが学ぶ人気番組で、今回も時代を彩った豪華なゲストと共演を果たした。
「個人的にお会いできてうれしかったのは中島美嘉さん。母の影響で中島さんの楽曲を聴いています。特に好きなのは『雪の華』で、僕もプライベートで歌いますが、すごく難しいんですよね。中島さんも何回も録り直したとおっしゃっていました。あと実は、昔から『NANA』が大好きで。映画でナナを演じている姿を見て、あんなにかっこいい女性はいないと感動したので、お話しできてうれしかったです」
漫画好きの一面も持ち、『NANA』は自宅に全巻あるほどのファンだ。
「好きなキャラクターはシンちゃん。普段前髪を下ろしているときは愛らしい小柄な男の子だけど、ライブになるとハードでかっこいい。あのギャップにハマりました。ナナとハチなら絶対ナナ派。ハチも魅力的ですけどね。僕は犬より猫派なので」
漫画のほかアニメやゲームが好きで、私生活ではトレーニングのためにジムへ出かける以外はインドア派だという。
「この間、ようやくPlayStation 5を買いました。仕事が落ち着いたら一歩も家から出ずに引きこもりたいです(笑)。あと、最近やりたいなと思っているのが"タコパ"。放送中のドラマ『ホスト相続しちゃいました』のメンバーでちょうどその話で盛り上がっていて。(宮世)琉弥がたこ焼き器を持っているらしいので、借りてうちでやろうと計画中です。琉弥とは仲よくなって、よくお互いの家に遊びに行ったりしています。といっても二人して何もせず、スマートフォンを見ているだけなのですけど」
はにかむように笑う、その笑顔が眩しく光る。そんな彼は現在26歳。30代に向けて、自らを研鑽している最中だ。
「渋い男になりたいです。特に役者を始めて言葉の重みについて考えることが多くて。『美しい彼』でご一緒した和田(聰宏)さんを見ていると、大人として深みのある和田さんが発するからこそ響く台詞がたくさんある。そんなふうに、説得力を持つ男になるのが今の目標です」
そう前を見据えるまなざしは気高く力強い。彼の描く未来図に、世界が見惚れている。