全国ツアー真っ只中、そして初のアジアツアーとドーム公演も控え、波に乗り続けている11人組グローバルボーイズグループ・JO1。彼らが9月20日にリリースする3RD ALBUM『EQUINOX』は、挑戦し成長し続けるJO1の現在進行形の姿が詰め込まれた作品になっている。
SPURではメンバーの川尻蓮さんにインタビュー。初のユニット曲が収録されるなど注目ポイント満載のアルバムの聴きどころや、ライブパフォーマンスへのこだわりなどを聞いた。踊るように優雅に撮影に応じてくれた、躍動感たっぷりな写真と一緒にお楽しみあれ。
アドリブパートは、いろいろ工夫しました
――新たな挑戦がたくさん詰まっている『EQUINOX』。新曲7曲もどれも粒ぞろいで、クオリティが高い作品だと感じました。ライブ出演の機会も増え、さらに並行して俳優仕事をこなすメンバーもいて、多忙を極めていると思うのですが、制作はいつ頃行ったんでしょうか?
曲によってバラバラですね。『Gradation』はけっこう前に録りましたが、他の新曲は7月くらい……つい最近までレコーディングしていました。韓国とリモートでつなぎながら日本で録りました。
――川尻さん的には、どんなアルバムに仕上がった印象ですか。
前回のアルバム『KIZUNA』に比べると大人っぽい曲が多いんです。キーもちょっと低めな分、より表現に意識を回すことができました。僕はサビやイントロの、アドリブみたいなパートを歌うことが多くて。初めて聴く人にも「おっ!」と気になってもらえるように、レコーディングでもいろいろ工夫してみましたね。
――アドリブは、例えばどのパートで?
『Fairytale』と『Dot-Dot-Dot』のイントロです! いろいろ試行錯誤してみたので注目してほしいです。
道しるべとなる星・Venus=JAM
――今作ではミュージックビデオを2曲制作したんですよね。すでに公開されている『RadioVision』はとても清涼感ある1曲でしたが、リード曲『Venus』は打って変わって、壮大でエモーショナルな印象を強く受けました。JO1の魅力が生きるコンセプトの1つである儚い雰囲気は、喜ぶファンの方も多そうだなと。
『Venus』はサウンドも美しくて感情的なんですけど、僕は歌詞がすごく好きなんです。Venus=金星は昼も夜も一番見える星で、道しるべの星と言われている。Venus=女神=JAM(JO1のファンネーム)を頼りに進んでいく、というメッセージが込められていて。そして昼と夜というのは、『EQUINOX』で表現している「夢と現実の境界」というコンセプトとも合っているので、とてもお気に入りですね。
――『Venus』とは、JAMのことだったんですね。
はい、もちろんです(深く頷く)。ミュージックビデオでも、僕らが夢と現実の境界を破って突き進んでいく姿を表現していて。ダンスシーンは3カ所で撮ったので、見応えがあると思います。
――『EQUINOX』にはJO1のアルバムとしては初めてユニット曲が収録されていますね。『Itty Bitty』は川尻さんのほか大平祥生さん、川西拓実さん、木全翔也さん、白岩瑠姫さん、豆原一成さん。『Mad In Love』は金城碧海さん、河野純喜さん、佐藤景瑚さん、鶴房汐恩さん、與那城奨さんという構成です。このチーム分けはどのように決まったんですか?
プロデューサーさんが決めてくださいました。どちらも曲が面白いなと思いましたね。メンバーの振り分けも「あ、そっちなんだ」と意外なところがあったりして。ユニット曲が収録されるのは初の試みなので、聴いてくださる皆さんにも楽しんでもらえるかなと思います。
――『Itty Bitty』はユニゾンで歌うサビが新鮮でした。ビートや皆さんの声はとてもクールなのに、歌詞では恋に奥手な男性のドギマギしているような思いが歌われていて、すごく可愛らしいギャップがありますよね。
そうなんです、意外と意気地なし(笑)。『Mad In Love』もどちらも恋愛の歌なんですけど、『Mad In Love』は恋に深くのめり込んでいる重めなストーリーなので、その差も面白いと思います。
――ちなみに『Mad In Love』を聴いてみてどう感じましたか?
純喜、奨くん、碧海というボーカルチームに、汐恩と景瑚が入る組み合わせが新鮮だなと思いました。曲はすごくハッピーな雰囲気で。この曲はダンスがないんですけど、歌なしで魅せるとなると、こだわらないと難しいところもあると思うんです。でも完成した音源を聴いたときに、率直に「いいね!」と思いました。
――歌詞に「僕の知らない僕がいる」というフレーズがあるのですが、ちなみに川尻さんが最近発見した、「自分の知らない自分」は何かありますか?
なんだろう……ああ! 今日いろいろなインタビューを受けてお話ししてる中で気づいたんですけど、僕は人と被ることが嫌いなんだなと思いました。ファッションも、使うものも。
“成長痛”と聞いて思い出すのは……
――アルバムには全部で15曲が収録されていますが、川尻さんのお気に入りの1曲を挙げるとすると?
すごく悩むんですけど……『Dot-Dot-Dot』で! 僕らの間では「ダッダッダッ」って呼んでます。大人の雰囲気が一番強い曲だなと思っていて。拓実の声を潰したような歌い方が好きなんですが、僕の好きなその拓実の声が存分に入った曲なので、個人的にお気に入りですね。特にサビ前の「たどり着くまで Dot-Dot-Dot」というパートです。
――『EQUINOX』は6TH SINGLE『MIDNIGHT SUN』、7TH SINGLE『TROPICAL NIGHT』から展開されてきた、“成長痛”をキーワードとしたシリーズの完結編でもあるんですよね。“成長痛”と聞いて思い出すことは何かありますか。
うーん、なんだろう(笑)。あ、練習室に、昔社長にお願いして買ってもらったランニングマシンがあるんですよ。最近は忙しくてあまり使えてないんですが、よく乗っていた時期に、一度走り出したら止まるのがもったいなくて。走りながらNetflixで映画を観たりするんですけど、自分を追い詰めて、動けなくなるくらいまで走っていました。そういうキツい“痛み”も、僕は好きなんだろうなと思います(笑)。
――(笑)。川尻さんはグループでパフォーマンスリーダーを務めていますが、昨年あたりからインタビューで歌への関心が高まっていることをお話ししていて。もはやボーカリストとしても欠かせない存在になっていますよね。
ありがとうございます! 歌は今も変わらず面白いですね。やっと「整ってきたな」という感覚です。いわゆるボイストレーニングと実際の歌唱は別物ですけど、やっぱりボイトレで安定した声が出せないと歌唱でも使えないんです。その基礎を、3、4年かけて作れてきたかなと思っています。
――JO1の中では川尻さんは高音を担当することが多いと思いますが、同じくハイトーンが多い河野さんや川西さんとの声のバランスというか、自分の役割については意識しますか?
よく考えますね。あと、作家さんやプロデューサーさんが欲しい僕の声はこれなんだろうな、というところを毎回考えながらやってます。「この声を出してほしくて僕にこのパーツをくれたんやろうな」って想像する。毎回意図を読み合ってますね。
ライブでは“やっちまう”のがすごく大事
――JO1は今年からライブやイベントに出る機会もグッと増えて、そのたびにライブパフォーマンスが話題になり、余裕と貫禄、“王者感”が出てきていますよね。川尻さんの目には、今のJO1はどんなグループに映っていますか?
ライブの練習をするとき、メンバー同士でよく「ライブはやったもん勝ちだ」って話しているんです。「誰々はこうして、誰々はああして」と決め込むのも大事なことですが、その場の雰囲気を感じ取って盛り上げる、「これがいい」と思ったことを“やっちまう”のはすごく大事だなと、有観客でライブをするようになって強く感じました。褒めていただいて嬉しいですが、まだまだライブでの盛り上げ方や楽しませ方は再検討している段階なんですよ。もっともっと伸ばして、今後もいろんなところで発揮していきたいと思っています。
――これからもまだまだ伸びていくのかと思うと楽しみです! ライブといえば、先日「KCON LA 2023」で披露したSEVENTEEN『Super』のカバーも大きな話題を集めました。川尻さんは以前からSEVENTEENさんをリスペクトしていることを公言していますよね。
そうですね、尊敬しています。『Super』をカバーすると聞いたときは、純粋にすごくうれしかったですけど、大好きだからこそ中途半端にはしたくないなと思って。1、2週間くらいかけてみっちり練習しましたね。
――本家SEVENTEENさんは200人のダンサーを率いて踊り、メンバーのリフトもダンサーさんが担っていましたが、そうしたパートも11人で表現していたことに驚きました。
そうなんです。本当はあんなにメンバー自ら持ち上げないですからね!?(笑)でも本当に会場の盛り上がりがすごくて。それはパフォーマンス中も肌で感じていました。社長に後から聞いた話なんですけど、僕たちは2回出番があって、最初に出たときと『Super』を披露して最後にはけるときでは、会場の声量が全然違ったと。僕たちのことを知らない方たちも客席にたくさんいらっしゃった中でパフォーマンスをして、皆さん盛り上がってくれて。ちゃんと届いたんだなと思って、それもすごくうれしかったです。
――7月に放送された『音楽の日』も、事務所の垣根を越えたダンス&ボーカルグループのコラボパフォーマンスが大きな話題を呼びました。JO1として参加するほか、川尻さんは『Oh s**t!! feat. SKY-HI』で各グループの代表者と肩を並べましたが、あの日はどんな刺激を受けましたか?
総合演出のs**t kingz(シットキングス)さんは、僕がダンサーをやっていた頃から好きなチームなんです。そのシッキンさんと一緒に踊れたというのは、目標が叶ったような感覚でした。他のアーティストさんも上手な方ばかりで、たくさん勉強させてもらいましたね。
多忙な日々の息抜きは、人としゃべること
――今日もツアーの合間で取材を受けていただいていますし、本当に多忙な毎日だと思いますが、健康管理はどのようにされていますか?
最近はもう少し頑張らなきゃなと思っています。ライブ後はどうしても声枯れがあるんですけど、「声が枯れるのは喉をうまく使えていない証拠」とよく言われるので、そこもトレーニングしつつ、ケアをより一層していきたいですね。料理とかも全然できていなくて……タコライス、作りたいなあ。
――息抜きにはどんなことを?
人としゃべることですね。大好きなゲームも最近はあまりできていないんですけど、昨日の夜はリーダー(與那城)とちょっとやりました!
――これからは国内ツアーに加えてアジアツアーが控え、そして11月には京セラドームという大舞台が待っていますね。
ドームはもちろんすごく楽しみですが、難しそうでもあるし、考えなきゃいけないことがたくさんあるなと思っています。たくさんの方が観にきてくれるので、全員に「楽しかった」と言って帰ってもらえるように、メンバーや演出家さんといろいろ作戦を練って、いいものを届けたいと思っています。
3RD ALBUM『EQUINOX』
2023年9月20日リリースの3RD ALBUM。夜と昼に例えて表現される“夢”と“現実”の境界を自らが打ち破り、輝く明日に向かって進んでいく姿が表現されている。リード曲『Venus』のほか、白岩瑠姫主演映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いに行く』の主題歌『Gradation』、情報番組『めざまし8』のテーマソング『NEWSmile』、そしてアルバムでは初の試みとなるユニット曲『Itty Bitty』『Mad In Love』などの新曲7曲と、6TH、7TH SINGLEの主要曲を収録。