目覚ましい成長を遂げたその姿には、確かな風格を感じる。一方で愛する音楽やゲームの話をするときは少年のような無垢さをみせる。BE:FIRSTのJUNONさんが、約1年ぶりにSPURに単独で登場。「僕らは何も変わっていない、そのために変わっていく」——— 透き通るようなハイトーンボイスで自身がそう歌う、日本の音楽シーンをけん引するアーティストの変化と不変を見つめる
目覚ましい成長を遂げたその姿には、確かな風格を感じる。一方で愛する音楽やゲームの話をするときは少年のような無垢さをみせる。BE:FIRSTのJUNONさんが、約1年ぶりにSPURに単独で登場。「僕らは何も変わっていない、そのために変わっていく」——— 透き通るようなハイトーンボイスで自身がそう歌う、日本の音楽シーンをけん引するアーティストの変化と不変を見つめる
1998年生まれ、東京都出身。7人組のアーティストグループ、BE:FIRSTのメンバーとして2021年にデビュー。現在、8月にリリースした2nd アルバム『2:BE』がヒット中。12月からは4都市を回るグループ初となるドームツアー「BE:FIRST DOME TOUR 2024-2025 "2:BE"」がバンテリンドーム ナゴヤ公演よりスタート予定。
Q&A
Q. デビューして3年、一番変わったことは?
A. ダンスは自分でも成長を感じます。 昔は振りを覚えるのが苦手で、振り入れがつらかったんですけど、今はだいぶ早くなりました。自分なりのコツは復習してから寝ること。たとえば振り入れの初日にうまくいかなくても、起きると不思議と体に入ってるんです。
Q. 目まぐるしい変化を求められる中で、自分を見失わずにいられる理由は?
A. 昼間の僕はかなり適当なんです(笑)。面倒くさがりなんで、あまり気張りたくない。その分、夜にいろんなことを考えます。明日のスケジュールの確認とか今日の反省とか、自分を振り返る時間を作っていて。ネガティブになることもあるけど、そうやって自分を俯瞰する時間が成長につながる。だからすごく大事にしています。
Q. 夏に共演したアーティストで仲よくなったのは?
A. &TEAMのEJは毎回TikTokを一緒に撮ってくれていい関係です。あとはKくんともよく話すしLINEもします。本当はもっとみんなと仲よくなりたいんですけど、人見知りで……。興味なさそうな顔をしているように見えますが、話しかけてくれたら喜ぶので、よろしくお願いします(笑)。
Q. この夏の一番の思い出は?
A. 「SUMMER SONIC」の大阪公演の楽屋がガンバ大阪の本拠地のスタジアムにあって、待ち時間にグラウンドを使わせてもらったんですよ。サッカーを続けていても、なかなか立つことのできない場所に感動してしまって、MANATOとSOTAの3人で夢中でサッカーをしました。
Q. どんな秋にしたいですか?
A. トレーニングの秋! よく食べるので(笑)。とあるフェスでは着いてすぐお寿司と"一蘭"を食べたし、別のフェスではひたすら肉を食べていました。だから、食欲の秋を満喫するためにもトレーニングを頑張っていきたい。秋はかぼちゃのスープが飲みたいですね。
Interview with JUNON
最終地点に立っている自分を想像したら、すくんでいた足も一歩前に踏み出せる
8月にプレデビュー3周年を迎えたBE:FIRST。就職を控えた大学生が、一躍スターダムに。JUNONをめぐる環境もこの3年で劇的に変化した。
「自分自身、一番変わったなと思うのは、どんな仕事に対してもリラックスして取り組めるようになったこと。今日のような撮影一つとってもそうです。最初の頃は驚きと緊張でいっぱいいっぱいだったんですけど、3年たってリラックスできるようになった。SPURにソロで出演するのは約1年ぶりですが、前回より自由に楽しめた気がします」
もともと大の人見知り。初対面の人に話しかけるのも得意ではなかった。
「だからグループでいるときは話すのをほかの人に任せて、僕は黙っていることが多かった。メンバーの中で初めての人にもグイグイ行けるのは、RYOKIかLEO。僕は二人とは真逆のタイプです。メンバーと一緒に取材を受けるときも、求められないとしゃべらないことが多かったですね。でも、それもこの3年で少しずつ直そうと頑張っていて。やっぱり話すことで相手のことも知ることができるし、自分の気持ちをきちんと伝えることもできる。だから頑張って自分から話すように。最近は『全然人見知りじゃないじゃん』と言われることが増えてきました。まあ、ちょっと無理していますけど(笑)」
わずか3年とは思えない濃度で駆け抜けた日々。転機となったのは、昨年リリースした「Mainstream」だった。
「それまではプロデューサーであるSKY-HIさんや事務所が描いてくれた道を進むのに精一杯だったんですけど、少しずつ僕らの中で余裕が生まれてきて、もっとこういう楽曲があったらBE:FIRSTはよくなるということを自分たちで話し合うようになった。そこで出た意見を伝えて、一緒に楽曲制作に携わったのが『Mainstream』。あそこから自分たちはどういうグループになりたいのかが、よりはっきりしてきた気がします」
今年4月にはグループ初となるソロ楽曲を発表。自ら作詞作曲に加わり、新境地を切り開いた。
「ソロをやって身についたのは自信と心の余裕。それまでは曲を作るにしてもリリックを書くにしてもガチガチに力が入って考え込むことが多かったんです。でもソロをやってみて、曲作りはこだわりすぎると終わらないから、いい意味で割り切りも必要なんだと学んだ。むしろ直感で浮かんだものがいいこともあるし、仮に反省が残ったとしても次に生かせばいいと考えられるようになってから、気持ちが楽になりました。2ndアルバムの『2:BE』に『Genesis』というユニット曲が収録されているのですが、楽曲制作がスムースに進んだのは、ソロ曲で身につけた自信と心の余裕のおかげかもしれないと思っています」
7月には韓国出身の8人組ボーイズグループ・ATEEZのロサンゼルス公演でオープニングアクトを務めた。
「SOTAと(ダンサーの)ReiNaがコレオをつけてくれた楽曲がいくつかあるんですけど、二人がここで沸かせたいと狙ったポイントで狙い通りに沸いて。現地の取材でも『自分たちの文化に沿った楽曲で聴きやすかった』と評価してもらえたんです。僕たちのやってきたことは正解だったんだと思えたし、これからやるべきことも明確になった。世界進出のための大切な一歩になったステージでした」
メンバーとの関係性も、3年という時間の中で着実に変化している。
「メンバーの中で関係性が一番変わったのはRYUHEI。最年少と最年長ということもあって、はじめは年齢の壁を感じていたみたいですが一緒に活動をしていくうちに、どんどん壁はなくなって、今はすっかりゲーム仲間です。今、二人でやっているのは『オーバーウォッチ』。もともと僕が大好きで、会う人全員に面白いからやろうってすすめていました(笑)。もちろんRYUHEIにも言っていたんですけど、そのときはやってくれなくて。でもいつの間にかプレイしていることを知って、一緒に遊ぶようになった。ほかにもカードゲームで遊んだり、もう普通の友達みたいな関係ですね」
自らを「飽き性」と語り、「変わることが好き」と変化を楽しむ。しなやかな感性が、JUNONというアーティストを日々アップデートさせている。
「新しいことを始めるときは緊張するし、恐怖も感じます。でもそんなときは、変化の先にあるものをイメージする。僕もBE:FIRSTのオーディションに向かうときは怖かったですよ。でもずっと憧れていたSKY-HIさんと一緒に音楽を作るという最終目標があったから、やってみようと思えた。そして、あのオーディションを受けたから今がある。たとえば会社員の方だったら新規のプロジェクトにアサインされたり、いろんな変化があると思うんですけど、その最終地点に立っている自分を想像したら、すくんでいた足も一歩前に踏み出せる気がします」
アーティストの夢をかなえたJUNONは、世界への夢を胸に未踏の地を歩み続ける。年末からスタートする初のドームツアーも、目指すべき最終地点に向けた重要なマイルストーンだ。
「中学生のときからAAAが大好きで、初めてライブに行ったのが、10周年のときの武道館公演だったんです。その後にAAAが東京ドームに立ったとき、応援している僕までうれしくなって。ドームツアーをやるということはアーティストにとって一つの看板であり、応援してくれる人たちにとっても誇りになる。すごいアーティストの方々が立ってきた場所に僕らも立てることが光栄です」
絶えず変化を続けることで、夢をつかみ取ってきたJUNON。ただ一つだけ何があっても変わらないことがある。
「音楽が好きだということ。パフォーマンスが好きだということ。この気持ちは何があっても変わらないですね。ライブをしているときが一番楽しいし、〝生きている〟という感じがします」
だからこそ、思い描く未来にも迷いはない。創刊35周年を迎えたSPURにちなみ、最後に35歳の自身の未来予想図を尋ねてみると、ブレない答えが返ってきた。
「立派なアーティストになっていると思います。グループも続けているだろうし、その頃には一人でステージに立てるアーティストにもなっていたい。いずれにせよ音楽をやり続けていることだけは間違いないですね」
変わることを楽しむJUNONの唯一不変のアイデンティティ。それは、尽きることのない音楽への愛だった。