昨年リリースした曲「Giri Giri」はTikTokで総再生回数が30億回を超えた。注目の集まるオルタナティブ・ヒップホップユニットKOMOREBIがSPURに参上!モデルとしても活躍する彼らが最新モードを堂々と着こなした。彼らが目指すもの、世代を超えたコラボレーションが生まれた秘話を語る
昨年リリースした曲「Giri Giri」はTikTokで総再生回数が30億回を超えた。注目の集まるオルタナティブ・ヒップホップユニットKOMOREBIがSPURに参上!モデルとしても活躍する彼らが最新モードを堂々と着こなした。彼らが目指すもの、世代を超えたコラボレーションが生まれた秘話を語る
RIP SLYMEのPESが語るKOMOREBIとは
結成25周年を目前に、フルメンバーで活動再開の報に沸くRIP SLYME。メンバーであるPESさんは実はKOMOREBI結成にひと役買った人物だ。「知人を介して、モデルをやりながら音楽を作りたい子たちがいると紹介されたのが2021年のこと。最初は個々に友達のイベントで歌ったりDJしたりっていうことを考えていたのですが、『せっかく仲がいいのにグループを作らないの?』と提案してみたんです。世界的に見ても90年代中頃からグループで活動するラッパーが減っている今こそ、やったら面白いかなって。
流行りのラップであるDrillやTrapをやりたいのかと思いきや、ヒップホップだけではなくポップスもロックも好き。マテウスはルーツであるブラジルの曲も好んで聴いています。音楽的に飽和状態の時代に生まれた彼らからすると、いいと思う曲が偏っていないし、フラットな聴き方をしているのも面白いと思います。
KOMOREBIのよさって、彼らの曲を聴いていると、バカで楽しくて元気で『これでいいんだな』って思えるところ。こういう"わかりやすさ"って、意外と今難しいんですよ。『Giri Giri』でいきなり注目を浴びることになってしまったので、彼らも大変な思いをしたと思うけど、やっぱり音楽はライブが命。ファンは彼らの中から出てくるものを見たいわけだから、これから曲作りもステージの構成も、もっともっと磨いていってほしい。最近は彼ら自身で曲も作っていますし、急成長していくKOMOREBIをアシストしたいですね」

ペス。1976年生まれ、東京都出身。ヒップホップアーティストとして1996年より活動。日本のヒップホップグループとしては初の日本武道館単独公演・海外公演・野外5万人ライブなど数々の記録を作り続けてきたRIP SLYMEのMCとしても知られる。ソロではアコースティックギター1本でのパフォーマンスから作詞・作曲、楽曲プロデュース、グラフィックデザインまで多角的に手がけている。KOMOREBIのアドバイザー的存在。
KOMOREBIのメンバー5人にインタビュー
SPUR初登場となるKOMOREBIはYUTA、MATHEUS、MAXI、SAMの4MC&DJ OTAの5人組。それぞれがモデル活動を行いながら、オルタナティブ・ヒップホップユニットとしても活躍中だ。そのユニークな素顔とは?
——YUTAさんとSAMさんのルーツは日本とフィリピン、MATHEUS さんはブラジルと日本、OTAさんはイギリスと日本、MAXIさんは日本と国際色豊かです。KOMOREBIというグループ名はどこから思いついたのでしょうか。
YUTA 日本語で英単語になってないものはあるのかなと探してみたんです。ある日SAMが〝木漏れ日〟という言葉を見つけてきて、まだ誰も使ってないし、いいねって。
SAM 生まれたバックグラウンドもだけど、ロック、歌謡曲、パンクと愛する音楽もバラバラ。でも5人が共通して好きなのはヒップホップ。
MATHEUS 主軸はそこ。ヒップホップ×ロックとか、融合していきたい。
MAXI アメリカにBROCKHAMPTONというグループがいるのですが、彼らみたいにヒップホップという枠にとらわれず何でもやるグループになっていくのが理想だよね。ひとつのジャンルに当てはまらないのが僕たちのよさかなと。
SAM OTAはDJとして各地でプレイしてるし、自分のファッションブランドも持っています。俺も料理を作っているし、MATHEUSは筋トレにハマってる(笑)。とにかくクリエイティブな集団でいたいよね。
YUTA 型にハマらないでいたいよ。
——今回、SPURのSNS用に動画を撮っていただいたのですが、皆さんでアイデアを出し合って作っていく過程が面白かったです。
MATHEUS だいたい、いつもこんな感じです。仲がいいのでこれあり?なし?とか言い合って作るスタイル。
——最終的にまとめるのはどなたの役割なんですか?
OTA 俺は見せ方のところに意見するようにしてるかな。MAXIは音楽的なところをまとめてくれるし、みんなそれぞれに役割がある感じです。
MAXI 音楽制作の場合は、メンバーの誰かがビートを持ってきてスタジオに入る。それをビートメーカーとその場で聴きながら、フック選手権をやるんです。一人ひとりの歌詞を聴いて、このフローがいいねって始まる。
YUTA 一緒に活動しているビートメーカーも、いつもうまくKOMOREBIらしさを引き出してくれます。
——新曲「WASABI」はどのように作られたのでしょうか。
MATHEUS 僕らみんなバスケが大好きなんですが、歌詞の中にNBAでも活躍している河村勇輝選手の名前が入っています。河村選手のスーパープレイの動画で現地のアナウンサーが『WASABI !』って叫んだんですよ。
OTA ジャパニーズマスタードであるWASABIは、素晴らしいプレイに痺れて、ぴりっと辛いっていう意味。
MATHEUS そうそう、それに〝What’s up?〟みたいな挨拶にも聞こえて面白いねって。〝侘び寂び"とも語感が似ているのもいいねってプロデューサーとも話して決まりました。
——現場のグルーヴ感が大事ですね。
MATHEUS それはもう。「Giri Giri」ができたときもSAMが「毎日ギリギリ」って歌っていたのを、PESさんがもっと救いがあるほうがいいんじゃない? ってアドバイスしてくれて、じゃあ「ギリギリ ハッピー」だなって俺がアイデアを出して生まれました。
MAXI PESさんはいつもアドバイスが的確で、ボキャブラリーも豊富。耳に残る音楽の作り方を教えてもらっていると思います。
YUTA あれが生まれたときにPESさんが爆笑してたのを覚えてる! 可能性すごいねって言ってくれたよね。
MAXI 父がよく90年代以降の日本のヒップホップを聴いていたので、コラボレーションしたスチャダラパーやRIP SLYMEの皆さんは初めてちゃんと聴いたヒップホップアーティスト。一緒にできるなんてすごいよ。
YUTA 90年代ってめっちゃ自由にやってる感じがして憧れる。俺たちも聴いてくれてる人たちからクールだと思われるグループになりたい。
SAM マイナスからプラスに変えていけるようなポジティブなパワーを伝えられるといいな。
MATHEUS それ僕らの世代のヒップホップって感じ!
OTA 昔から弱い人がマイクを持つのがヒップホップだと言われていますが、僕らはそれよりも音楽を作るのが楽しいよっていうことのほうが発信していきたいかな。生活はギリギリなんだけど(笑)。
SAM 木漏れ日のように僕らが明るく照らす側になれたらいいよね。