独特の感性と画風で、スピリチュアルな世界を美しくそしてファッショナブルに描く画家、藤田理麻さんの新作絵画個展『Milam〜夢を旅して〜』が、2022年11月2日(水)〜8日(火) 、伊勢丹 新宿店 本館6階のアートギャラリーにて開催される。また、藤田さんのこだわりが詰まったオラクルカードが満を持して発売。読者プレゼントも提供してくれた。そんななか、カリフォルニアに住む藤田さんへのリモートインタビューが実現。絵画やオラクルカードを通して藤田さんが今、伝えたいこととは。
夢も人生も、自分の気持ちの持ちようで変えられる
——伊勢丹 新宿店 アートギャラリーでの開催は、29回目を迎える今回の個展。テーマは「Milam〜夢を旅して〜」ですが、どんなメッセージが込められているのでしょうか
Milam(ミラム)とはチベット語で、「夢見のヨガ(ドリーム・ヨガ)」を意味します。夢の中の自分をもうひとりの自分として認識して夢をコントロールすることで、自分を癒したり解放したりして、現実世界に活かす瞑想法です。
私は夢で見た絵を描いているのですが、ときに夢と現実の境目が曖昧になることがあります。人間は誰もが夢を見ますが、ドリームヨガを実践する人や私のように「夢」との向き合い方を変えることで、現実世界によい影響を与えられます。
人生も同じで、自分の意思でいくらでも変えていける。そして、その力があるのは自分だけなんだってことを、夢の導きで描いた絵を通して、みなさんとシェアしたかった。今回のシリーズは、そんな思いから誕生した作品たちです。
私たちはついつい目の前の現実だけにとらわれてしまい、本来備わっている自分の魅力を見逃しがちです。でも、私たちが現実だと思っていることは幻想で、夢の中が本当なのかもしれない。夢の世界を楽しむことで、自分がもつ計り知れない可能性に触れてほしいという思いから、今回のテーマを決めました。
——今回の展示作品のなかで、特に夢の影響を受けた作品はありますか
こちら(下)の「ロータス・ネクター」です。背景に描かれている山はヒマラヤです。ある日、ヒマラヤ山脈の標高4,000m級の山を旅している友人からお便りがきました。それからというもの、ヒマラヤから“呼ばれている”感じがして。毎晩のように夢に出てくるし、昼間に瞑想しているときもヒマラヤのビジョンがボンボンと押し寄せてくる(笑)。それらを着想源としてこの絵が誕生しました。
もともと、私はヒマラヤとは縁がありましたが、このときのパワーはすごかった。私の見る夢は現実よりもはるかにリアルですから、本当にヒマラヤにいるような感覚です。魂がゆさぶられ、現実の世界と夢の世界を行き来する不思議な世界で見たものを描く。これはドリーム・ヨガに通じるのではと思い、展示のテーマをMilam(ミラム)にしようと思うきかっけになった作品です。
夢は私にとって、クリエイティブの源。夢と上手につきあっていくには、自身のスピリチュアルな部分を研ぎ澄ますことが大切になってきます。そのためのツールのひとつとして、オラクルカードを作ることにつながったのです。
初となるオラクルカードは、イタリア生まれ
——オラクルカードについても聞かせてください。スピリチュアルでファッショナブルな藤田さんの絵をカードにしたいと、今まで何度もオファーがあったと聞いています。今回、オラクルカードとして発売にいたったきっかけは何だったのでしょうか
実は、プライベートでとても辛いことがあったんです。そのとき、宇宙意識とつながることでとても救われたんですね。それで宇宙意識とつながるためのツールを作りたいと思って、自分にできることは何だろうと考えた結果、オラクルカードを作ることにしたのです。
オラクルカードは占いやタロットカードとは違って、自分のために自分だけが使うもの。私の絵のカードを通して、宇宙意識、高次元の自分とのコミュニケーションに役立ててほしい。それが辛い経験をしている人たちにとって、心の安らぎになるとうれしいです。
——ゴールドのあしらいが神秘的で宇宙的で。思わず手に取りたくなる美しさです
ケースと、27枚のカードすべてにゴールドでエンボス加工がアクセントとしてあしらわれています。時間も労力もかかりましたが、とてもゴージャスな仕上がりで満足しています。持ち運びしやすいようサイズも工夫しました。バッグの中にもすぽっと入りますよ。
——色彩も素敵です。イタリアで印刷されたとか
はい。最初は、日本かローカルで刷りたいと思っていたけれど、調べたらハードルがありました。そんなとき、太陽発電で作ったリサイクルペーパーを使っているイタリアの会社を、私のアシスタントとデザイナーが見つけてきたんです。家族経営の小さな会社なので大量生産はできませんが、職人さんたちが一つひとつ手作業で丁寧に作っている。私も細かくてこだわるタイプだから、ちょうどいい(笑)。刷り上がりの色の出方も素晴らしくて。サステイナブル&エココンシャスな作りのうえに、素晴らしい色彩もついてきて、ご縁に感謝しています。
——ビジュアル以外にこだわったところはありますか
カードのメッセージはポジティブなもの、プラクティカルでためになるものを選びました。不安をあおるようなツールには決してしたくなかったんです。悩んでいるときはささいなことが、不安で心配に思えてしまいますよね。ポジティブになりたくてもそのきっかけがつかめないことも。そんなときにこのカードを使うことで希望が見えたり、これから何かいいことあるのかもしれないと思えたりしてもらえたら。カードを引くことで元気になってほしいです。
——使い方をサイトで拝見しました。自分のために使うことが大切なんですね
使う人の自由でいいと思います。毎回2枚ひくという人もいますし、好きなように使ってほしい。ただ、私たちがコントロールできるのは自分のマインドだけですので、他人のためにカードをひくというのはおすすめできません。
カードをよむときは、直感に従ってください。お花が気になったなど、絵柄から何かピンとくるものを感じたら、それを大切に。直感が冴えると、宇宙意識や高次元の自分にアクセスしやすくなるので、普段からメディテーションなどを行い、直感を磨くといいですよ。
目に見えない世界を大切にしたい
——より宇宙意識とつながるために、藤田さんが普段行っていることはありますか
目に見ない世界を大切にしていて、例えば自然とふれあうなどです。森の中を散歩すると、自分のなかにあるスピリチュアルな部分がメンテナンスされる感覚があります。自分の軸を綺麗にしておくことは画家としての責任だとも思いますので、コンディションを整えるためにも自然との対話を続けています。
——最後に、今回3年ぶりの帰国となりますが、どのようなお気持ちでしょうか
今回、久しぶりの帰国となり、みなさんと直に会えることを本当に心待ちにしています。お互いにエナジーを感じたりできるのは対面ならでは。うれしく楽しみでなりません。
個展とオラクルカードを通してみなさんにお伝えしたいメッセージの一つは、自分の人生をよい方向に進める力というのは自分にあるんだってこと。足を運んで感じてもらえるとうれしいです。
2022年 藤田理麻 新作絵画個展「Milam〜夢を旅して〜」
日時:2022年11月2日(水)〜8日(火)
会場:伊勢丹 新宿店 本館 6階 アートギャラリー(東京都新宿区新宿3-14-1)
時間:10:00〜20:00 ※最終日のみ〜18:00
会期中無休
>美術館サイトへ
※開催期間中、午後に在廊予定
★東京タロット美術館にて、原画の展示、トーク&ディナーイベントが開催!
11月18日(金)18時より、タロット美術館にて、藤田理麻さんの原画展ならびにトーク&ディナーイベントの開催が決定! 先約15名限定。詳細は後日、タロット美術館の公式サイトに掲載予定。https://www.tokyo-tarot-museum.art/
PROFILE
藤田理麻/Rima Fujita
東京生まれ。兵庫県芦屋市で育ち、 1979年よりNYへ移住。NYのパーソンズ スクール オブ デザイン卒業(学士号取得)。1990年より、アメリカと日本で個展を開催。2000年、恵まれない子供たちに絵本を作り贈る機関「ブックス フォー チルドレン (BFC)」を設立。広島国際平和サミット用ポスターの絵の委嘱を受けるなど、グローバルに活躍。ケンブリッジの科学者と結核予防教育図書として絵本「TB AWARE」を創作し、チベット難民孤児へ寄付。2021年6月、ノーベル賞平和賞受賞者であるダライ・ラマ法王の一生を描いた絵本が、アメリカのウイズドム社より出版された。ダライ・ラマ法王が自らナレーションを担当する絵本制作を正式依頼された初の日本人である。著書に、「ワンダートーク」(サンクチュアリ出版)、「ワンダーガーデン」(扶桑社)、「小さな黒い箱」(KKベストセラーズ)、「シンプル瞑想」(講談社)などがある。https://rimafujita.com/
interview & text: Seira Yoshimura