二宮和也の新書『独断と偏見』には、これまで語られなかった“仕事論”と“アイドル論”が静かに宿っている。後編では、動画でもSNSでもなく“文字”を選んだ理由、読者へのまなざし、独立後に知った「断ること」の重み、そして“かゆいところに手が届く存在”としてのアイドル観までを丁寧に言葉にしていく。成功の軌跡ではなく、問い続ける自分を記録したかったという本音も。今の二宮和也を映し出すのは、テレビでもSNSでもない——“言葉”そのものだ。
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二宮和也の新書『独断と偏見』には、これまで語られなかった“仕事論”と“アイドル論”が静かに宿っている。後編では、動画でもSNSでもなく“文字”を選んだ理由、読者へのまなざし、独立後に知った「断ること」の重み、そして“かゆいところに手が届く存在”としてのアイドル観までを丁寧に言葉にしていく。成功の軌跡ではなく、問い続ける自分を記録したかったという本音も。今の二宮和也を映し出すのは、テレビでもSNSでもない——“言葉”そのものだ。
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この本の受け取り方は、読者に委ねたい
——どう思われるかとか、受け取り方は、読む人に任せるっていう感じですか?
そうですね。それがあったので、こういうタイトルになったって言いますか。これはあくまで、一個人の意見ですという立ち位置というか。例えば、自分が起業して、会社が大きくなって、っていう流れで、こんな億万長者になりましたっていうものではなかったので、だからこそ、これを読んでどう思うかはそれぞれだと思いますし、そもそもこいつが成功してるのか成功してないのかっていうのは、まだファジーな状態にいる人間なので、その人が言っている言葉の中でこれを持っときたいなっていう言葉があればいいなという趣旨ですね。
サクセスストーリーではなく、問い続ける自分を記録したかった
——今回、新書ということで、一般的には学術書とかのイメージがあると思いますが、今回二宮さんが出版されたことで、新書の可能性も広がっていくと思いました。これまでエンタメとかに興味はなかった人も手にとるかもしれません。そういう人たちに、この新書がどのように伝わってほしいと思っていますか?
これも本当に偏見なんですけど、自叙伝的な書籍より新書にすると、もうちょっと客観的な意見になれるんじゃないか、と考えたところでありまして。芸能人が、自分の考えをまとめるときって、自叙伝でいいじゃん、みたいな、そういう形が多いと思うんですけど、そうすると、自分の考えや覚えに対して、すごく自分が信用しているというか、信頼しているというか、だから成功してきたんだっていう、こう答えづけになってきちゃう。だから今の俺がいるんだ、みたいな感じは僕は自分自身になかったので。なので、自分の考えだし、自分の思いということなんですけど、もう少し客観的になるには、どうしたらいいんだろう、って考えたときに、ご提案いただいた新書というものは、二宮和也はこう思ってるよね、って言えるような、その立場になれると思ったので、それを選択させてもらいました。シンプルなサクセス本みたいなことに なっていないというか。だから僕はここまで来たんだよね、という感じではなく、悩んでいるものはずっと悩み続けているし、解決していくべきものは解決していくし。責任を持つ部分が多くなってきた中での、自分の振る舞い方というのが、ちゃんと客観的に、さっきも言っているように、整理できたんじゃないかな、というふうに思っています。
今の自分を表すなら「我田引水」
——2025年になってからまた二宮さんの現在地が大きく変わっていらっしゃると思います。今のご自身を四字熟語で表すと?
「我田引水」でしょうね。基本的に、人のふんどしで相撲を取る人間なので(笑)。とにかく、僕自身が僕にそんなに興味がないので、興味を持ってくれている人たちが、いかにこうしたほうがいいんじゃないかというアドバイスを聞いたときに、ヒットしてくるのかということで、ものごとが進んでいるので、なので、本当にまさにこれ、な感じがしますね。

集英社新書『独断と偏見』
2025年6月17日発売 ¥1,100 新書判/192ページ
二宮和也による初めての〈新書〉。あえて文字だけの表現に挑戦。
40代になった著者二宮が、これまで考えてきたこと、いま考えていること――。
俳優やアーティストとしての表現のみならず、二宮和也が発信する独創的な言葉の力には定評があります。その最新の〈哲学〉を言語化すべく、10の四字熟語をテーマに計100の問いと向きあいました。ビジネス論から人づきあいの流儀、会話術から死生観にいたるまで、「独断と偏見」にもとづいて縦横無尽に語りおろします。エンターテイナーとしての思考が明かされると同時に、実生活に役立つ働きかたの極意や現代を生きぬく知恵が凝縮。世代や性別を問わず、どのページを開いても人生のヒントが見つかる新しい形のバイブル的一冊です。
【著者プロフィール】二宮和也(にのみや かずなり)
1983年6月17日生まれ、東京都出身。1999年、アイドルグループ「嵐」のメンバーとしてデビュー。映画やドラマ、バラエティ、CMなど幅広く活躍。最近の主な出演作品に映画『ラーゲリより愛を込めて』『アナログ』『8番出口』、ドラマ『ブラックペアン』シリーズなど。2016年、映画『母と暮せば』で第39回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。近著に『二宮和也のIt[一途]』(集英社)がある。
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