ブレンダン・フレイザー主演、日本人監督HIKARIによる『レンタル・ファミリー』を筆頭に、女性監督の作品にスポットライトを当てる。パレスチナ系アメリカ人のシェリーン・デイビス、俳優としても知られるドロレス・フォンシ、そして映画界注目の新星エヴァ・ヴィクターまで、その最前線をリサーチ!

2026年は女性監督が牽引する! ブレンダン・フレイザー主演『レンタル・ファミリー』に注目

ブレンダン・フレイザー主演、日本人監督HIKARIによる『レンタル・ファミリー』を筆頭に、女性監督の作品にスポットライトを当てる。パレスチナ系アメリカ人のシェリーン・デイビス、俳優としても知られるドロレス・フォンシ、そして映画界注目の新星エヴァ・ヴィクターまで、その最前線をリサーチ!

日本人女性監督が、すべてのボーダーを超える!

映画監督のHIKARI

パーソナルなストーリーを国境を超えた普遍的物語に

『ザ・ホエール』(’22)でキャリア初のオスカーを受賞したブレンダン・フレイザーは、次に何を選ぶのか。ハリウッド中が見守ったそのビッグな謎の答えは、なんと日本人女性監督HIKARIの書き下ろし作品だった。「他に絶対にない作品。タイトルからすでに興味を惹かれた」とフレイザーが絶賛する『レンタル・ファミリー』は、世界の映画祭でも観客を強く感動させている。

「感無量ですね。トロントでも、ロンドンでも、チューリッヒでも、笑うところ、泣くところ、『あっ』と驚くところ、みんな一緒で。国境を超えてメッセージをちゃんと受け止めてもらえているんだなと思いました」

東京に住むアメリカ人男性フィリップの話は、高校生で大阪からユタ州に留学した彼女だからこそ書けたもの。フィリップが関わるのが離婚家庭の少女だという部分も、パーソナルだ。

「性別と国をひっくり返しただけです(笑)。ユタ州に住んでいたとき、アジア系は私だけでしたから。でもその頃に出会った人とは今でも仲よし。そういう経験をこの作品に入れたかったんです。長編デビュー作の映画『37セカンズ』(’19)にしても、自分自身の体験は必ずどこかにある。そのほうが、真実があると思うから」

今作での大注目は、この才能ある女性監督にとって、まだまだ始まり。

「ここまでに時間がかかったけれど、それらが全部つながって今がある。諦めずにやってきて本当によかった。感謝の気持ちと同時に、これからやっとやりたいことができるとも感じています。たとえばミュージカルも考えているし、SFとか、大型予算をかけた作品をトップのスタッフと作ってみたい」

より多くの女性たちがこの分野に入ってくることはうれしく受け止めている。彼女らに贈るアドバイスは?

「女性が映画を監督するのは、大変。私も嫌なことも経験しました。だからこそ、自分を出せるチーム作りが大事。『それは無理』ではなく、『できるようにしよう』と言ってくれる人たちを探して、自分の芸術を追求する。あと、何を言われてもくじけないで。人生は一度しかないんですから」

『レンタル・ファミリー』

『レンタル・ファミリー』
日本に住む売れない米国人俳優フィリップ(ブレンダン・フレイザー)は、依頼を受けて“架空の存在”を演じる職に就く。シングルマザーから、父親のふりをしてほしいと依頼され……。(2026年2月27日、全国ロードショー)

HIKARIプロフィール画像
HIKARI

大阪府出身。2019年に映画『37セカンズ』で長編監督デビュー。Netflixドラマ「BEEF/ビーフ」(’23)などを監督。

俳優も務める、新進気鋭の女性監督

シェリーン・デイビス

シェリーン・デイビス

ルーツを投影したストーリーテリング

次のアカデミー賞国際長編映画部門にヨルダンからエントリーされた『All That’s Left of You』。パレスチナ系アメリカ人であるシェリーン・デイビスが、家族の体験から着想を得て書いた作品だ。1948年、イスラエル軍により故郷を追われたパレスチナ人家族を3世代にわたって追う、葛藤に満ちた人間ドラマ。ようやくロケ開始となった2023年10月にハマスとイスラエルの戦争が始まり、ロケ地の変更を余儀なくされるという苦労を経て完成させた。デイビスは重要な役で出演も。オーディションしたものの、自分の求める完璧なニュアンスを表現できる俳優に出会えず、自ら演じた。次の監督作もすでに決まっているようで、今後が楽しみ。

『All That’s Left of You』

『All That’s Left of You』
イスラエル軍により平和な生活を奪われた家族。1940年代から1988年まで、彼らと子どもたちが生きた道のりを章に分けながら綴る野心的な感動作。(日本公開未定)

Cherien Dabisプロフィール画像
Cherien Dabis

シェリーン・デイビス●ネブラスカ出身。「Empire 成功の代償」(’15)や「マーダーズ・イン・ビルディング」(’21)などドラマを監督。俳優としてドラマ「フォールアウト」(’24)に出演。

ドロレス・フォンシ

ドロレス・フォンシ

南米から、シスターフッドを描く

俳優として知られるドロレス・フォンシが、意欲作を発表。『Belen』は、アルゼンチンで人工妊娠中絶が違法だった2014年、病院で流産をした若い女性が、意図的に中絶した容疑で逮捕されたことに始まる。罪のない彼女のために立ち上がったのは、フォンシ自身が演じる弁護士デサ。家族を犠牲にするリスクを負い戦ったデサのおかげで、世の中が変わる。ノンフィクション本の権利を買った女性プロデューサーは、この事件に個人的に強い興味を持っているフォンシに、デサ役だけでなく、監督と脚本を一任。彼女はその責任を立派に果たし、今作はアルゼンチンの代表としてアカデミー賞国際長編映画部門にエントリーされた。俳優業も監督業からも目が離せない。

『Belen』

『Belen』
アルゼンチンの社会を動かした出来事を描く実話映画。 “Belen”は、容疑に問われた若い女性の仮の名前。彼女のプライバシーは今も守られている。(日本公開未定)

Dolores Fonziプロフィール画像
Dolores Fonzi

ドロレス・フォンシ●ブエノスアイレス出身。出演作に『しあわせな人生の選択』(’15)など。2023年、コメディ映画『Blondi』で監督デビューを果たした。

エヴァ・ヴィクター

エヴァ・ヴィクター

映画界注目の新星現る!

俳優エヴァ・ヴィクターの監督/脚本家デビュー作『Sorry, Baby』が、2025年のサンダンス映画祭で脚本賞(USドラマ部門)を受賞! ヴィクター自身が演じる主人公アグネスは、愛猫と静かに暮らす若い大学教授。だが、彼女は内面にトラウマを抱えている。それは、学生時代に体験した、ある出来事のせい。性暴力が被害者の人生をいかに大きく変えるのかを、繊細な視点で描く問題作。監督としての彼女の才能を最初に見抜いたのは、『ムーンライト』(’16)でアカデミー賞を受賞したバリー・ジェンキンスだ。彼女のSNS動画を見たジェンキンスが「もし脚本を書くことがあれば僕の会社に送って」と言ったことがきっかけ。まさに現代のシンデレラストーリー!

『Sorry, Baby』

『Sorry, Baby』
ひとり暮らしのアグネス(エヴァ・ヴィクター)を、大学時代の同級生(ナオミ・アッキー)が訪ねる。思い出の中には、忘れたい、つらい出来事があった。(公開中)

Eva Victorプロフィール画像
Eva Victor

エヴァ・ヴィクター●パリ生まれ、サンフランシスコ育ち。出演作にテレビドラマ「ビリオンズ」など。次の出演作はトニー・ギルロイ監督の映画『Behemoth!』(公開未定)。

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