今年も4月から5月にかけて、京都の文化的建築空間を舞台にした写真の祭典KYOTOGRAPHIEが開催される。今回は世界各地から10組以上の参加を得ているが、その中から、いずれも独創的な表現に挑む3人の女性に着目。まず、英国リバプール出身のリンダー・スターリングによる日本で初めての個展は、見逃せない展覧会のひとつだ。
今年も4月から5月にかけて、京都の文化的建築空間を舞台にした写真の祭典KYOTOGRAPHIEが開催される。今回は世界各地から10組以上の参加を得ているが、その中から、いずれも独創的な表現に挑む3人の女性に着目。まず、英国リバプール出身のリンダー・スターリングによる日本で初めての個展は、見逃せない展覧会のひとつだ。
LINDER STERLING (リンダー・スターリング)
70年代のパンク・ムーヴメントの洗礼を受け、ルーダスというバンドのシンガーを務めつつビジュアル・アート作品を発表し始めたリンダー。雑誌やカタログの切り抜きなどを用いたフォトモンタージュで知られる彼女は、フェミニズムを立脚点に、ユーモアを介してセクシュアリティや欲望を巡る男性主導の既成概念に疑問を投げかけてきた。その先駆的試みに近年再評価の声が高まり、昨年ロンドンのヘイワード・ギャラリーで大規模な回顧展『Linder: Danger Came Smiling』が開かれたばかり。これに続くKYOTOGRAPHIEでの個展は半世紀に及ぶ活動を網羅し、本人との綿密な協働のもとに選ばれた代表作を含む約90点が展示されるといい、示唆に富んだ内容になることは間違いない。
JULIETTE AGNEL (ジュリエット・アニェル)
続いて2人目は、四半世紀のキャリアを持ち、2023年にフランスで最も権威のある写真賞ニエプス賞に輝いたジュリエット・アニェル。一貫して自然界に関心を寄せ、アナログ、デジタル、実験的画像といった幅広い表現を駆使して、世界中を旅しながら地球の神秘的なエネルギーを写真に刻んできた、フランス人の写真家だ。KYOTOGRAPHIEで披露するシリーズは、長い年月を経て変化を遂げた鉱物を人間のポートレイトのように撮影した《Susceptibility of Rocks》と、アフリカのベナンで、さまざまな色彩の光や煙を用いて地域特有の植物の姿を記録した《Dahomey Spirit》など。「私の作品は、見えるものと見えないものとの間に存在する関係、そして私たちを超越し、人間性の根幹に問いを投げかける絶対的な存在に根ざしています」と語る、彼女のアプローチを明示する作品と言えるのではないだろうか。
LEBOHANG KGANYE (レボハン・ハンイェ)
アフリカと言えば、今年は『SOUTH AFRICA IN FOCUS』と題して、世界的に高い評価を受ける、南アフリカの豊かな写真文化にフォーカスしたプログラムを企画。このプログラム内で、《Rehearsal of Memory》のタイトルのもとに5つのシリーズを展示するレボハン・ハンイェは、メトロポリタン美術館など海外の美術館に作品が収蔵され、’22年のベネチア・ビエンナーレの南アフリカ代表作家に選ばれた、1990年生まれの気鋭のアーティストである。’91年まで続いたアパルトヘイトを背景に、南アフリカは人種問題やジェンダーほか多岐にわたる社会的課題に取り組む作家を多数輩出しているが、レボハンも然り。自身の家族の歴史と記憶をたぐり寄せて、故郷の激動の歴史に言及しながらひとつの物語を紡いでいく。"ストーリーテラー"とも呼べるユニークな表現に触れる貴重な機会となりそうだ。
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2026』
『EDGE』をテーマに掲げて、4月18日から5月17日まで京都市京セラ美術館ほかで開催。ほかに日本から森山大道、ケニアからタンディウェ・ムリウ、ウルグアイからフェデリコ・エストルらが参加する。
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