2019.06.30

Paul Smith

vol.9 FLOWER

創刊以来、SPURが提案する旬のモードに欠かせない名プレイヤーである「花」。鮮やかなプリントで、繊細な刺しゅうで、時にはきらびやかなジュエリーで。さまざまなカタチで表現される「花」は、身につける愉しみと甘い香りをまとってこれからも永遠に咲き続ける。

Paul Smith

妻から自身の名を冠したバラを贈られるほど、花好きで有名なデザイナーのポール・スミス。ピンクサテンにチュールを重ねたタンクトップとスカートのセットアップは、チャーミングなデイジー柄も一緒にレイヤード。繊細な愛らしさが光るルックに。

トップス¥23,000・スカート¥49,000・靴(※花は付属しません)¥66,000・ソックス¥2,600/ポール・スミス リミテッド(ポール・スミス)

さまざまな感情に寄り添うフラワーパワーに癒やされて

可憐な美しさと瑞々しさをたたえる花々は、昔も今もファッションデザイナーのインスピレーションの源となる普遍的なモチーフ。そして、SPURにおいても花は常にページの主役。さまざまにアレンジされたフラワーモチーフのアイテムで特集を組んだり、生命力にあふれた生花を小道具として用いたり。ハッピーな笑顔の傍らに、また時にはセンチメンタルな表情に寄り添う存在として、創刊以来、多くの誌面を彩ってきた。山崎貴之前編集長が思い出深く語ったのは、花を用いた表紙に関するこんなエピソードだ。

「2011年5月号(3月発売)ではモデルが白いデイジーをくわえた表紙を撮影しました。春夏の立ち上がりで表参道駅に表紙の大判ポスターが貼られたのですが、当時は東日本大震災直後。節電で構内は暗く、行き交う人々も沈んだ面持ちばかり。そんな中でふとポスターを眺めると、白いデイジーが照明に浮かび、ひときわけなげに咲いているように見えました。撮影したのは震災前ですが、このときほど表紙に花があってよかったと思ったことはありません」

SPUR 2011年5月号

その話を後日、表紙を手がけたスタイリストに伝えると、彼女も全く同じことを思ったとのこと。たかが花、されど花。そのパワーにしみじみと感じ入る。

SOURCE:SPUR 2019年7月号「いつもモードは、 SPURと……」
photography: Sayaka Maruyama styling: Tomoko Iijima hair: Tomihiro Kono make-up: Masayo Tsuda 〈mod’s hair〉 model: Sophie K edit: Satoko Hatakeyama

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