寒い。クローゼットからニットを掘り返してみても、似たような地味なものばかり出てくる。毎月いろんな服を雑誌に載せているくせに、そしていつも軽々しく買い物をしているくせに、手持ちで派手な色のニットは冗談抜きにこれ一枚しかなかった。自分はバカなのかもしれない。色気がない。
数年前入手したこのマルジェラのニットは、単なる青ではなくセルリアンブルー。某有名おしゃれ映画風に言えば、自分が選んだセルリアンは、ファッション業界における巨額の金と数え切れないほどの労働の象徴です。本格的に冷えるこの時季に着るには、ちょっと寒々しい色ではあるけれど。
「真冬の青」といえば、秋に開かれた展覧会「Assembly & Assembly Snow」で見たフォトグラファー横浪修さんの作品。SPURでも毎月活躍する横浪さんは、ここ数年、同じ衣装に身を包んだ女の子の集団を自然の中で撮影した連作「Assembly」を制作しています。その雪山バージョン「Assembly Snow」がこれまでにもまして素晴らしい。ピンクや黄色、ブルーにグリーンと色とりどりの服を着た女の子が真っ白な雪のパレットの中に溶けていく…… 横浪さんならではのハッピーで可愛い世界なのはもちろんだけど、白い雪の中でダイナミックに動くカラフルな少女の群れは、ときにマリオ・ジャコメッリの写真のような研ぎ澄まされた荘厳さが見え隠れさせ、さらにぐっと抽象的で美しく見えました。
写真展ではさんざん迷った末、ブルーとグリーンを着た女の子たちの作品を二枚組で購入。この組み合わせは本当に気に入っているんだけど、冬の朝に冷え切った部屋で見ると、なんだか余計に寒さが堪える。体感温度が二度下がる。その代わり夏は涼やかでいいかもしれない。
先月、横浪さんには雪山ならぬ南の島でロケしてもらいました。撮影したのはSPUR最新号と3.1フィリップ リムの付録が付いた増刊号、それら二種類の表紙。本誌カバーは正午近くの強い光で青く輝く海をバックに。増刊号では夕暮れ近く、黄金色に染まりゆく空を背景に。どちらも色が美しい写真です。ぜひ書店で見比べてみてください。
服は迷ったら買う派。そして色違いで揃える派。車はFR派。ジョジョは四部派。夜は糖質オフでハイボール派。圧倒的イヌ派。