2016.05.05

NIKEテック ニットと長時間フライト

 飛行機に何度も乗ってるわりに、CAと喋るたび緊張でギクシャクしてしまう。小粋な会話を楽しめない。もちろん否はこちらにあって、そもそも伝えようとする内容の九割五分は「酒をください」ということであり、しかも酒がハードリカーだったりする。それを頻繁に頼むわけで、自分が様子のおかしい客と思われているのでは?という疑念から、つい卑屈になる。
 座席前には機内誌が入っている。これを読むのが好きだ。編集者やライター、ファッション関係者がコラムを書いていることもある。きっと航空会社の機内誌に執筆する皆さんは、ある意味“仕事仲間”的感覚でCAとも自然に接し、これまで経験した旅の愉快な思い出、これから目的地で起こるはずの素敵なサムシングについて、にこやかに語りあったりするのであろう。大人の振る舞いって感じがして、素直に羨ましい。

 SPUR最新号では「ラウンジウェアでチェックイン」なるファッション特集を組みました。関西国際空港でロケした、フライトから旅先の街まで繰り出せるリラクシングなスタイルでストーリーを構成しています。
 かくいう自分もゴールデンウィーク中に出かけたのですが、それは目的地まで片道三便乗り継ぎ、純粋な搭乗時間だけで20時間を超える旅。準備しながら機内で着る服について考えた結論は「もういっそパジャマでいいんじゃないか。どうせ飲んで寝るんだし」でした。



 移動用に新調したNIKEテック ニットのセットアップ。特にボトムが秀逸で、わたりから裾に向けて極端にメリハリをつけてテーパードしたシルエットのおかげで、上下で着てもだらしなく見えません。
 シルクやシャツ地を使った、流行りのパジャマ風セットアップという選択肢もありますが、飛行機は空調があるはずなのに、なぜか季節を問わず異常に肌寒い場所。その冷気は地上の3倍ほど体にダメージを与える魔空空間です。シャツ風のパジャマ上下は危険。その点ニットなら保温性に不安はないし、シワもまったく気にしなくて済む。
 テック ニットは部位ごとに編み地を変えており、例えば汗をよくかく背中の全面はワッフル調のメッシュだけど、シルエットを美しく見せるために背骨の中心はスムースになっているといった具合。しかも切り替えを入れるのではなく、シームレスに編み地を変化させている。運動用のテクノロジーとアイデアが盛り込まれているわけですが、これを機内でひたすら酒を飲んで寝るというスポーツとは対極の用途で着用。今回の旅で実際に着てみましたが、思ったとおり至極快適に過ごせました。



 移動用シューズはNIKEエア フォース1のウルトラ フライニット。パンツの丈とバランスのいいミッドカットを買いました。名前からして飛行機向きだし、重さは通常のエア フォース1の半分。エア プレストのウルトラ フライニットもつい最近発売されたので、今度はそっちも試したい。

 全身NIKEを身に付けて、成田からニューヨークへ13時間のフライト。そこから5時間半かけてパナマへ。さらにもう一便乗り継いで、深夜に行き着いた先は……



 

 中米の社会主義国キューバ。首都ハバナで5月3日に行われたシャネル2016-17年クルーズ・コレクションの取材でした。通常のファッションショーの規模を遥かに超えたシャネルのクルーズ・コレクションは、彼の地における歴史的ファッションイベントになったわけですが、その話はまた別の機会に。

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takayuki yamasaki

服は迷ったら買う派。そして色違いで揃える派。車はFR派。ジョジョは四部派。夜は糖質オフでハイボール派。圧倒的イヌ派。