チャンキーなヒールと厚みのあるプラットフォームの存在感が、フェミニンさの中に意志の強さとひとさじのファニーさを感じさせる。スポーティなディテールのドレスも多面性を表現。
サンダル〈ヒール13cm〉¥125,000/クリスチャン ルブタン ジャパン(クリスチャン ルブタン) コートドレス¥79,000/チカ キサダ シルバー イヤリング(両耳セット)¥15,000・ビーズイヤリング(両耳セット)¥16,000/TOGA 原宿店(トーガプルラ) ソックス/スタイリスト私物
「子どもの頃、初めて憧れたヒール姿の女性が『美少女戦士セーラームーン』でした。普段は制服姿なのに、変身後はその足もとがパンプスやヒールブーツになる。私がそこに感じたのは色気でも大人っぽさでもなく、強さ。幼い私の目には“女の子が強くなれるアイテム”に映ったんです」
ヒールデビューは少し遅めの18歳、劇団に入ったばかりの頃。社会人として大人の装いをするため、そして、役作りの小道具として。ヒールは常に“何かになるため”のツールだった。それは今も同じ。さまざまな“変身用”の靴が並ぶシューズクローゼットからヒール靴を選ぶのは「強くなりたい」とき。普段はカジュアルな彼女がそれを履くのは主に仕事現場。バラエティ番組という“戦場”に出向くときが多いそうだ。「それは鎧を身にまとうような感覚。ヒールは背筋が伸び、体幹が定まり、佇まいも思考も引き締まる。ある意味、腹が決まるというか」
愛用しているのは5cm以上のチャンキーヒール。「身も心も安定して、いつでも走りだせそうな気持ちになれる。強く美しく勇ましい、太い柱みたいなヒールが好き」と語る。
「また、私は関西弁でまくし立てるように話すので、下手するときつく見えてしまいがち。そこに“品”を届けてくれるのもヒールだったりして。強さには品性も大事。剣士も所作が美しい人ほど圧倒的な強さを感じるじゃないですか(笑)」
現代の“サムライ女子”に必要なのは刀ではなくヒール。その持論とともに、ドラマからバラエティ番組まで、芸能界という戦場で激戦を繰り広げるファーストサマーウイカさん。「理想の自分に近づき変身できる、そんなパワーが靴にはある。だからこそ、“サムライ”が名刀を携えるように、勝負のときに特別な一足を選ぶのだと思う。ある意味、意中の人とのデートも戦場。そこでヒールを履くのもほかの誰でもない自分のため。戦いに勝つためですからね!」
PROFILE
ファーストサマーウイカ●1990年6月4日生まれ、大阪府出身。アイドルグループ「BiS」や「BILLIE IDLE」での活動を経て、ドラマや映画、バラエティとジャンルの垣根を越えて活躍中。トークから演技力まで高い評価を得ている人気女優。