AURALEE オーラリー
Designer: 岩井良太
インスピレーションのひとつは織物やニットの糸になる前の原料から
原料を確保するところからコレクションづくりがスタート
コレクションをつくる過程では通常、デザインを決めてから生地をあてていく、または生地を見てデザインを起こすというのが一般的だ。しかし、オーラリーのデザイナー岩井良太さんのモノづくりは少し違う。インスピレーションの源は糸や原料から得ることが多いのだという。
「僕の場合は普通のやり方と順番が違います。紡績の仕方が面白いからこんな糸を作ろうとか、編み地が面白そうだったらこういう糸を紡績してもらおうとか。布地や編み地の糸になる前の、綿や毛の段階から始まっているんです」
ベーシックでありながら他のブランドにない独特の素材感は、岩井さんのモノづくりのスタート地点にあったというわけだ。今回、マスターピースに選んでもらったのは、定番のリブTシャツと、コーデュロイパンツの二点。
デビュー以来定番のリブ編みTシャツ ¥19,000/クリップ クロップ(オーラリー)
上品な光沢を狙ったコーデュロイのワイドパンツ ¥32,000 〈2017年2月中旬展開予定〉/クリップ クロップ (オーラリー)
「リブTは、ギザコットン(エジプトの超長綿)の一番細番手トップクラスの糸をハイゲージの機械に入れ限界まで詰めて編んでいます。ハリが出てキックバックがよいので身体にフィットしやすいのが特徴です。編み機もドイツのものをあえて使用しています。コーデュロイのワンタックのワイドパンツは、股上はほどほどでヒップもフィット感がありつつ、ワタリが太くてストンとしたストレートシルエット。インドの超長綿を甘撚りの糸にして織り上げたあとに染め、洗って叩いて、さらに柔らかくなる加工をしています。いい生地を使っているので仕上がりもきれいで上品なんです」
(右)初コレクションからずっと続けているリブT。岩井さん自身がもともと立体感のあるリブの編み地が好きで、極限まで突き詰めてみようと思って完成したもの。ここまでこだわっていながらこのプライスは、実は破格なんだとか!
(左)ニュアンスのある色あいもオーラリーならでは。加工後の仕上がりに合わせて濃いめに染めたあとに、洗い込むことでこの色が生まれるのだそう。ベルベットのようなツヤ感も大きなポイントのこのパンツは、岩井さんも太鼓判を押す自信作
モノによっては、原料の綿から選び、繊維から糸に紡ぐまでも別注するという岩井さん。秋にはモンゴルで遊牧民を訪ね、次の秋冬シーズンの原料になるであろうヤギとラクダを見てきたという。
「たまに何の職業をしているのかわからなくなります(笑)。布地になる前の糸の撚りや番手まで指定するデザイナーって少し珍しいかもしれませんね」
Ryota Iwai
大学を卒業後、アパレル勤務を経て、2015年春夏シーズンよりブランドを始動。 オーセンティックでありながらオリジナリティあふれる素材と洗練されたシルエットが持ち味。
auralee.jp
SOURCE:SPUR 2017年2月号「デザイナー自身が語る“マスターピース”の魅力」
photography:Takashi Ehara(item), Mizuho Takamura(detail, portrait), styling:Itsumi Takashina text:Satoko Hatakeyama
着たい服はどこにある?
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