THE RERACS ザ・リラクス 「進化と挑戦を繰り返すことでシーズンごとに精度を高めています」

THE RERACS ザ・リラクス

Designer: 倉橋直実

進化と挑戦を繰り返すことでシーズンごとに精度を高めています

女性を美しく見せる“アノニマスデザイン”の追求

 スタンダードなアイテムも、限りなくエレガントで洗練されている。そんな佇まいの理由のひとつは、すべてオリジナルで製作しているという上質な素材。「トップクラスの原料を基本として考えています。そこからさらに理想の素材にするため改良を重ねます。たとえ生地の段階では美しくても、仕立ての工程で劣化することも。その課題を持ち越して、次シーズンは糸を替えたり……と更新を続けるんです」


女性らしいフォルムを描くテーラードジャケット ¥74,000 〈2017年1月下旬展開予定〉/ザ・リラクス

 2シーズン目から登場したテーラードジャケットも、素材からディテールまで微調整を繰り返し、今の形にたどり着いた。「素材は、海外メゾンでもよく使われるスーパー140という、非常に繊細な羊毛繊維を紡績したウールです。糸が細いとコシがぬけやすいのですが、高密度で織ることでハリが生まれるんです。また、メンズのテーラーの製法で女性的なシルエットに仕上げているのも特徴です。接着芯ではなく、着丈分の毛芯をパターンに合わせて入れ、バスト回りは立体的に、袖回りはスリムに。シルエットの邪魔をしないポケットの配置などデザインも改良を続けました。たとえば袖口のくるみボタン(3)も一から製作したものです」


M65パーカをベースにした街のためのモッズコート ¥74,000〈2017年1月下旬展開予定〉/ザ・リラクス

 もう一点の"名作”は、M65パーカをベースにした定番のモッズコート。ブランドで一番人気のアイテムだ。裾幅を140㎝と規格外に大きくとることで、モダンで女性らしいAラインへとアップデートした。
 「ポリエステルナイロンの合繊素材も、高密度に織れば安っぽくなりません。さらに撥水にしたり、表面を起毛させて柔らかくするなど多くの加工を施しました。基本はM65に忠実に、フードと本体が着脱可能な設計です。こちらもフードのワイヤー(4)からファスナーに至るまで、徹底的にこだわりました」
 すべてのアイテムにおいてストイックなまでに考え抜かれた機能美。今後も進化するコレクションから目が離せない。


(右上)ボタンが安定するよう足を四角に、裏の糸始末を隠すために台座を改良
(右下)折り目がつかないビスチェ用のワイヤーが、立体的な円形をキープ
(左上)オリジナルで製作した真鍮製のコードエンドが、上品な存在感を添える。ひもの先が割れているのが見えないよう、蓋をつけたのもこだわりのポイント
(左下)ジッパーも既製品でなく、YKKに別注。右手でつかみやすいよう、引き手に0.07㎜の傾斜をつけた独自設計だ。「工場やメーカーの方と必ず直接
話をして、仕様を決めます。私たちから彼らにもきちんと還元できる、継続可能なモノづくりをしていきたいという思いがあります」

Naomi Kurahashi

大学卒業後、アパレル勤務を経て2010年にディレクター・倉橋直行氏とブランドをスタート。モダンなデザインと実用性の高い服作りにファンも多い。
thereracs.net

SOURCE:SPUR 2017年2月号「デザイナー自身が語る“マスターピース”の魅力」
photography:Takashi Ehara(item), Mizuho Takamura(detail, portrait), styling:Itsumi Takashina

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着たい服はどこにある?
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