PART.1 【ドリス・ヴァン・ノッテン】色の詩人が綴るエモーショナルな手紙

ドリス・ヴァン・ノッテンが手がけるウィメンズ最後のコレクションが、ニルギリ丘陵の自然界の色彩に呼応する。色に自身の感情を投影し続けてきた彼の最後のメッセージに、そっと耳を傾けて

ドリス・ヴァン・ノッテンが手がけるウィメンズ最後のコレクションが、ニルギリ丘陵の自然界の色彩に呼応する。色に自身の感情を投影し続けてきた彼の最後のメッセージに、そっと耳を傾けて

大地と花と青い山。見るものにゆだねる色遊び

ドリス・ヴァン・ノッテンが手がけるウィメンズ最後のコレクション
コート¥544,500・ピアス¥59,400/ドリス ヴァン ノッテン photography: Mai Kise styling: Tomoko Iijima

1993年に初めて発表したウィメンズ コレクションのテーマは、自身がこよなく愛する "花"だった。現地の言葉で「青い山」を意味するニルギリ高原の草花が、2024-’25年秋冬のラストコレクションを祝福する。ペイントしたかのようなブラウン、ピンク、ブルーのグラデーションとともに、品のある光沢を放つコート。デザイナーからの色のメッセージは、まとう人の解釈に、そっとゆだねられる。

朝露に濡れる茶葉と共鳴するグリーンの詩情

ドリス・ヴァン・ノッテンが手がけるウィメンズ最後のコレクション
トップス¥195,800・シャツ¥107,800・ショーツ(参考商品)/ドリス ヴァン ノッテン photography: Mai Kise styling: Kayo Yoshida

標高2000メートル級の山々が連なる世界有数の紅茶の産地、ニルギリ。山肌一面の茶畑が朝日に反射し、自然界のグリーンの奥行きを映し出す。「色は私が愛してやまないもの」と語ったドリスの言葉を投影するかのようなラメのトップスは、まるで朝露に濡れたように輝くグリーン。薄いパープルのコットンシャツとともに奏でる、意外な色と素材のハーモニーが詩的な情景を描きだす。

自由自在に行き来するクラシックとコンテンポラリーの境界線

ドリス・ヴァン・ノッテンが手がけるウィメンズ最後のコレクション
ジャケット¥326,700・メッシュのトップス¥85,800・シャツ¥118,800・パンツ¥249,700/ドリス ヴァン ノッテン photography: Rid Burman styling: Tomoko Iijima

「自分のベースは"クラシックな服"」と自身のスタイルを評するドリス。メンズライクなジャケット、オーバーサイズのコットンシャツ、グラフィカル・パターンを配したパンツ。ひねりのあるタイムレスなアイテムに、水彩絵の具をにじませたかのようなオレンジ色のトップスを無造作に加えることで、硬さとしなやかさ、そしてマスキュリンとフェミニンの相反する要素を融合させた。ドリスが挑み続けた革新性は、いつも繊細なパーツに宿る。

ドリスが調合する感情という名の香り

ドリス・ヴァン・ノッテンが手がけるウィメンズ最後のコレクション
ジャケット¥260,700・スカート¥85,800・ミュール¥140,800・トップス(参考商品)/ドリス ヴァン ノッテン photography: Rid Burman styling: Kayo Yoshida

雨に濡れた老木と茶畑の新芽。大地から湧き上がる、香りのレイヤードをまとうようにドリスの服を着る。彼の美学とエモーションをはらんだコレクションは、まるで新しいパフュームが香るように五感を刺激する。ドットモチーフをジャカードで表現した光沢のあるトップス。キッチュにも転びがちなアイテムを異素材のメンズライクなジャケットや薄いパープルと合わせ、モダンな大人の配色に変容させた。

ドリスの蒔いた花の種は未来へと咲き続ける

ドリス・ヴァン・ノッテンが手がけるウィメンズ最後のコレクション
メッシュのトップス¥85,800・シャツ¥118,800・スカート¥145,200・ピンクのトップス(参考商品)/ドリス ヴァン ノッテン photography: Mai Kise styling: Kayo Yoshida

どしゃぶりの雨が靄に変わり、ふわりと浮かび上がるニルギリの花。生命力あふれるインドの花々で染めたようなピンクの異素材のトップスに、ブルーのスカートで予想外な色の対比を添える。「明暗や濃淡を利用して、さまざまな感情を表現することができる」と語ったドリスを想いながら、心の語彙を広げていこう。魂の震える色のブーケは、永遠に刻まれる。

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