2018.06.12

【2018-’19 F/W】おさえておきたいトレンドニュース

TREND NEWS・1:才能を見つけた! マリーン・セールの初ランウェイ

昨年LVMHプライズのグランプリを獲得したマリーン・セール(写真左)。20代半ばという若さと、受賞時にバレンシアガに籍を置いていたことでも話題を呼んだ彼女がパリ・コレにデビューした。「未来の服」を見据え、日常の必需品を携帯できるたくさんのポケットをつけたベーシックなアウターや、ヴィンテージアイテムを「アップサイクル(価値を高めたものに作り替える)」した服を発表。注目すべきは独自の感性でピックアップした多様な要素を勢いよく組み合わせている点だ。中東のようなムードや主に体操競技に焦点をあてたスポーツウェアがぶつかり合い、唯一無二の世界観を作り出している。シンプルな演出ながら、服そのものからパワーが感じられるショーだった。
(写真左)2017年のLVMH PRIZE授賞式にて

 ヴィンテージのシルクのスカーフを縫い合わせたラストルック。一つひとつに「Future Wear」というメッセージがハンドプリントされている
 極力肌を見せないモデストファッションを思わせる。バッグは体操に使用するボールが発想源。靴はイギリスのシューズブランド、ニコラスカークウッドとコラボレーションしている
 マリンスポーツ用のトップとヴィンテージのシャツを組み合わせたドレス。フラメンコに着想したもの
 アイコニックな三日月柄のキャットスーツに真っ赤なビニール素材のコートというレイヤードがショッキング

TREND NEWS・2:ノワール ケイニノミヤの衝撃

TREND NEWS・2:ノワール ケイ ニノミヤの衝撃

「素晴らしかった!」。ショーが終わり、次の会場へと向かうジャーナリスト、スタイリストたちが口々に絶賛していたのが、ノワール ケイ ニノミヤのパリ・コレ初のランウェイショーだ。“異素材など相反するものを掛け合わせることで生まれるパワー”に焦点をあてたコレクションは、東信による花仮面も強烈な印象を残す。「ヘッドにもボディにもそれぞれインパクトを、と同時に話を進めていたなかで、最後にやはり強いもの同士をぶつけたほうが面白いんじゃないかと、パリで決まったアイデアなんです」と二宮氏。
ファブリックへの挑戦や、仕立て方の妙など、ノワールらしいギミックも随所に。新しいムード、新しいパワーを感じさせ、静謐な会場は内なる熱気に包み込まれていた。
©COMME des GARÇONS PHOTO:石井文仁

 ショートジャケットはケープ風にアレンジ。パンツルックにも可憐さをほのかに忍ばせて
 ワイドに広がるドレスにコンパクトなジャケットを。異素材をキルティング加工で調和させる発想
 チュールにフェイクファーを施し、蛇腹折りにしたパーツを組み合わせたフラッフィーなドレス。これぞノワールの真骨頂

TREND NEWS・3:リチャード・クィーンにクイーンが登場

TREND NEWS・3:リチャード・クィーンにクイーンが登場

英国女王エリザベス2世のフロントローお出ましに会場騒然! ロンドン・ファッション・ウィークへの初訪問は、女王の名前を冠し新たに設けられた若手デザイナーのアワード「The Queen ElizabethⅡ Award for British Design」を授与するため。栄えある第1回の受賞者が、リチャード・クィーンだった。2016年にセントラル・セント・マーチンズ美術学校MAコースを首席で卒業、作品が「H&Mデザインアワード」を受賞し最注目の若手に。ダイナミックなデザインもさることながら、“強み”と言えるのがプリント。クラシックからレトロ調まで、色鮮やかなフラワーがドレス、ボディスーツ、ヘルメットまでも彩る。自身で印刷スタジオも持ち、他のデザイナーに使用する機会を提供している。

 イングリッシュローズをかたどったトロフィーを受け取るリチャード・クィーン。今回のアワードの発起人となったアンジェラ・ケリー(右)は女王のワードローブアドバイザーを26年の長きにわたって務めている人物
 多用されたフラワーはクィーンのシグネチャー。ランウェイや会場の壁までをも埋め尽くした。
10 “真知子巻き”ルックは女王のウィークエンドスタイルがインスピレーション源か

TREND NEWS・4:グッチのサードアイの秘密

TREND NEWS・4:グッチのサードアイの秘密

文化、性差といった異なるアイデンティティをブレンドし、超越する存在として「グッチサイボーグ」、つまりポストヒューマンを提示したグッチ。それをショーで実現するためアレッサンドロ・ミケーレが依頼したのが、ローマの特撮会社、マキナリウム(Makinarium)だ。話題の頭部レプリカ、ミニドラゴンなどいろいろ驚きがあったけれど、今回は「サードアイ」に着目。このサードアイが象徴するのは感覚の高揚。最新技術を駆使したその作り方に迫ってみよう。

11 まずモデルの顔に石膏とシリコンをミックスした素材を塗る
12 モデルの顔の大枠の模型が完成
13 バーチャル3Dを提供する機器でモデルをスキャンする。このスキャナーは1/10ミリメートルまで計測可能
14 モニタ画面に3Dプリンタのための非常に緻密なデータが出現する
15・16 3Dプリントでモデルのパーツに完全に一致するシリコン型を作り、おでこに装着。手作業で毛穴や皮膚のシワを再現しつつサードアイを形成する
17 おでこになじんだサードアイが完成
photo:Courtesy of Gucci

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