2018.10.09

花代さん(アーティスト) & 点子さん(モデル・女優)

東京・ロンドン間を離れて暮らす母娘は、送り合った服をどう着る!?

ヴィンテージのワンピースは、私をよく知る母らしいセレクト

「このワンピースを着た最初の印象は、生地が柔らかくて気持ちいいなということ。こういう肌ざわりが好きだということを知ってくれていたのかも。あとは、母らしいセレクトだなと思いました。私に買ってくれる服はいつも昭和な感じが多くて、母なりの点子のイメージがあったんでしょうね。前はたまに『ちょっと古くさいよ』なんて言っていたんですけれど、このワンピースはきれいだし、いつも着ているような服だからとてもうれしい。私の好みはコロコロ変わるし、それについてくるのが難しいのはすごくわかるんです。でも結局、選んでくれたものが正解だったりして、母からのお下がりは今もよく着ているし、バッグやスカーフも母にもらったものを使っていることが多いです。それと、母の友人のデザイナー、ベルンハルト・ウィルヘルムのアイテムも、よくプレゼントしてくれますね。だからそういう意味では、母のほうが趣味もいいしアーティスティック。今回母に送ったゴルチエ ジーンズのデニムベストは、先月、彼からプレゼントされたもの。ボーカルとキーボードを担当しているバンドの初ライブでも着ました。母からは80年代のパンクな服をよくもらって着ていたから、彼からそのベストをもらったときに、母のことを真っ先に思い出したんです。昔の服に合わせてるのかはわからないけれど、母がどう着こなしてくれるのかは、ちょっと楽しみです」

右上 花代さんがベルリン在住中に撮った点子さん。ワンピースはロンドンの結婚式で点子さんがフラワーガールをしたときに着たもの。ふと振り返ると点子さんが花代さんのハイヒールを履いて、このスタイルで立っていたので、慌ててシャッターを切った写真

右下 ワンピースを撮影したのはロンドンのバービカン・センター付近。絶妙な透け感とロマンティックな甘さが相まって、点子さんの雰囲気にもマッチしている

model: Tenko photography: Aya Sekine hair & make-up: Kanako Yoshida text: Satoko Hatakeyama coordination: Yumi Hasegawa

点子さんの予想に反し(!?)、花代さんが選んだのは花柄のワンピース。アンビバレントなミックスセンスが光る。撮影は、サウナでよく点子さんと遭遇したという渋谷の「改良湯」にて。

ベスト/点子さん私物 ロングワンピース¥52,000/UNIT&GUEST(バウム・ウンド・ヘルガーデン)

私よりもおしゃれな娘から、どう着る?と問われているよう

「点子から送られてきたこのゴルチエ ジーンズのデニムベストは、今日初めて実物を見ました。どう着こなす?と、向こうからサイコロを振られた感が否めません(笑)。私が彼女の年齢だった頃にジャンポール・ゴルチエと出会ったのですが、そのとき私は彼の服を着こなせませんでしたから、ちょっとうれしいです。こちらから彼女に送った白いヴィンテージのワンピースは、大人っぽくなった点子に今、着てほしいものとして新しく買ったもの。ジェーン・バーキンをイメージして撮って、とリクエストしました。完全に私のファンタジーですが、この間一緒に南仏にも行ったし、彼女のボーイフレンドもフランス人だし、無造作な感じも似合うかなと。写真を見たら可愛く着てくれていて安心しました。小さい頃は『この子は私から出てきたんだ』という感覚はあったんですが、あるときから『点子は本当に私から出てきたのか』と思い始めて、この間久々に一緒に過ごして『やっぱりひとりの女性なんだな』と実感しました。大学進学でイギリスに行って初めて離れて暮らしたことで、成長を感じられたのだと思います。点子は小さい頃から服好きで、幼稚園に遅れてまでもコーディネートだけはしっかりやる子でした。買ったばかりのジーンズを脚が伸びて丈が短くなっただけでもう着ないとか、そのこだわりは母娘でも違うものだなぁと思ったものです。私が着ていたMILKの服を引っ張り出してきて予想もつかないスタイルで着こなしていたように、これからも点子らしいスタイルを貫いてほしいですね」

 ベスト/点子さん私物

 資生堂の冊子『The Curator’s Egg』より。パリでジャンポール・ゴルチエ氏(右上)のテレビ番組に出演したときの映像。このときの花代さんは点子さんを妊娠中という貴重なショット

PROFILE

てんこ
ドイツ生まれ。3歳までロンドン、13歳までベルリンに暮らし、2004年にモデルとしてデビュー。雑誌や広告、映画などに出演し、最近は女優としての活躍も目覚ましい。現在はジャーナリズムの勉強のためロンドンの大学に在学中。

はなよ
東京とベルリンを拠点に活躍するアーティスト。写真家、芸妓、ミュージシャン、モデルなど多彩な顔をもつ。自身の日常を幻想的な色彩で切り取る写真やコラージュ、またこうした要素に音楽や立体表現を加えたインスタレーションを発表する。パレ・ド・トーキョーなどの個展、展覧会多数。http://www.hanayo.com/

model: Hanayo photography: Yuka Uesawa  styling: Saeko Sugai hair & make-up: Kanako Hoshino text: Satoko Hatakeyama cooperation: Kairyo-yu

FEATURE