今シーズンほど、自分はどう行動するべきかと自問自答したことはありません。アマゾンの大規模な森林火災や猛暑、そして巨大台風でみなさんも身にしみて感じているかもしれません。環境保護団体エクスティンクション・リベリオンの活動や、コレクション期間中に行われた国連気候行動サミット2019でのグレタ・トゥーンベリのスピーチも考えるきっかけに。
サステイナブルであることはモード界において今もっとも重要な課題です。個人的にはプラスチックを使わないのはもちろん、「Vestiaire Collective」のような洋服をリサイクルするアプリを活用し、私的な“ファッション・サークル”を構築できるか試みています。
そんな中で、今回のコレクションを見ると、ルイ・ヴィトンやグッチなどメガブランドからマリーン セルなど気鋭ブランドまで、各ブランドが危機意識を持ち、さまざまなアプローチでサステイナビリティと向き合っていました。そもそも、グローバリズムが始まる以前に思いをはせると、ラグジュアリーとはひとつの素晴らしい品を世代を超えて長く使うという、サステイナブルなものでした。創造性よりもマーケティングを重視してきた近年のビジネスモデルを今こそ見直すべきでしょう。会場設備のリサイクルだけでなく、洋服を作る工程を透明化し、サステイナビリティを推し進めることが急務です。それはリーディングカンパニーがビジョンを持って、新しい持続可能なシステムを推し進めるトップダウンと、我々が不買ムーブメントを起こすボトムアップの2方向からのアプローチがあります。どちらにせよ、問題は差し迫っています。
ファッションは元来、社会・文化の状況を映す鏡です。見せかけの“グリーンウォッシング”ではない、本当の意味での変革のときが来たのです。
Profile
ティファニー・ゴドイファッションジャーナリスト。アメリカやフランスなど世界各国のメディアに寄稿。本誌では「現代モード辞典」が好評連載中。インスタグラムの動画メディア「@th_rlty_shw」主宰。