2019.12.17

自分の顔すらもスタイリングのフックにする心意気

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ドレス¥437,000・靴¥116,000/ジルサンダージャパン(ジル サンダー) 中に着たシャツ¥44,000/エディション 表参道ヒルズ店(ROKH) パンツ¥28,000/grapevine by k3(Han Kjobenhavn) イヤリング¥18,000/TOGA 原宿店(トーガ) ソックス¥800/タビオ(靴下屋) ベレー帽¥18,000/TORO

「このストライプのブランケットドレスはペルーの民族衣装の雰囲気を感じますよね。縦のラインとグラフィカルなシルエットを支柱にしつつ、そこに対してまったく関係のないテイストのボトムを合わせたかった」

そこで持ってきたのが、スポーティなシャカパン。

「配色はタイダイのシャツから引用しているけれど、この対極のジャンルのミックスというのがポストサイケではきいてくる。フォークロアにスポーティ。しかもストライプという規則的な柄に対して、パンツの色の取り方が不規則というところも真反対でいいなと」

タイダイシャツについてはこう語る。

「今回もたくさん使いましたが、タイダイって実は昔からすごく好きなんです。色と色が混じり合って散らばって、そこに夢やファンタジーを感じる。だけど大人に似合うものってなかなか見つからないんです。このシャツの色出しは大人が着てもモダンに見えてちょうどいい」

そして浜田さんといえば、白ソックス!

「スタイリングに強さと潔さを出すのに重宝する白ソックス。いつだって使いたいくらいずっと好きです。狭い面積の白が、柄と柄の衝突の中で一呼吸入れてくれる。足先もポインテッド・トゥのシューズできゅっと強く。あれも入れたい、これも入れたい、というなかで、どこか締める部分は必要だなと思うので」

ここまで読んできた方ならおわかりかと思うが、最後に加える違和感は……ベレー帽。

「エスニックやヒッピーとは遠いところにあるかぶり物ですよね。このモデルの女の子が、部屋のそのへんにあったのを朝急いでかぶっちゃった、くらいの力の抜け具合を表現したいなぁと思いました。無秩序に見えるようにしたくて……実はめちゃくちゃ計算していても、それは見ている人には気づかれたくない(笑)」

ポストサイケ、とても魅力的なスタイルだが、同時にちょっと難易度が高そうと思った人もいるはず。最後に挑戦するための秘訣を聞いてみた。

「探究心と遊び心を忘れずにいることです。そして自分自身を強く持つこと。誰しもが画一的な美に向かう時代じゃなくなったからこそ、自分の顔すらもスタイリングの引っかかりにするくらいの自信を持ってほしい。『私はこういう信条を持っていて、この色の、こういう柄のものを着ますよ』みたいな、強い心意気で服を着こなしてみてほしいのです。私も『ポストサイケ』に触れて、新たな気持ちでファッションを楽しんでいます。この企画をやるにあたってすでに4着も買ってしまったけれど、後悔していません(笑)」

Profile
浜田英枝/はまだ ふさえファッション誌や広告を中心に活躍するスタイリスト。ほかの追随を許さない突き詰められたスタイリングや、時代の空気を読んだ世界観の構築に定評がある。

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