「このスタイリングは、祭りの日の民族衣装が出発点にあります。インドのサリーなどもそうだと思うのですが、ハレの日の伝統的な衣装って私の中ではキラキラしていたり美しい色っていうイメージがあるんです。このドレスは、きれいなミントグリーンっていうのもポイントだし、袖を縛ったり垂らしたりと、着こなしの自由度が高いというところも好きでした。そこにケミカルさを足す要素として、アシッドカラーのメッシュトップスを入れています」
ドレスのミントグリーンとトップスのイエローの色合いはさわやかで、一見シンプル。しかしこのスタイリングの肝となるのは、なんといっても小物使いだ。
「まずこのグッチのトートバッグ！ 花柄なんですがビニール素材にのっていることも相まって、幻覚的な雰囲気を放っている。ケミカルな要素づけにひと役買っています。さらにイヤリングにもレインボーに光るタイプを選んで、サイケデリックな空気を加速させました。これはTOROのヴィンテージなのですが、バイヤーさんの熱意というか、遊び心を感じました。ヴィンテージだけれど常に今の気配を読み取って、挑戦していく姿勢をとても尊敬しています。そして肩に掛けたチェーンアクセサリーやネックレス、ブレスレットで、神秘的な祭りのムードを薫らせました」
本来いらないものを足したとき、新しい自分に出会う
ここで、足もとを普通にスニーカーやサンダルにしないところに、浜田さんの信念がある。五本指のブーツを合わせた。
「きれいにまとまりたくないという自分の反骨精神から、圧倒的な違和感を加えるにはこの五本指しかない、という結論に。エレガントさと毒っ気が同居していて、大人の遊び心の裏づけとなりました。スタイリングは一辺倒に説明できちゃいけないと思っていて、いつも余計なものを加えてバランスを崩すことを意識しています。特に今回のポストサイケでは、頭の中の混乱状態をいかにファッションで表現するかが大切です。本来いらないものを、ポンと足したときに、思わぬ自分に出会えて自己解放できる。“サイケデリックっぽい”とか“ヒッピーっぽい”という着地点に簡単には落ち着かないのが、“ポスト”ということなのかな、と思います」
