このスタイリングでは、モデルを二つ結びにしたい、と決めていたという浜田さん。
「当然ながら、ヘアスタイルやメイクアップもスタイリングの要素のひとつ。この60年代~70年代のヒッピー感は、この髪型と化粧があってこそ。エトロのスカーフでツインテールをリボン結びして、今らしさも意識しました」
同じくエトロのエスニックなベストを、アクネのセカンドスキントップスの上に着る。
「タイダイ柄トップスの上に、トーンを合わせた民族調のベストを着てホックを留めてみたところ、ふたつの柄が相まって胸元のラインがすごくグラフィカルに見えました。上に羽織ったマルジェラのビッグシルエットのジャケットは、私にとって憧れの一着。メゾン マルジェラはヘリテージを大切にしながらもずっとアヴァンギャルドなことを更新し続けている。対してエトロは『西洋から見た東洋』、つまりオリエンタリズムを、ブランド創立時から追求し続けている。ともに根底に流れるコンセプトを追求し続けるブランドです。やり続けるって、とてもクール。そんな両極のベクトルを持つブランド同士をぶつけたとき、すごくいい化学反応が起きました。ここでは色がなくても、これだけで強いスタイルになるな、と思ったんです。それでいて上質な本物同士だから、変に土っぽかったり安っぽかったり見えず、高いところで完成される。『手が届くかも』とは思ってほしいけど、ファッションで夢が見られないことには、この仕事をする意味はないと思っているので、いつも少し先、少し高いところで着地するよう意識しています」
「ちょっと布団っぽいダウンがスタイリングの起点です。ダウンって、どうしてもスポーティなイメージから逃げ切れない。でもドリスは、それをストールというエレガントなものに昇華してしまった。ドリスは、常に先頭に立っているブランドなんだなぁとしみじみ思います」
そこに合わせたのは、世界中の若いファッションラバーが今、最もショー会場に集うブランドといわれるエコーズ ラッタのデニム。
「エコーズ ラッタも、大衆にウケなくてもいいという潔さがあって好き。『ほかは関係ない、自分たちが一番イケてる』と思っていそうなところがいい」
ウエスト部分はベージュに、膝下はタイダイ柄に染められたこのデニムに、こちらも感度の高い若者からラブコールが絶えないブランド、アサイのストッキング素材のタイダイトップスを。
「アサイのトップスは今回の特集の中で最もキャッチーなアイテム。サイケデリックな色合いが旬ですね。どちらもこのパッチワーク感が好き。パッチワークって、作り手の『あれも入れたい、これも入れたい』みたいな気持ちが伝わってきて、可愛らしいなぁって思うんです。そのちぐはぐさをこのドリスのダウンストールが、シックにまとめ上げます」
頭にはアクセサリーをつけて祭日の雰囲気を出し、足もとは黒いレザースニーカーで重たく仕上げる。
「金属の色みを揃えたいっていうのは自分の習性としてあるのですが、頭と足先を、まったく別人にしたかった。頭はちょっとお姫様風に。でも足もとは、靴下からスニーカーまで黒で統一して、やぼったく、おじさんっぽく。サイケデリックを、おじさんで崩す(笑)。でも両方黒にシルバーで、韻は踏んでいます」